中古物件の屋根のリフォーム費用はいくら? - 瓦編 -

中古物件を購入しようと見学すると、屋根の瓦の傷みが激しく、雨漏りがないか心配になることがあります。
そのような場合は、購入後にリフォームを施し、建物の耐用年数を延ばすのが理想です。
しかし、中古物件の購入直後は何かと物入りで、リフォーム費用が高く付かないか不安になります。
そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、瓦の屋根が傷んでいる中古物件を購入しようとする方へ向けて、瓦屋根のリフォーム方法や、リフォーム費用の相場をご紹介しましょう。
1. 瓦には、粘土瓦とセメント瓦があり、リフォーム方法が異なる
瓦といえば、粘土で作られた「粘土瓦」をイメージしますが、セメントで作られた「セメント瓦」も存在します。
瓦屋根のリフォームは、瓦の種類により方法が異なるため、まずは、購入を希望する中古物件の瓦の種類を確認してください。
以下が粘土瓦とセメント瓦の画像です。
粘土瓦

↑こちらが粘土瓦です。粘土瓦は、粘土に釉薬をかけるなどして、高温で焼き上げつつ仕上げられ、主に純和風の中古物件の屋根材として使用されています。なお、粘土瓦は陶器瓦とも呼ばれます。
セメント瓦

↑こちらがセメント瓦です。セメント瓦は、セメントと砂と水を混ぜ合わせつつ作られ、粘土瓦より薄くてカラフルであり、和洋折衷の中古物件の屋根材として多く使用されています。
以上が粘土瓦とセメント瓦です。
それでは、粘土瓦とセメント瓦のリフォーム方法をご紹介しましょう。
粘土瓦のリフォーム方法や費用の相場は、このページの「粘土瓦のリフォーム方法と、リフォーム費用の相場」にてご覧いただけます。
セメント瓦のリフォーム方法と費用の相場は、このページの「セメント瓦のリフォーム方法と、リフォーム費用の相場」にてご覧いただけます。
2. 粘土瓦のリフォーム方法と、リフォーム費用の相場
粘土瓦が使われた屋根のリフォームの方法は、「一部補修」と「葺き直し」「葺き替え」があり、それぞれで費用が異なります。
以下に、各リフォームの詳細や、屋根1㎡あたりの費用の相場をご紹介しましょう。
なお、リフォーム費用は、中古物件の屋根の形状や、依頼するリフォーム店により異なります。
よって、ご紹介するリフォーム費用は目安のため、注意してください。
2-1. 一部補修
台風を原因に、一部の粘土瓦がずれている場合などは、それを補修する軽微なリフォームで完了します。
この補修の費用は、5万円から10万円程度です。
2-2. 葺き直し
粘土瓦自体に傷みがないものの、屋根がたわんでいるように見える場合などは、瓦の下に敷かれている防水シートの老朽化により、瓦を支える下地が腐朽している虞があります。
その際は、既存の瓦を一旦撤去し、防水シートや下地を取り替えつつ瓦を戻す、「葺き直し」によるリフォームがお勧めです。
葺き直しのリフォームの費用は、1㎡あたり11,000円程度であり、屋根の面積が50㎡の場合は、総額55万円程度となります。
なお、屋根の面積が50㎡の一戸建ては、床面積が25坪程度であり、屋根の面積が100㎡の一戸建ては、床面積は50坪程度です。
2-3. 葺き替え
粘土瓦の耐久年数は50年程度です。
よって、中古物件の築年数が50年を超え、過去に葺き替えたことがない場合は、全ての瓦を取り替える「葺き替え」が理想となります。
葺き替える費用は、新しく導入する屋根材の種類により異なり、導入する屋根材は、「粘土瓦系」「スレート系」「金属系」から選ぶのが通例です。
以下に、粘土瓦系、スレート系、金属系の屋根材の詳細と、葺き替えるリフォームの費用をご紹介しましょう。
- 粘土瓦系(屋根1㎡あたり25,000円から)
- 既存の粘土瓦を撤去し、新しい粘土瓦に葺き替えるリフォームの費用の目安は、新しく導入する瓦のグレードにより異なりますが、安価な瓦を選ぶ場合は、材料費、施工費など込みで屋根1㎡あたり25,000円程度から、高価な瓦を選ぶ場合は、屋根1㎡あたり50,000円程度が相場です。
- スレート系(屋根1㎡あたり15,000円程度)
- スレート系の屋根材とは、セメントを主成分として作られた板状の屋根材を表します。
スレート系の屋根材は、カラーベストやコロニアルとも呼ばれ、粘土瓦より軽く、材料費が安価なことが特徴で、屋根1㎡あたりのリフォーム費用は、材料費、施工費など込みで15,000円程度です。
なお、スレート系の屋根材に葺き替えると、10年に一度程度、塗装を施す必要があり、その際のリフォーム費用は、屋根1㎡あたり6,000円からとなっています。
スレートの屋根

- 金属系(屋根1㎡あたり20,000円程度)
- 金属系の屋根材とは、金属で作られた板状の屋根材を表します。
金属系の屋根材は様様な種類がありますが、最近の葺き替えで使用されるのは、ガルバリウム鋼板と呼ばれる錆びにくい屋根材です。
粘土瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えるリフォーム費用は、材料費、施工費など込みで、屋根1㎡あたり20,000円程度となります。
なお、ガルバリウム鋼板の屋根材に葺き替えると、10年に一度程度、塗装を施す必要があり、その際のリフォーム費用は、屋根1㎡あたり6,000円からです。
ガルバリウム鋼板の屋根

