中古住宅を購入したい。耐震性は大丈夫?耐震診断を自分でする方法

中古住宅を購入したい。耐震性は大丈夫?耐震診断を自分でする方法

中古住宅を購入する際は耐震性が気になりますが、購入前の中古住宅に耐震診断を実施するには売主の承諾が必要です。

売主が承諾すれば専門家による耐震診断を行い、建物の耐震性を確認しつつ中古住宅を購入できますが、拒否すれば実施できません。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」は、一戸建ての木造中古住宅の購入を希望するものの、耐震性が気になる方へ向けて、自分で簡易的な耐震診断を行う方法や、耐震リフォームに対する補助金、減税制度をご紹介しましょう。

なお、ご紹介する内容は、木造の一戸建て中古住宅の耐震性を判断する際に活用できるもので、中古マンションは該当しないため注意してください。

1. 中古住宅の耐震性はここを見る。確認すべき8のポイント

木造の一戸建て中古住宅を購入する際は、ご自身でも耐震診断が可能です。

ご自身で購入前の中古住宅の耐震性を判断する8つのチェックポイントをご紹介しましょう。

なお、ご紹介する内容は簡易的な耐震診断であり、確実ではありません。

そのため、購入前の中古住宅の耐震性を確実に判断したいと希望する場合は、売主の承諾を得つつ、建築士などの専門家による耐震診断を実施してください。

一般的な耐震診断の費用は10~20万円程度ですが、中古住宅の所有者である売主が耐震診断を専門家に依頼すれば、自治体から補助金が支給されます。

チェックポイント1 建てられたのはいつ?

建物は建築基準法に則って建築されますが、1981年6月(昭和56年6月)に建築基準法が大きく改正され、耐震性を配慮しつつ設計された住宅でなければ建築できなくなりました。

そのため、購入を希望する中古住宅の建築年月日を確認すれば、ある程度の耐震性が判断できます。

たとえば、その中古住宅が1981年6月以前に建築された場合は、あまり耐震性は期待できないと判断することが可能です。

反対に、その中古住宅が1981年6月以降に建築された場合は、ある程度の耐震性が期待できます。

購入を希望する中古住宅の建築年月日は、その中古住宅を仲介する不動産業者に問い合わせたり、中古住宅の登記簿を見れば確認できます。

登記簿とは、その中古住宅の詳細などが記載された公の帳簿で、購入を希望する中古住宅の登記簿は、その中古住宅が所在する地域を管轄する法務局で閲覧することが可能です。

なお、1981年に建てられた中古住宅は、令和元年の時点で築38年となっています。

築38年以上の中古住宅は耐震性が劣る可能性がある

チェックポイント2 建物の形状はシンプル?

マッチ棒を木工用ボンドで接着しつつ小さな模型の家を作ると、四角形や長方形などの単純な家ほど倒れにくく、形が複雑な家ほど倒れやすくなります。

一戸建ての中古住宅も同じで、形状が単純なほど地震に強く、複雑なほど地震に弱いのが通例です。

そのため、中古住宅の耐震性を自分で判断する際は、建物の形を確認することが大切です。

中古住宅は、形状が単純なほど耐震性がある

チェックポイント3 増築はない?

築年数が古い中古住宅を見学すると、建物の一部分のみ外壁材が異なる場合があります。

外壁材が異なる箇所は増築された可能性があり、増築された建物はバランスが崩れ耐震性が低くなるのが通例です。

増築は既存の建物に新たな建物を継ぎ足しますが、継ぎ目の部分がもろく、大きな地震が起きると接合箇所が外れてしまい、増築部分も本体部分も倒壊しやすくなります。

また、四角形や長方形などバランスに配慮しつつ建築された住宅も、増築することによりいびつになり、耐震性が弱くなっていることがあります。

よって、中古住宅の耐震性を自分で判断する際は、増築部分がないか注意深く確認することが大切です。

ただし、建築士などの専門家が耐震計算を行いつつ増築した中古住宅であれば問題ありません。

増築された中古住宅は揺れに弱く、大きな地震で建物全体が倒壊する可能性がある

チェックポイント4 屋根材には何が使われている?

中古住宅には様々な屋根材が使用されていますが、主な屋根材は以下の3つです。

  • 陶器やセメントで作られた「瓦」(重い)
  • セメントを板状に加工した「スレート」(比較的軽い)
  • 金属で作られた「トタン」や「ガルバリウム鋼板」(軽い)

上記の3つの中で最も重いのは「瓦」で、屋根が重い建物はバランスが悪く地震で大きく揺れます。

そのため、中古住宅の屋根材を見れば、ある程度の耐震性を判断することが可能で、瓦であれば地震に弱く、スレートやトタン、ガルバリウム鋼板であれば地震に強い可能性があります。

ただし、瓦の屋根はメンテナンスを要する回数が少なく、スレートやトタン、ガルバリウム鋼板の屋根は定期的なメンテナンスが必要になるため注意してください。

中古住宅は、屋根材が軽いほど耐震性がある

チェックポイント5 建物の角に窓やドアはない?

