中古物件の和室を洋室にリフォームしたい。費用の相場を解説

築年数が古い中古物件の部屋は、畳敷きの和室が多く、椅子やテーブルなどを置けず不便です。
しかし、和室は洋室にリフォームすることが可能で、リフォームすれば便利になります。
そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」は、中古物件の購入を希望する方へ向けて、和室を洋室にリフォームする費用の相場をご紹介しましょう。
目次
1. リフォーム費用は規模により異なり、30万円~120万円程度
和室を洋室にリフォームする費用は、リフォームの規模により異なり、安い場合は30万円程度、高くなると120万円程度が相場です。
以下に、中古物件の和室を洋室にリフォームする際の費用を予算別でご紹介します。
なお、ご紹介するリフォームの費用は目安であり、依頼するリフォーム店や、導入する建材のグレードにより差が出るため、注意してください。
1-1. プラン1. 30万円~45万円で和室を洋室風に「あっさり」リフォーム
予算が30万円~45万円の場合は、6帖や10帖の和室を「あっさり」と洋室風にリフォームできます。
和室を洋室にリフォームする場合における、30万円~45万円の予算でリフォームできる箇所は以下のとおりです。
予算30万円~45万円 ~和室を洋室に「あっさり」リフォーム~
リフォーム箇所 | 費用の目安(6帖) | 費用の目安(10帖) |
---|---|---|
板張りの天井に壁紙を貼る | 5万円程度 | 8万円程度 |
壁紙の貼り替え | 5万円程度 | 8万円程度 |
畳をフローリングに | 10万円程度 | 15万円程度 |
押し入れをクローゼットに | 10万円程度 | 15万円程度 |
合計 | 30万円程度 | 45万円程度 |
以上が30万円~45万円の予算でできる、リフォームの内容です。
畳をフローリングにすれば、椅子やテーブルなどを置きやすくなり、壁紙を貼り替えれば、部屋が明るくなります。
なお、壁紙の貼り替えは6帖で5万円、10帖で8万円とご紹介しましたが、既存の壁が砂壁の場合は、直接壁紙を貼ることができず、シーラー(接着剤が砂壁に染み込まないように塗る塗料)による下地処理が必要となり、工事費用が3万円~4万円程度追加されるため、注意してください。
また、畳をフローリングにする際は、床下に断熱材を施すのがお勧めです。
断熱材を施すと、3万円~4万円程度の追加費用が必要ですが、床下に断熱材が入っていれば、冬の床冷えが多少やわらぎます。
1-2. プラン2. 55万円~80万円で和室を洋室に「ほどよく」リフォーム
55万円~80万円の予算があれば、ほどよく和室を洋室にリフォームできます。
55万円~80万円の予算でリフォームできる箇所は以下のとおりです。
予算55万円~80万円 ~和室を洋室に「ほどよく」リフォーム~
リフォーム箇所 | 費用の目安(6帖) | 費用の目安(10帖) |
---|---|---|
天井の作り変え | 6万円程度 | 9万円程度 |
天井にクロスを貼る | 3万円程度 | 5万円程度 |
真壁を大壁に作り変える | 20万円程度 | 25万円程度 |
壁にクロスを貼る | 5万円程度 | 8万円程度 |
畳をフローリングに | 10万円程度 | 15万円程度 |
押し入れをクローゼットに | 10万円程度 | 15万円程度 |
合計 | 55万円程度 | 80万円程度 |
以上が30万円~45万円の予算でできる、リフォームの内容です。
注目していただきたいリフォーム箇所は、プラン1にはない「真壁を大壁に作り変える」という項目です。
真壁とは、壁から柱が出ている和室ならではの壁を表し、大壁とは、壁から柱が出ていない、洋室ならではのスッキリとした壁を表します。
「真壁を大壁に作り変える」というリフォームを行わない「プラン1」では、和洋折衷という仕上がりになりますが、真壁から大壁に作り変えれば、和室を洋室らしく演出することが可能です。
また、プラン1では、天井のリフォームはクロスを貼るだけとなっていますが、プラン2では天井を作り変えるため、天井裏に断熱材を施すこともできます。
天井裏に断熱材を施すと、3万円~4万円程度の追加費用が必要ですが、天井裏に断熱材が入っていれば、冬に暖房が効きやすくなり、光熱費を節約できます。
真壁の和室