3. セメント瓦のリフォーム方法と、リフォーム費用の相場
セメント瓦が使われた屋根のリフォーム方法は、「塗装」と「葺き替え」があり、行うリフォームにより費用が異なります。
ここから、セメント瓦の屋根を塗装するリフォームと、セメント瓦を葺き替えるリフォームの詳細、それぞれのリフォームの費用をご紹介しましょう。
なお、屋根のリフォーム費用は、中古物件の屋根の形状や傷み具合、依頼するリフォーム店により、金額が高くなったり、安くなることがあります。
よって、ご紹介するリフォーム費用は、目安としてご活用ください。
3-1. 塗装
セメント瓦の耐久年数は、概ね20年とされます。
よって、中古物件の築年数が10年~15年程度の場合は、塗装を施すリフォームがお勧めです。
セメント瓦に塗装を施す際の塗料は、「シリコン系塗料」と「フッ素系塗料」から選ぶのが通例で、2つの塗料は価格と耐久年数が異なります。
以下に、シリコン系塗料とフッ素系塗料の特徴と、屋根1㎡あたりのリフォーム費用をご紹介しましょう。
- シリコン系塗料(屋根1㎡あたり6,000円程度)
- シリコン系塗料とは、安価で耐久性に優れたシリコン樹脂を主成分とする塗料を表します。
シリコン系塗料は、セメント瓦用の塗料だけではなく、外壁材用の塗料としても使われる定番の塗料で、耐久年数は10年~12年程度です。
シリコン系塗料の価格は、屋根1㎡につき3,000円程度で、セメント瓦にシリコン系塗料を塗るリフォームの費用の目安は、施工費込みで屋根1㎡あたり6,000円程度となっています。
なお、中古物件の屋根の面積は、床面積が25坪の場合は50㎡程度、床面積が30坪の場合は60㎡程度です。 - フッ素系塗料(屋根1㎡あたり7,500円程度)
- フッ素系塗料とは、フライパンなどに使用される耐久性に優れた樹脂「フッ素樹脂」が配合された塗料を表します。
フッ素系塗料は、シリコン系塗料と同じく、屋根用や外壁用の塗料として幅広く使用され、耐久年数が15年~17年程度とシリコン系塗料より長いのが特徴です。
フッ素系塗料の価格は、屋根1㎡あたり4,500円程度で、セメント瓦にフッ素系塗料を塗るリフォームの費用は、施工費込みで屋根1㎡あたり7,500円程度となっています。
3-2. 葺き替え(屋根1㎡あたり20,000円程度)
セメント瓦の耐久年数は、概ね20年とされているため、購入を希望する中古物件が築20年以上の場合は、既存のセメント瓦を撤去し、新しい屋根に葺き替えるリフォームがお勧めです。
既存のセメント瓦を撤去し、新しい屋根材に葺き替える際は、ガルバリウム鋼板と呼ばれる、軽くて錆びにくい金属製の屋根材に葺き替えるのが通例となっています。
ガルバリウム鋼板の価格は、屋根1㎡あたり6,000円程度が相場で、セメント瓦をガルバリウム鋼板に葺き替えるリフォームの費用の目安は、材料費、施工費、セメント瓦の処分費用など込みで、屋根1㎡あたり20,000円程度が相場です。
4. 注意! アスベストのセメント瓦は、撤去費用が高くなる
古いセメント瓦には、アスベストが含まれていることがあります。
アスベストは、飛散することで健康に害を及ぼすため、屋根材として、アスベスト含有のセメント瓦を使用する場合は、特に問題はありません。
しかし、セメント瓦を葺き替える際は、セメント瓦を撤去して処分する必要があり、アスベスト含有のセメント瓦を処分する際は、アスベストが含まれていないセメント瓦を処分するより、費用が高額になります。
どれくらい高額になるかは、処分する業者により異なりますが、屋根1㎡あたりのリフォーム費用が、1.5倍から1.7倍程度に高くなるのが通例です。
よって、アスベスト含有のセメント瓦が使用された中古物件を購入すると、屋根の葺き替えが高額になるため、注意してください。
なお、中古物件のセメント瓦にアスベストが含まれているか否かは、検査機関にセメント瓦の破片を持ち込むことにより調査できますが、その際は数万円の費用が必要となるため、併せて注意してください。
5. 屋根をリフォームする際は、外壁もリフォームするとお得(まとめ)
瓦屋根の中古物件を購入しようとする方へ向けて、瓦屋根をリフォームする方法や、リフォーム費用の相場をご紹介しました。
瓦は、粘土で作られた「粘土瓦」と、セメントで作られた「セメント瓦」があり、瓦の種類によりリフォーム方法と費用が異なります。
瓦屋根の中古物件の購入を希望する方がいらっしゃいましたら、参考にしてください。
なお、屋根をリフォームする際は、足場を組む必要があり、足場代が掛かります。
ご紹介したリフォーム費用には、足場代も含まれていますが、外壁をリフォームする際も足場と足場代が必要です。
よって、屋根をリフォームする際は、まとめて外壁もリフォームするのがお勧めです。
そうすれば、足場代を節約しつつ、リフォーム費用を安くできます。
ちなみに、当サイトでは、中古物件の外壁のリフォーム費用をご紹介するコンテンツも公開中で、「中古物件の外壁のリフォーム費用はいくら? - モルタル編 -」よりご覧いただけます。
お時間のある方は、ぜひご覧ください。失礼いたします。