中古住宅を購入する際に受けられる検査いろいろ(費用の目安付)

中古住宅は、新築より築年数が経っているため瑕疵(欠陥)が心配です。
瑕疵があると購入後に修繕を要するなど面倒ですが、検査を受ければ安心で、場合によっては補償を受けることも可能です。
中古住宅の購入を希望するものの瑕疵が気になる方へ向けて、購入前の中古住宅に実施できる物件検査を費用の目安付きでご紹介しましょう。
目次
1. 大手不動産業者による検査(費用は無料~5.5万円程度)
三井不動産リアルティ、野村不動産アーバンネットなどの大手不動産業者は、自社が仲介する中古住宅に対して、独自の検査を実施します。
以下に各不動産業者の検査の詳細をご紹介しましょう。
なお、大手不動産業者は、一般の不動産仲介業者と比べ、中古住宅の価格を高く設定していることがあるため注意してください。
三井不動産リアルティ「建物調査」
三井不動産リアルティでは、自社が仲介する中古住宅に対して、雨漏りやシロアリ被害の有無、給排水管の故障などを55,000円にて検査します。
また、追加で35,000円の保証料を支払えば、中古住宅を購入後に瑕疵が見つかった際に最大1,000万円までの補償を受けることが可能です。
詳細は「建物調査|三井のリハウス」にてご覧いただけます。
野村不動産アーバンネット「あんしん建物補修」
野村不動産アーバンネットでは、自社が仲介する築30年以内の一戸建ての中古住宅などに対して、雨漏りやシロアリ被害の有無、建物の主要な部分の腐食、給排水管の故障などを目視にて検査します。
検査費用は野村不動産アーバンネットが負担し、中古住宅を購入後に瑕疵が見つかった際は5万円までの補償金が支払われます。
野村不動産アーバンネットの検査の詳細は「あんしん建物補修|野村の仲介+(PLUS)サービス」にてご覧いただけます。

2. 専門業者によるインスペクション(費用は5~8万円程度)
インスペクションとは、ホームインスペクションとも呼ばれる住宅診断のことで、建築知識があるインスペクター(検査員)が住宅の瑕疵を調査する検査です。
一戸建ての中古住宅に対してのインスペクションは、屋根の傷み具合や雨漏りの有無、給排水管や換気ダクトの破損、床下のシロアリ被害の有無などが目視で検査され、中古マンションに対しては、上階からの漏水や鉄筋の露出などが検査されます。
インスペクションは様々な業者が実施し、Yahoo!で「東京都 ホームインスペクション」などで検索すれば、インスペクション業者を探すことができます。
インスペクションの料金は5~8万円程度で、どの中古住宅にも実施できますが、売買契約を締結する前にインスペクションを行うには、売主の承諾が必要となるため注意してください。
なお、日本建築士会連合会に所属するインスペクターや、日本ホームインスペクターズ協会に所属するインスペクターが実施したインスペクションは、見落としがあった場合、インスペクターに対して100万円~1000万円の保険金が支払われ、保険金で中古住宅の修繕費用が賄われます。
そのため、インスペクションは、日本建築士会連合会や日本ホームインスペクターズ協会に所属するインスペクターに依頼するのがおすすめです。
日本建築士会連合会に所属するインスペクターは「建築士会インスペクター | 公益社団法人 日本建築士会連合会」のページ下部にある「建築士会インスペクター登録者名簿」にて、日本ホームインスペクターズ協会に所属するインスペクターは「日本ホームインスペクターズ協会 - 認定会員リスト」にて検索できます。
インスペクションについて詳しくは、当サイトのコンテンツである「インスペクションとは? 費用の目安や、賢い業者の選び方を解説」をご覧ください。

3. フラット35による物件検査(費用は5~8万円程度)
フラット35は、一定の条件を満たした高品質な住宅を購入する際しか利用できず、融資が実行されません。
そのため、フラット35で中古住宅を購入する際は、中古住宅の品質を検査し、物件が一定の条件をクリアしていることを証明する「適合証明書」を取得しつつ住宅ローンの審査を受ける必要があります。
よって、フラット35を利用しつつ中古住宅を購入すれば、必然的に検査を受けることが可能です。
フラット35の住宅検査では、耐火性や耐震性に関すること、床下の腐朽やシロアリ被害に関することなどが検査され、検査費用は5~8万円程度となっています。
フラット35の物件検査を実施する機関は、フラット35の公式サイト内のページ「適合証明のお問い合わせ窓口:長期固定金利住宅ローン【フラット35】」にて検索できます。

まとめ - 瑕疵が気になる場合は、瑕疵担保責任免責の物件は禁物
中古住宅の購入を希望する方へ向けて、中古住宅に実施できる検査をご紹介しました。
三井不動産リアルティなど、大手不動産業者が仲介する中古住宅を購入すれば、不動産業者が実施する検査を受けることができます。
また、一般の中古住宅を購入する際は、売主の承諾が得られれば、インスペクション(住宅検査)を実施することが可能です。
さらに、フラット35を利用する際は、必ず検査を実施する必要があるため、一定の条件を満たした高品質な中古住宅を購入できます。
購入を希望する中古住宅の瑕疵が気になる場合は、これらの検査を受けつつ売買契約を締結するように心掛けてください。
なお、一般的な中古住宅を購入し、引き渡し後に雨漏りなどの瑕疵が見つかった場合は、売主が修繕費用を負担する義務があり、これを瑕疵担保責任と呼びます。
一般的な中古住宅を購入し、引き渡し後に瑕疵が見つかった場合は、売主が修繕費用を負担することを留意してください。
しかし、築年数が古い中古住宅などは、引き渡し後に瑕疵が見つかっても、売主が修繕費用の支払いを免れることを約束した「瑕疵担保責任免責」が売買契約に付いていることがあります。
瑕疵担保責任免責が付いた中古住宅を購入すると、引き渡し後に瑕疵が見つかった際に、買主が修繕費用を負担しなければなりません。
そのため、中古住宅の購入を希望するものの、瑕疵や修繕費用の負担者に関する取り決めが特に気になる場合は、瑕疵担保責任免責が付いた中古住宅だけは購入しないように注意してください。
購入を希望する中古住宅に瑕疵担保責任免責が付くか否かは、その中古住宅を仲介する不動産業者に問い合わせれば確認できます。
記事公開日:2019年8月