建物はたくさんの柱で構成され、柱が壁や屋根を支えています。

中古住宅は、柱で壁や屋根を支えている

そのため、地震で柱が倒れると建物が倒壊してしまいますが、地震の揺れで柱が倒れないように、柱と柱は「筋交い」と呼ばれる斜めの材料で補強されています。

柱と柱の間にある、斜めの材料が筋交い

筋交いは、全ての柱と柱の間に入っている必要はありませんが、建物の角の柱に筋交いが入っていれば、地震の揺れに強くなります。

建物の角の柱に筋交いが入っていれば、特に地震に強い

しかし、窓やドアがある壁には筋交いを入れることができません。

窓やドアがある壁には筋交いが入らない

つまり、建物の角に窓やドアがある中古住宅は、角の柱に筋交がないというわけです。

角の柱に筋交いが入っていない建物は、入っている中古住宅より耐震性が劣ります。

よって、自分で購入前の中古住宅に耐震診断を実施する場合は、建物の角の部分にドアや窓がないか確認することが大切です。

ただし、角の部分に窓やドアがなくとも、そこに必ず筋交いが入っているとは限らないため注意してください。

また、筋交いが入っていても、きちんと取り付けられていない場合は、やはり耐震性が劣ります。

なお、耐震性を配慮しつつ角に窓やドアを設置した中古住宅であれば、耐震性に問題がないこともあるため留意してください。

チェックポイント6 「1階と2階」のバランスは良い?

たくさんの中古住宅を見学すると、1階より2階の床面積が大きい物件を見かけます。

当然ですが、一戸建ての2階部分は1階が支えています。

そのため、1階より2階の床面積が大きい中古住宅はバランスが悪く、耐震性が劣ることがあります。

よって、自分で中古住宅の耐震診断を行う際は、その中古住宅の1階と2階の床面積のバランスを見ることが大切です。

また、1階が駐車場であり、2階や3階が住居になっている中古住宅を見かけますが、1階が駐車場の建物は1階部分に十分な柱を設置できず、耐震性が劣ることがあるため注意してください。

ただし、建築時に建築士による構造計算が行われた中古住宅は、この限りではありません。

1階より2階が大きい中古住宅や、1階が駐車場の中古住宅は耐震性が劣ることがある

チェックポイント7 基礎はどんな感じ?

基礎とは建物を支える土台のことで、中古住宅の基礎は、コンクリートで作られた「ベタ基礎」や「布基礎」、木材で作られた「独立基礎」などがあります。

中古住宅の基礎は、ベタ基礎や布基礎、独立基礎などがある

築年数が浅い中古住宅の基礎は、大抵「ベタ基礎」や「布基礎」で作られていますが、築年数が古い田舎暮らし向けの中古住宅などは「独立基礎」で作られていることがあります。

「ベタ基礎」や「布基礎」は地震に強く、「独立基礎」は地震に弱いのが通例です。

そのため、自分で中古住宅の耐震診断を行う際は、基礎の種類を確認することが大切です。

なお、山間部にある別荘地などで、鉄骨の基礎を用いつつ、傾斜地に建てられた中古住宅を見かけることがありますが、同じく地震に弱い傾向があるため注意してください。

チェックポイント8 隣に田畑がない?

田や畑の隣に建つ中古住宅は、田畑を造成しつつ建てられた可能性があります。

田や畑は水はけが悪く、地盤も柔らかいのが特徴で、軟弱な地盤の上に建つ中古住宅は地震の揺れに弱いのが通例です。

そのため、自分で中古住宅の耐震性を判断する際は、隣地が田や畑ではないか確認することが大切です。

ただし、田畑を造成しつつ建てられた中古住宅であっても、十分な地盤補強工事を実施しつつ建築されていれば、耐震性に問題ありません。

田畑を造成して建てられた中古住宅は、耐震性が弱い可能性がある

2. 購入前の中古住宅に専門家による耐震診断を実施するには?