大壁の洋室

1-3. プラン3. 85万円~125万円で和室を洋室に「完全」リフォーム
85万円~125万円の予算があれば、和室を洋室に完全にリフォームできます。
85万円~125万円の予算でできるリフォームは以下のとおりです。
予算85万円~125万円 ~和室を洋室に「完全」リフォーム~
リフォーム箇所 | 費用の目安(6帖) | 費用の目安(10帖) |
---|---|---|
天井の作り変え | 6万円程度 | 9万円程度 |
天井にクロスを貼る | 3万円程度 | 5万円程度 |
真壁を大壁に作り変える | 20万円程度 | 25万円程度 |
壁にクロスを貼る | 5万円程度 | 8万円程度 |
畳をフローリングに | 10万円程度 | 15万円程度 |
押し入れをクローゼットに | 10万円程度 | 15万円程度 |
窓をアルミサッシに | 20万円程度(※1) | 35万円程度(※2) |
出入口の引戸をドアに | 10万円程度 | 10万円程度 |
合計 | 85万円程度 | 125万円程度 |
※1 掃出し窓をアルミサッシに新調した場合の費用
※2掃出し窓と腰掛け窓をアルミサッシに新調した場合の費用
以上のリフォームを行えば、和室を洋室に完全にリフォームできます。
注目していただきたいリフォーム箇所は、プラン1やプラン2にはない窓と出入り口のリフォームです。
既存の窓をアルミサッシに、襖などの出入り口をドアにリフォームすれば、和室が完全に洋室に変わり、見違えます。
なお、窓をリフォームする際は、必ず窓枠も新調してください。
中古物件の窓枠は経年により汚れが目立ちますが、新調すれば部屋の見栄えが良くなり、清潔感が向上します。
また、窓を取り替える際は、予算が許すようであれば、断熱窓にリフォームするのがお勧めです。
断熱窓にリフォームするには、1箇所につき4~5万円程度の追加費用が必要ですが、冬の結露が減り、暮らしやすくなります。
窓枠

2. 間仕切りを撤去しつつ、2つの和室を1つの洋室にできる?
築年数が古い中古物件は、部屋が細かく区切られていることがあり、何かと不便です。
そのような場合は、間仕切りを撤去すれば、2つの小さな和室を1つの洋室にリフォームできます。
しかし、間仕切りは、撤去できる場合とできない場合があるため、注意してください。
以下に、間仕切りを撤去できる場合と、できない場合をご紹介します。
- 2-1. 間仕切りが撤去できない場合
- 間仕切りが耐力壁(地震での倒壊を防ぐために設けられた壁)の場合は、残念ながら撤去できません。
また、間仕切りの中に柱や筋交いが入っている場合も、撤去することは難しくなります。
理由は、耐力壁や、柱や筋交いが入っている壁は、建物の耐震性を向上するために設けられた壁であり、撤去すると、地震で倒壊する虞があるためです。
ただし、撤去を希望する間仕切りが耐力壁であったり、中に柱や筋交いが入っていても、その他の壁を耐力壁に変更することにより耐震性が保てる場合は、その間仕切りを撤去できる場合があります。
その判断には、建築士による構造計算が必要です。
よって、間仕切りが撤去できるか否かは、建築士が在籍するリフォーム店や工務店に確認する必要があります。
なお、鉄筋コンクリート造りのマンションの室内にある間仕切りが、耐力壁であることは稀です。
そのため、購入を希望する中古物件がマンションの場合は、大抵の場合、間仕切りは撤去できます。 - 2-1. 間仕切りが撤去できる場合
- 間仕切りが耐力壁ではない場合や、建物の倒壊を防ぐための柱や筋交いが入っていない場合は、撤去することが可能です。
また、先にもご紹介しましたが、購入を希望する中古物件がマンションの場合は、大抵の場合、撤去できます。
なお、間仕切りを撤去する際の費用は、単に間仕切りを撤去するだけであれば、10万円~15万円程度ですが、同時にリフォームをする場合は、それに加え、「プラン1」「プラン2」「プラン3」でご紹介した費用が掛かるため、注意してください。
3. 耐震改修工事を行えば、自治体から補助金が出る
中古物件の和室を洋室にリフォームするための費用の相場をご紹介しました。
和室を洋室にリフォームすれば、中古物件の内装が見違えるほど綺麗になります。
中古物件の和室のリフォームを検討する方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしてください。
なお、「間仕切りを撤去しつつ、2つの和室を1つの洋室にできる?」にて、間仕切りの撤去についてご紹介しましたが、間仕切りを撤去しつつ耐震改修工事を行えば、自治体から補助金が出る場合があります。
その額は自治体により異なりますが、上限は70万円~80万円程度です。
詳しくは、中古物件が所在する市区町村役場にお問い合わせください。