中古住宅を購入したい。個人売買にはどんなリスクがある?

中古住宅を購入したい。個人売買にはどんなリスクがある?

中古住宅を探しつつ良い不動産が見付かり、いざ購入しようとすると、売主から個人売買を勧められることがあります。

中古住宅を個人売買で購入すれば、宅地建物取引業者を仲介させないため、高額になる仲介手数料を節約できます。

しかし、中古住宅の個人売買はリスクや注意すべき点が多く、不動産に関する知識に自信がない限り、避けた方が無難です。

中古住宅を購入したいと希望する方へ向けて、通常の売買と個人売買の違いや、個人売買に潜むリスク、注意点などをご紹介しましょう。

1. 通常の売買と個人売買の違いとは?

アットホームやライフルホームズなどで中古住宅を検索すると、数千もの不動産がヒットしますが、これらの不動産は全て、個人が宅地建物取引業者に仲介を依頼しつつ売りに出されている物件です。

宅地建物取引業者とは、いわゆる不動産屋(不動産仲介業者)のことで、不動産を売りたいと希望する売主と、購入したいと希望する買主をマッチングさせ、売買を成立させるのを生業としています。

宅地建物取引業者が不動産の売買を成立させる際は、売主と買主の双方から仲介手数料を取り、その手数料が宅地建物取引業者の収益です。

また、街中の不動産屋で不動産を探すと、たくさんの中古住宅が売りに出されていますが、これらも全て、個人が宅地建物取引業者に仲介を依頼しつつ売りに出されている物件となっています。

このように、個人が宅地建物取引業者に仲介を依頼しつつ売りに出す中古住宅を購入することが、一般的な不動産の購入方法です。

これに対して個人売買とは、個人が売りに出す中古住宅を個人間で直接売買する方法であり、宅地建物取引業者を仲介させず取り引きします。

個人売買は宅地建物取引業者を仲介させないだけに、高額となる仲介手数料が発生せず、諸費用を節約できるのが特徴です。

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2. 中古住宅を個人売買で購入するリスクと注意すべき点

中古住宅を個人売買で購入すれば、宅地建物取引業者を仲介させないため、売主も買主も仲介手数料を節約できます。

仲介手数料は数十万円にもなることがあるため、思わず個人売買に手を出しそうになることがありますが、個人売買にはたくさんのリスクがあり注意が必要です。

中古住宅の個人売買に潜むリスクや、注意すべき点をわかりやすくご紹介しましょう。

リスク1. 中古住宅の詳細を確認できない

宅地建物取引業者が不動産の売買を仲介する際は、宅地建物取引業法により、買主に対して重要事項説明を実施することが義務付けられています。

重要事項説明とは、中古住宅の正式な所有者に関する情報や、法令により制限されること、建物の状態や飲用水の引き込み状況などが口頭にて説明されるものです。

さらに重要事項説明では、中古住宅の売買契約の内容に関すること、代金の支払いに関すること、売主や買主が売買契約の内容に沿わない行為を行った場合の違約金などに関する取り決めなども説明されます。

重要事項説明は約1時間にわたり実施され、買主が説明に納得すれば、説明内容を文章にまとめた重要事項説明書に署名捺印することにより完了します。

これに対して個人売買では、重要事項説明は行われません。

理由は、重要事項説明を実施できるのは宅地建物取引士に限られるためです。

つまり、宅地建物取引業者を仲介させつつ中古住宅を購入する場合は、約1時間にも及ぶ、中古住宅の仕様や売買契約の内容に関する説明を受けることができるものの、個人売買では説明を受けられないというわけです。

説明を受けることができなければ、購入する中古住宅の詳細を知ることができません。

詳細を知らないまま中古住宅を購入するということは、よく分からない商品を購入するのと同じであり、たくさんのリスクを背負うことになります。

リスク2. 売買契約書の内容を煮詰めるのが難しい

宅地建物取引業者を仲介させつつ中古住宅を購入する際は、宅地建物取引業者が売買契約書を作成します。

売買契約書とは、どのような不動産が、どのような形で売買されたか書き記された書面であり、中古住宅の引き渡し後に問題が発覚したときに、売主と買主が「言った・言わない」と論争になることを防ぐために作成される重要な契約書です。