中古住宅の築年数や形状などを見れば、ある程度の耐震性を判断できます。

しかし、確実な耐震性は、建築士などの専門家による耐震診断でなければ判断できません。

また、築25年以上の中古住宅を購入して住宅ローン控除(住宅ローンを利用しつつ住宅を購入すると、所得税や住民税が安くなる制度)を受けるには、建築士による耐震診断などが必要です。

そのため、中古住宅を購入する際は、購入前に専門家による耐震診断を実施したいところですが、売主の承諾が必要となります。

売主は、可能であれば自分が売りに出す中古住宅の瑕疵(欠陥)を見たくないものです。

自分が売りに出す中古住宅の耐震性が劣ることが判明すれば、値下げなども検討しなくてはなりません。

よって、大抵の売主は耐震診断を嫌いますが、必ずしも断るわけではありません。

購入前の中古住宅に専門家による耐震診断を実施したいと希望する場合は、中古住宅を仲介する不動産業者を通しつつ、売主と相談してください。

購入前は無理であっても、売買契約を締結した後の「物件引き渡し前」であれば、専門家による耐震診断を受け入れる可能性があります。

耐震診断を実施する専門家は、購入を希望する中古住宅を仲介する不動産業者に問い合わせたり、Yahoo!やGoogleで「東京都杉並区(中古住宅が所在する市区町村名) 耐震診断」などで検索すれば見つかります。

なお、耐震診断の費用は、申し込む機関などにより異なりますが、おおむね10~20万円程度です。

また、購入済みの中古住宅に限られますが、大抵の自治体では耐震診断を実施しています。

そのため、既に購入した中古住宅に耐震診断を行いたいと希望する場合は、中古住宅が所在する都道府県の自治体に申し込むのがおすすめです。

自治体が実施する耐震診断にも10万円程度の費用が必要ですが、大抵は補助金が支給され、2~3割程度の負担で済みます。

詳しくは、中古住宅が所在する都道府県や市区町村の役場にお問い合わせください。

購入前の中古住宅に耐震診断を実施するには、売主の承諾と費用の負担が必要

3. 木造の中古住宅の耐震リフォーム費用は、150~200万円程度

専門家による耐震診断を実施し、購入を希望する中古住宅に耐震性がないと診断された場合は、耐震リフォームを行うのが理想です。

そこで気になるのがリフォーム費用ですが、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が発表した資料「木耐協耐震診断結果調査データ 耐震補強工事実施者はどんな人?」によると、木造一戸建て中古住宅の耐震リフォームの費用は、おおむね150~200万円程度となっています。

ただし、中古住宅の階数、床面積、耐震リフォーム工事の内容などにより費用は変動し、築年数が古くなるほど高く付く傾向があるため注意してください。

なお、購入後の中古住宅に耐震リフォームを実施する場合は、中古住宅が所在する市区町村により異なりますが、大抵は自治体から補助金が支給されます。

4. 購入後の中古住宅の耐震リフォームには補助金が支給される

木造の一戸建てに掛かる耐震リフォームの費用は150~200万円程度です。

150~200万円と聞くと高く付く印象がありますが、購入後の中古住宅に耐震リフォームを実施する場合は、中古住宅が所在する市区町村の自治体から補助金が支給されます。( 一部の市区町村では補助金制度を設けていないため注意してください )

補助金の上限は自治体により異なりますが、50~150万円程度です。

ただし、費用の全額が支払われるわけではなく、「5分の4」や「5分の3」など、耐震リフォーム費用の一部が補助金として支給されるため留意してください。

また、自治体が斡旋する専門家による耐震診断を行い、耐震性がないと診断され、実施された耐震リフォームに限り補助金が支給されます。

そのため、補助金の受給を希望しつつ耐震リフォームを行う場合は、事前に自治体に補助金制度の内容を問い合わせ、自治体が斡旋する専門家による耐震診断を受けてください。

なお、残念ですが、購入前(売買契約締結前)の中古住宅の耐震リフォームには補助金は支給されません。

補助金の支給対象は、中古住宅の所有者のみとなっています。

詳しくは、購入を希望する中古住宅が所在する市区町村の役場に、「耐震診断や耐震改修に関する補助金制度の内容が知りたい」とお問い合わせください。

耐震リフォームを実施し、自治体から補助金が支給される流れ

  • 自治体に耐震診断を申し込む
  • 自治体が斡旋する専門家による耐震診断が実施される
  • 自治体が斡旋する専門家が耐震改修計画を立案する
  • 耐震改修計画に則り耐震リフォームを行う
  • 補助金が支給される

この流れは大まかであり自治体により異なる
購入前(売買契約締結前)の中古住宅の耐震リフォームには補助金は支給されない

令和元年時における耐震リフォームへの補助金上限一例

都道府県名 補助金の上限
北海道札幌市 100万円
宮城県仙台市 100万円
新潟県新潟市 150万円
東京都杉並区 100万円
神奈川県横浜市 140万円
埼玉県さいたま市 120万円
千葉県千葉市 100万円
静岡県静岡市 65万円
愛知県名古屋市 150万円
大阪府大阪市 120万円
兵庫県神戸市 130万円
京都府京都市 100万円
広島県広島市 50万円
福岡県福岡市 90万円

