要る?要らない?中古住宅を購入するときの実印の必要性

中古住宅を購入する際は、売買契約自体に実印は不要です。
ただし、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する際は、実印が必要となります。
中古住宅の購入を希望しつつ、実印が必要か調べる方へ向けて、実印の必要性と、購入する際に捺印を求められるタイミングをわかりやすくご説明しましょう。
目次
1. 住宅ローンは要る。現金は要らない
中古住宅を購入する際は、住宅ローンで購入する場合と現金で購入する場合により、以下のように実印の必要性が異なります。
住宅ローンで中古住宅を購入する場合
住宅ローンで中古住宅を購入する際は、金融機関に仮審査と本審査を申し込み、本審査にとおり次第、金融機関と金銭消費貸借契約を締結しつつ資金を借り入れます。
本審査に申し込む際や、金銭消費貸借契約を締結する際は実印が必要です。
実印を押す際は、あわせて印鑑登録証明書の提出も求められます。
現金で中古住宅を購入する場合
現金で中古住宅を購入する場合は、実印は不要です。
中古住宅を購入する際は、売買契約書に署名捺印しつつ、売主と売買契約を締結しますが、売買契約書への捺印は認印で構いません。
ただし、売買契約書には、売主の住所氏名と捺印、買主の住所氏名と捺印が「甲」と「乙」という形で並びますが、売主が実印を捺印し、買主が認印を捺印すると、買主の認印が見劣りすることがあるため注意してください。

2. 中古住宅を購入するときの捺印のタイミング
中古住宅などの不動産を購入する際は、幾度となく捺印を求められます。
個人の方が不動産業者を仲介させつつ売りに出す、一般的な中古住宅を住宅ローンで購入する流れと共に、実印や認印などで判子を押すタイミングをご紹介しましょう。
1. 購入申し込み(認印での捺印)
理想の中古住宅を探しつつ、購入を希望する中古住宅が見つかれば、その中古住宅を仲介する不動産業者を通じて、売主に購入申込書を提出します。
購入申込書とは、その中古住宅を購入する意思があることを伝える書面で、購入申込書には認印での捺印が必要です。
2. 媒介契約(認印での捺印)
売主に購入申込書が受理されれば、媒介契約書に署名捺印しつつ、その中古住宅を仲介する不動産業者と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、その不動産業者を仲介しつつ中古住宅を購入することを約束するもので、媒介契約書への捺印は認印で構いません。
3. 重要事項説明(認印での捺印)
不動産業者と媒介契約を締結するなどし、中古住宅を購入することが決定すれば、不動産業者から重要事項説明を受けます。
重要事項説明とは、その中古住宅の現状や、売買契約の詳細が口頭にて説明されるもので、重要事項説明書に署名捺印することにより完了します。
重要事項説明書への捺印は、認印で構いません。
4. 売買契約(認印での捺印)
重要事項説明が完了すれば、売主と売買契約を締結します。
売買契約は売買契約書に署名捺印することにより締結され、捺印は認印で構いません。
また、売買契約書には収入印紙(印紙税を徴収するために財務省が発行する証票)を貼る必要があり、収入印紙には認印での消印が必要です。
さらに、売買契約書は複数の書面から構成されるため、その複数の書面が一連のものであることを証明するための認印での契印が必要となります。
売買契約を締結する際は、消印や契印など、幾度となく捺印を求められるため留意してください。
5. 住宅ローンの申し込み(実印での捺印)
売主と売買契約を締結すれば、金融機関に住宅ローンの審査を申し込みます。
審査は「仮審査」と「本審査」の二段階に分かれ、本審査を申し込む際は、申込書への実印での捺印と印鑑登録証明書の提出を求められます。
6. 金銭消費貸借契約(実印での捺印)
住宅ローンの本審査に通過すれば、金融機関と金銭消費貸借契約を締結しつつ資金が貸し出され、貸し出された資金をもって売主に代金を決済します。
金銭消費貸借契約とは、住宅ローンの返済を約束する契約で、金銭消費貸借契約書に実印での捺印と署名をすることにより締結されます。
また、住宅ローンで中古住宅を購入する際は、抵当権(借主が住宅ローンを返済しない場合に、金融機関などが中古住宅を売却できる権利)を設定しつつ、中古住宅の所有権移転登記(売主から買主への名義変更)を行います。
所有権移転登記の手続きは金融機関が斡旋する司法書士が代行しますが、その委任状にも実印での捺印が必要です。

まとめ - 売買契約は、捺印ばかりで目がまわる…
中古住宅を購入する場合における実印の必要性をご説明しました。
中古住宅を購入する際は、売主と売買契約を締結する必要があり、売買契約書への署名捺印を求められますが、認印で構いません。
そして、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は、売主との売買契約の締結と、金融機関との金銭消費貸借契約の締結が必要で、金銭消費貸借契約書には実印での捺印を求められます。
よって、現金で中古住宅を購入する場合は実印は不要で、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は実印が必要です。
中古住宅の購入を希望しつつ、実印の必要性を調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
ただし、中古住宅を仲介する不動産業者によっては、現金で購入する場合でも、本人確認などの理由で、売買契約書への実印での捺印を求めることがあります。
また、実印での捺印を求められる場面では、必ず印鑑登録証明書の提出も求められます。
そのため、中古住宅を購入する際は、現金、住宅ローン問わず、実印と印鑑登録証明書を用意しておくのが望ましいといえるでしょう。
なお、この記事でご紹介したとおり、売買契約の際は売買契約書への捺印と契印、収入印紙への消印が求められますが、売買契約書は売主分と買主分の合計2通が作成され、その両方への捺印を求められます。
つまり、売買契約の際は、2通の売買契約書への捺印、消印、契印を求められるというわけです。
このため、売買契約の際は、次から次へと判子を押すことになります。
売買契約の際は、捺印で目がまわることがないように注意してください。
記事公開日:2019年9月