中古住宅を購入しつつ自分で登記したい。できる?できない?

中古住宅を購入した後は、5~15万円程度の報酬を支払いつつ、司法書士に所有権移転登記(中古住宅の名義を売主から買主に変更する登記)の手続きを代行させるのが通例です。
しかし、所有権移転登記は自分で申請することも可能で、自分で登記すれば、司法書士への報酬を節約しつつ諸費用を安くできます。
とはいうものの、中古住宅を購入した場合における所有権移転登記は、自分でできる場合と難しい場合があります。
中古住宅を購入しつつ自分で登記したいと希望する方へ向けて、所有権移転登記が自分でできる状況と、できない状況をご紹介しましょう。
目次
1. 自分で登記できる状況
中古住宅を購入しつつ自分で登記すれば、5~15万円程度の諸費用を節約できますが、自分でできる場合とできない場合があります。
まずは、自分で登記できる状況をご紹介しましょう。
親族間など、信頼できる間柄で中古住宅を売買する場合
中古住宅を購入した場合における所有権移転登記の手続きは、その中古住宅が所在する地域を管轄する法務局(法務省の地方支部局)で行います。
そして、所有権移転登記を申請する際は、売主の印鑑登録証明書など、売主だけが所有する複数の重要書類の提出を求められます。
印鑑登録証明書などの重要書類を容易く他人に預ける人は稀です。
そのため、見知らぬ他人から中古住宅を購入した場合は、売主から重要書類を取り付けるのが難しく、自分での登記はできない、または難しいのが現状です。
しかし、親族間など、信頼できる間柄で中古住宅を売買したのであれば、印鑑登録証明書などを持参しつつ、売主と買主の両者で法務局に出向けば、自分で登記することが可能です。
売主の協力が得られる場合
中古住宅を購入し、自分で所有権移転登記を実施したいと希望する場合は、印鑑登録証明書などの重要書類を売主から取り付けなくてはなりません。
大抵の売主は、氏素性を知らぬ人に印鑑登録証明書などを預けるのを嫌うため、自分での登記は難しいのが現状です。
しかし、売主に理解があり、買主が自分で所有権移転登記を実施することに協力的で、印鑑登録証明書などを預けてくれるのであれば、自分でも登記できます。
よって、中古住宅を購入しつつ自分で登記したいと希望する場合は、その旨を伝えつつ売主に協力を求めるのが良いでしょう。

2. 自分で登記できない、または難しい状況
つぎに、中古住宅を購入し、自分で登記できない、または難しい状況をご紹介しましょう。
住宅ローンで中古住宅を購入した場合
住宅ローンで中古住宅を購入した場合は、所有権移転登記と共に抵当権が設定されます。
抵当権とは、買主が借り入れ金を返済しない場合に、金融機関や保証会社(連帯保証人の役割を果たす、住宅ローンの返済を保証する会社)が中古住宅を売却できるなどの権利を表します。
そして、金融機関が住宅ローンを貸し出す際は、金融機関が斡旋する司法書士が、所有権移転登記と抵当権の設定の手続きを代行するのが条件です。
そのため、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する場合は、残念ながら自分では登記できません。
売主や不動産業者から協力が得られない場合
中古住宅を購入しつつ自分で登記したいと希望する場合は、買主か印鑑登録証明書などの重要書類を取り付ける必要があります。
売主に理解があり、それらの重要書類を預けてくれるのであれば、自分で登記することが可能ですが、協力が得られない場合は難しいのが現状です。
また、一般的な中古住宅は、不動産業者を仲介しつつ売買され、司法書士に報酬を支払いながら所有権移転登記の手続きを代行させますが、報酬を支払うのは買主のみです。
つまり、売主は費用を負担せずとも、安心して司法書士に所有権移転登記の手続きを任せられるというわけです。
そのため、買主が自分で登記をすることに協力的な売主は、非常に稀かもしれません。
さらに、不動産業者を仲介させつつ中古住宅を購入する場合は、手続きのミスを危ぶみ、不動産業者が買主による登記を嫌うこともあります。
中古住宅を購入しつつ自分で登記したいと希望する場合は、売主と不動産業者の協力が欠かせません。

まとめ - 状況が許せば、自分で登記できるものの…
中古住宅を購入しつつ自分で登記したいと希望する方へ向けて、できる場合とできない場合をご紹介しました。
中古住宅を購入した後は、売主から買主に名義を変更する所有権移転登記が必要で、報酬を支払いつつ司法書士に代行させるのが通例です。
しかし、所有権移転登記は手続きが複雑でありつつも、一般の方も申請できます。
そのため、中古住宅を購入して自分で登記すれば、司法書士への報酬を節約しつつ諸費用を安くできますが、それには売主からの信頼や協力が必要です。
よって、中古住宅を購入しての自分での登記は、信頼できる間柄での売買に限られるのが現状となっています。
反対に、親族間など、信頼できる間柄での売買であれば、所有権移転登記を自分で申請できるため、状況が許す場合は、ぜひ挑戦してください。
所有権移転登記を申請する際は、売主の印鑑登録証明書に加え、固定資産評価証明書、登記済権利証、登記原因証明情報など複数の書類が必要ですが、売主と買主が協力すれば、手間暇は掛かりますが揃います。
必要書類や申請方法が分からない場合は、法務局の窓口で聞けば係の方が丁寧に教えてくれるため、法務局に足を運び、申請方法を確認するのが良いでしょう。
ちなみに、私も自分の住居の表題登記と所有権保存登記をした経験がありますが、その際は3~4回ほど法務局に通いました。
簡単に見えて難しく、何度もやり直しになるのが登記申請です。
私は地方に住んでいるため、法務局まで車で片道60分ほど掛かり、往来に苦労しました。
記事公開日:2019年9月