たとえば売買契約書には、代金の支払いに関すること、中古住宅の引き渡し後に欠陥が発見された場合の修理費用の負担者に関することなど、様々な約束事が記されています。

このように重要である売買契約書を作成するのは、不動産売買の知識に長けた宅地建物取引業者が作成するのが望ましく、個人が作成するのは好ましくありません。

また、ネットで「不動産 売買契約書」などで検索すると、売買契約書のひな型が落ちていますが、売買契約書は売買する不動産ごとに内容が異なる必要があるため、ひな型は頼りになりません。

中古住宅を購入する際は売買契約書の内容が重要で、内容に不備があった場合、後から困るのは大抵買主です。

よって、不動産を個人売買すると、不動産売買の知識がある宅地建物取引業者が売買契約書を作成してくれず、大きなリスクを抱えることになります。

リスク3. 住宅ローンが組めない

住宅ローンを利用しつつ、宅地建物取引業者が仲介する中古住宅を購入する際は、主に以下の流れで購入します。

  • ネットなどで中古住宅を探す
  • 目当ての中古住宅が見付かれば、宅地建物取引業者(不動産屋)に連絡を取りつつ現地を見学する
  • 中古住宅が気に入り購入を希望する場合は、宅地建物取引業者と媒介契を締結し、売主に購入申し込みを行う
  • 売主が購入申し込みを承諾すれば、宅地建物取引業者から重要事項説明を受け、重要事項説明書に署名捺印する
  • 売主と売買契約を締結しつつ売買契約書に署名捺印し、売主に手付金を支払う
  • 金融機関に住宅ローンの仮審査を申し込む
  • 金融機関に住宅ローンの本審査を申し込む
  • 融資が実行され次第、売主に残金を支払う
  • 中古住宅が引き渡される

宅地建物取引業者が仲介する中古住宅をローンで購入する際は、主に上記の流れで購入しますが、「7」の住宅ローンの本審査には、「4」で署名捺印した重要事項説明書と、「5」で署名捺印した売買契約書の提出を求められます。

売買契約書は個人でも作成できますが、重要事項説明書は宅地建物取引業者しか作成できません。

よって、中古住宅を個人売買する場合は、住宅ローンを利用できないというリスクがあります。

中古住宅の個人売買に潜むリスクと注意すべき点

3. 個人売買なら消費税が掛からないってホント?

ネットで中古住宅の個人売買に関することを調べると、個人売買であれば消費税が掛からず、諸費用を節約できるという情報を見かけます。

確かに不動産売買に関する消費税は、事業者が販売する不動産を購入する場合に限り課せられ、個人がマイホームとして利用していた不動産を購入する場合は課せられません。

そのため、個人がマイホームとして利用していた中古住宅を個人売買で購入する場合は、消費税が掛からず諸費用を節約できます。

しかし、個人がマイホームとして利用していた中古住宅を購入する場合は、宅地建物取引業者を仲介させても消費税は掛かりません。

よって、個人がマイホームとして利用していた中古住宅を購入する場合は、個人売買で購入する場合も、宅地建物取引業者を仲介させつつ購入する場合も消費税が掛からず、諸費用を節約できます。

反対に、個人が事業として活用していた中古住宅を購入する場合は、個人売買で購入する場合も、宅地建物取引業者を仲介させつつ購入する場合も消費税が掛かるため注意してください。

