中古マンションの登記費用が高い。なぜ高い?

中古マンションの登記費用が高い

中古マンションを購入しようと見積もりを取ると登記費用が高く、不動産業者が暴利をむさぼっているのではと疑うことがあります。

しかし、登記費用は物件価格に比例するのが通例であり、物件価格が高ければ登記費用も高く30万円以上などに、物件価格が安ければ登記費用も安く10万円程度などになります。

中古マンションの購入を希望しつつ登記費用が高いと感じる方へ向けて、その理由をご紹介しましょう。

目次

1. なぜ高い?

冒頭でご紹介したとおり登記費用は物件価格と比例し、物件価格が高ければ登記費用も高く30万円以上などに、物件価格が安ければ登記費用も安く10万円程度などになります。

30万円以上から10万円程度というと開きがありますが、その理由は所有権移転登記にかかる登録免許税にあります。

所有権移転登記とはいわゆる名義変更であり、中古マンションを購入する際は所有権移転登記が欠かせません。

中古マンションの買い主は決済直後に所有権移転登記を行い、同登記が完了することによりその物件の所有者が売り主から自分に変わったことを第三者に主張できるようになります。

所有権移転登記は手続きが複雑なため司法書士に報酬を支払いつつ代行させるのが通例であり、同登記を行う際は登録免許税という税金がかかります。

中古マンションを購入する際の登記費用の主な内訳は、所有権移転登記にかかる登録免許税と、同登記の手続きを代行する司法書士への報酬です。

中古マンションの登記費用の内訳

そして、登記費用が高い主な原因は、所有権移転登記にかかる登録免許税です。

登録免許税は、物件価格に応じて高くなります。

たとえば、物件価格が高ければ登録免許税も高くなり、それに伴い登記費用も高くなります。

反対に、物件価格が安ければ登録免許税も安くなり、その結果、登記費用も安くなります。

登記費用が高い場合は不動産業者が暴利をむさぼっているのではと疑ってしまいますが、購入する中古マンションの価格が高く、それに伴い登録免許税が高いことが主な理由です。

登録免許税は税金であるが故にどの不動産業者を仲介させつつ中古マンションを購入しても同額であり、売買価格が高い物件は相応の登記費用を請求されることとなります。

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1-1. 登録免許税の計算方法

中古マンションの登記費用が高い主な理由は、所有権移転登記にかかる登録免許税です。

そこで気になるのが登録免許税の計算方法ですが、その中古マンションの固定資産税評価額に税率を掛け算しつつ計算し、具体的な計算式は以下のとおりとなっています。

所有権移転登記にかかる登録免許税の計算式
その中古マンションの固定資産税評価額×税率(原則として2%)=登録免許税

式に含まれる「その中古マンションの固定資産税評価額」とは、その中古マンションの固定資産税を計算するために市町村が評価した、その中古マンションの価格です。

固定資産税評価額は売買価格とは異なり、売買価格より低くなるものの比例するのが通例です。

たとえば、高く売買される中古マンションは固定資産税評価額も高くなります。

反対に、安く売買される中古マンションは固定資産税評価額が低くなりがちです。

固定資産税評価額が高ければ、固定資産税評価額に税率を乗算しつつ計算する登録免許税も高くなり、その結果、登記費用も高くなります。

中古マンションを住宅ローンで購入する場合における登記費用の内訳

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2. 司法書士への報酬の平均

この記事の「1. なぜ高い?」にてご紹介したとおり、中古マンションを購入する際に必要となる登記費用の内訳は、所有権移転登記にかかる登録免許税と同登記の手続きを代行する司法書士への報酬です。

登記費用の内訳のおさらい

  • 所有権移転登記にかかる登録免許税
  • 所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬

所有権移転登記にかかる登録免許税は、その中古マンションの固定資産税評価額を基に計算するため、どの不動産業者を仲介させつつ物件を購入しても変わりません。

しかし、所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬は、司法書士によって請求額が異なります。

司法書士への報酬の平均は、日本司法書士会連合会が平成30年に公開した資料「報酬アンケート結果」の「第1 所有権移転登記-2 所有権移転登記(売買1)」より確認することが可能です。