5. 購入後の中古住宅の耐震リフォームには減税制度も適用される

購入後の中古住宅に一定の条件を満たした耐震リフォームを実施すれば、リフォームを行った翌年に払う所得税から最高25万円が減税されます。

また、購入後の中古住宅に一定の条件を満たした耐震リフォームを実施すれば、リフォームを行った翌年分の固定資産税が半額になります。

以下に、購入後の中古住宅に耐震リフォームを実施し、所得税と固定資産税が減税される条件をご紹介しましょう。

なお、所得税の減税制度を利用するには確定申告による申請が必要で、固定資産税の減税制度を利用するには市区町村への届け出が必要です。

所得税が減税される条件(最高25万円)

昭和56年5月31日以前に着工された中古住宅に耐震リフォーム
チェックポイント1 建てられたのはいつ?」でご紹介したとおり、昭和56年6月に建築基準法が改正され、耐震性を配慮しつつ設計された住宅でなければ建築できなくなりました。

所得税の減税制度を利用するためには、昭和56年6月以前に着工された、耐震性を配慮せず建築された中古住宅に耐震リフォームを実施する必要があります。
現在の耐震基準に適合しない中古住宅を耐震リフォーム
昭和56年6月に建築基準法が改正され、耐震基準が厳しくなったとご紹介しましたが、その後も見直され、現在は平成12年に改正された建築基準法による耐震基準が標準となっています。

そして、購入した中古住宅に耐震リフォームを行い、所得税を減税させるには、平成12年に改正された建築基準法による耐震基準を満たさない中古住宅に、同基準を満たす耐震リフォームを実施しなくてはなりません。

耐震リフォームを実施する中古住宅が、どの時点の耐震基準を満たすかは、専門家による耐震診断により把握できます。
自らの住居に耐震リフォーム
中古住宅に耐震リフォームを行い、所得税を減税するためには、自らの住居に耐震リフォームを実施する必要があります。

親類が住む家など、自らが居住しない中古住宅に耐震リフォームを実施した場合は、減税制度を利用できないため注意してください。

固定資産税が半額になる条件

昭和57年1月1日以前に建てられた中古住宅に耐震リフォーム
固定資産税を減税するためには、昭和57年1月1日以前に建てられた中古住宅に耐震リフォームを実施する必要があります。

中古住宅の建築日は、その中古住宅の登記簿(建物の詳細が記載された公の帳簿)で確認することが可能で、登記簿は中古住宅が所在する地域を管轄する法務局にて閲覧することが可能です。
現行の耐震基準に適合する耐震リフォーム
固定資産税を減税するためには、平成12年に改正された、現行の建築基準法による耐震基準を満たす耐震リフォームを実施する必要があります。

現行の耐震基準を満たすリフォームが実施されたことは、建築士などが発行する「増改築等工事証明書」や、「固定資産税減額証明書」で証明することが可能です。

そのため、固定資産税の減税制度の利用を希望する場合は、「増改築等工事証明書」や「固定資産税減額証明書」を発行できる建築士、または、それらを発行できる建築士が在籍するリフォーム店などに耐震リフォームを依頼してください。
耐震リフォームの費用が50万円以上
固定資産税を半額に減税するためには、50万円を超える耐震リフォームを実施する必要があります。

耐震リフォームの費用は、工事代金が記載された領収書などで証明できます。
一定の条件を満たした耐震リフォームを実施すれば、所得税と固定資産税が減税される

6. まとめ

購入前の中古住宅の耐震性が気になる方へ向けて、自分で耐震診断を行う方法や、耐震リフォームに関する補助金制度の詳細などをご紹介しました。

購入前の中古住宅に専門家による耐震診断を行うには売主の承諾が必要ですが、大抵の売主は耐震診断を嫌うため、ご紹介した内容をもとにご自分で耐震診断を実施するのがおすすめです。

ご紹介した耐震診断は簡易的なもので正確性はありませんが、ご紹介したチェックポイントをクリアしない中古住宅は、大抵は耐震性が期待できません。

ただし、ご紹介したチェックポイントを全てクリアしたとしても、確実に耐震性があるとは言い切れないため注意してください。

中古住宅の確実な耐震性は、建築士などの専門家にる耐震診断でしか判断できません。

そのため、購入前の中古住宅に正確な耐震診断を行いたいと希望する場合は、売主に直訴しつつ承諾を得て、費用を負担しつつ、建築士などによる耐震診断を実施するのがおすすめです。

ご紹介した内容が皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。