なお、宅地建物取引業者が仲介する中古住宅を購入する場合は、宅地建物取引業者に仲介手数料を支払う必要がありますが、仲介手数料には消費税が掛かります。

中古住宅の消費税

売買形態 消費税
個人売買で、個人がマイホームや別荘として利用していた中古住宅を購入する場合 消費税は掛からない
宅地建物取引業者を仲介させつつ、個人がマイホームや別荘として利用していた中古住宅を購入する場合 消費税は掛からない
個人売買で、個人が事業として活用していた中古住宅を購入する場合 消費税が掛かる
宅地建物取引業者を仲介させつつ、個人が事業として活用していた中古住宅を購入する場合 消費税が掛かる
持ち主が宅地建物取引業者である中古住宅を購入する場合 消費税が掛かる
宅地建物取引業者に支払う仲介手数料 消費税が掛かる

4. 親族間であれば、個人売買も悪くない

中古住宅を個人売買で購入すると、中古住宅の詳細を確認できないまま引き渡される虞があるなど、様々な不安が残ります。

また、中古住宅を個人売買で購入すると、売買契約書の内容を充分に煮詰めることができず、引き渡し後に瑕疵(欠陥)が見付かった場合の修理費用の負担者なども明確にできません。

よって、中古住宅を個人売買で購入することには大きなリスクがあります。

しかし、信頼できる親族間や家族間などで中古住宅を売買する場合は、個人売買も悪くありません。

宅地建物取引業者を仲介させなければ、高額になる仲介手数料が発生せず、諸費用を節約できます。

中古住宅を購入した後は所有権移転登記が必要ですが、売買を行った親族全員で法務局に出向き、係の方の説明を聞きながら書類を提出すれば、ご自分でも手続きが可能です。

所有権移転登記とは名義変更のことで、法務局とは不動産の所有者などに関する情報が記載された帳簿を管理する法務省の地方支分部局を表し、所有権移転登記の際は、購入した中古住宅が所在する地域を管轄する法務局に出向く必要があります。

所有権移転登記の際は、売買契約書など、名義変更を行う原因となる行為を証明する書類の提出などを求められるため、ひな型に則った売買契約書を作成しておくのが良いでしょう。

所有権移転登記の手続きが複雑で難しいと感じる場合は、司法書士に依頼すれば5~8万円程度の費用で代行してくれます。

なお、住宅ローンを利用する場合は、審査の際に重要事項説明書の提出を金融機関から求められるため、親族間の売買であっても宅地建物取引業者を仲介させるのが理想です。

重要事項説明書は、宅地建物取引業者しか作成できません。

信頼できる親族間であれば、個人売買も悪くない

まとめ - 不動産売買は、宅地建物取引業者を仲介させるのが理想

中古住宅を購入したいと希望する方へ向けて、通常の売買と個人売買の違いや、個人売買に潜むリスク、注意すべき点などをご紹介しました。

個人間で中古住宅を売買すれば、売主も買主も仲介手数料を支払う必要がなく諸費用を節約できます。

そのため、稀に個人売買を勧める売主の方がいらっしゃいますが、個人売買は中古住宅の詳細などを確認できず、問題があった場合の対処法も明確にできず、取引に不安が残るため注意してください。

不動産売買で、取引後に泣きを見るのは大抵買主です。

ただし、宅地建物取引業者を仲介させつつ中古住宅を購入すれば、全ての不動産売買が安全というわけではありません。

たとえば、不動産売買に関する様々な訴訟や裁判などを見聞きしますが、宅地建物取引業者を仲介させつつ行われた売買が多数を占めます。

国土交通省ネガティブ情報等検索システム」を利用すれば、法令に違反する売買取引を斡旋するなどして、行政処分の対象となった多数の宅地建物取引業者を確認できます。

よって、宅地建物取引業者を仲介させつつ中古住宅を購入する場合も油断せず、売買契約書や重要事項説明書を隅々まで読み、その売買に不安がある場合は、取引内容を煮詰めるように心掛けてください。

不動産を購入する際は、不動産に関する本を読んだり、市役所などで実施している無料弁護相談などを活用しつつ知識を深め、自分で石橋を叩きながら購入するのが一番です。