同資料によれば、所有権移転登記の代行報酬の平均は地区によって異なるものの42,585円から64,090円などであり、以下のとおりとなっています。

所有権移転登記の代行報酬の平均

地区 平均
北海道地区 42,999円
東北地区 42,585円
関東地区 51,909円
中部地区 51,065円
近畿地区 64,090円
中国地区 48,035円
四国地区 51,369円
九州地区 45,729円

出典:日本司法書士会連合会 報酬アンケート結果

中古マンションの購入を希望しつつ見積もりを取り、登記費用が高いと感じる場合は、所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬が妥当であるかご確認ください。

なお、ご紹介したのは、固定資産税評価額が1,000万円あたりの不動産の所有権移転登記の代行報酬の平均です。

固定資産税評価額が1,000万円の中古マンションとは、概ね売買価格が1,500万円から2,000万円程度などの物件となります。

よって、売買価格が1,500万円から2,000万円程度以上の中古マンションを購入する場合は、ご紹介した平均より報酬額が高い場合があるため注意してください。

たとえば、売買価格が2,000万円を大きく上回る中古マンションを購入する場合は、その所有権移転登記の代行報酬も42,585円から64,090円より高い場合があります。

所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬も登録免許税と同じく、中古マンションの物件価格と比例します。

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まとめ - 住宅ローンを利用する場合は別の登記費用がかかる

中古マンションの購入を希望しつつ登記費用が高いと感じる方へ向けて、高い理由をご紹介しました。

中古マンションを購入する際に必要となる登記費用の主な内訳は、所有権移転登記にかかる登録免許税と、所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬です。

所有権移転登記にかかる登録免許税は物件価格と比例し、物件価格が高ければ登録免許税も高額になり、不動産業者によって税額が変わることはありません。

よって、登録免許税が高いと感じる場合は、物件価格をご確認ください。

一方、所有権移転登記の手続きを代行する司法書士への報酬は、手続きを代行する司法書士によって異なるため、報酬額が高いと感じる場合は交渉するのが良いでしょう。

なお、今回ご紹介したのは中古マンションを購入する際に必要となる登記費用であり、住宅ローンを利用する場合は加えて住宅ローンを利用するための登記費用が必要となります。

住宅ローンを利用する際に必要となる登記費用の内訳は、抵当権の設定登記にかかる登録免許税と、その手続きを行う司法書士への報酬です。

中古マンションを住宅ローンで購入する場合における登記費用の内訳

住宅ローンを利用しつつ中古マンションを購入する際は、資金を貸し出す銀行が購入する物件を担保に取ります。

そして、住宅ローンの利用者が返済を滞らせれば物件を売却しつつ返済金に充当しますが、銀行は物件を売却する権利があることを登記します。

この登記を抵当権の設定登記と呼び、抵当権の設定登記にも登録免許税がかかります。

抵当権の設定登記にかかる登録免許税は、原則として借り入れ金額の0.4%です。

抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬の平均は、日本司法書士会連合会が公開する報酬アンケート結果の「3 抵当権設定登記-1 抵当権設定登記」にて確認することが可能であり、借り入れ金額1,000万円あたりにつき35,377円から46,219円となっています。

抵当権の設定登記を行う司法書士への報酬の平均

地区 平均
北海道地区 36,576円
東北地区 35,377円
関東地区 39,267円
中部地区 38,798円
近畿地区 46,219円
中国地区 38,720円
四国地区 38,303円
九州地区 37,600円

出典:日本司法書士会連合会 報酬アンケート結果

不動産を購入する際はたくさんの登記費用がかかり、私たちの懐を苦しめます。

ご紹介した内容が、中古マンションの登録免許税が高いとお嘆きになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2021年6月
記事公開日:2020年9月

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