フルローンで中古住宅を購入する際の問題点をわかりやすく解説

中古住宅の諸費用はフルローンで借り入れ可能。ただし問題あり

中古住宅を購入する際は諸費用が必要ですが、フルローンを利用すれば借り入れできます。

よって、フルローンを利用すれば、頭金なしでも中古住宅を購入できるといいたいところですが、手付金という問題があるため注意が必要です。

フルローンを利用しつつ中古住宅を購入したいと希望する方へ向けて、手付金に関する問題や、諸費用も借り入れできる住宅ローンの一例をご紹介しましょう。

目次

1. フルローンでも手付金は借り入れできない

冒頭でご紹介したとおり、中古住宅を購入する際に必要となる諸費用はフルローンで借り入れできますが、手付金の問題があります。

中古住宅を購入する際に必要となる手付金とは、諸費用とは別に住宅ローンの審査を受ける前に売り主に支払う金銭であり、物件価格の10%程度になるのが通例です。

住宅ローンを利用する際は審査を受けなければなりませんが、手付金は審査を受ける前に売り主に支払う必要があるため、フルローンであっても手付金だけは借り入れできません。

中古住宅の諸費用はフルローンで借り入れできるが、手付金は借り入れできない

そのため、フルローンである、ないにかかわらず、住宅ローンで中古住宅を購入する際は、残念ですが手付金だけは用意する必要があります。

住宅ローンで中古住宅を購入する流れは以下のとおりです。

住宅ローンで中古住宅を購入する流れ

  • 理想の中古住宅を探す
  • 理想の中古住宅が見つかり次第、不動産業者を通して売り主に購入を申し込む
  • 売り主が申し込みに同意すれば、不動産業者と仲介契約を結び、不動産業者から重要事項説明(中古住宅に関する詳細な説明)受ける
  • 重要事項説明に納得すれば、内容を書面に起こした重要事項説明書に署名捺印する
  • 売り主と売買契約を結びつつ売買契約書に署名捺印し、売り主に手付金を支払う
  • 銀行に住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込む
  • 銀行に住宅ローンの本審査を申し込む
  • 事前審査と本審査に通れば融資が実行され、貸し出された資金で売り主に残金を支払う
  • 不動産業者に仲介手数料を支払う
  • 中古住宅が引き渡され、所有権移転登記と呼ばれる名義変更の手続きを司法書士が行う
  • 住宅ローンの返済が開始される

上記は一般的な流れであり、不動産業者によって順序が前後することがある

以上が住宅ローンで中古住宅を購入する流れであり、6や7の段階で住宅ローンの審査を受ける前に、5の時点で売り主と売買契約を締結しつつ手付金を支払わなければなりません。

よって、フルローンである、ないにかかわらず、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は、手付金だけは用意しておく必要があるというわけです。

なお、5の段階で売り主に支払った手付金は、8の時点で売り主に中古住宅の残金を支払う際に差し引かれます。

また、住宅ローン特約(住宅ローンの審査に通らない場合は手付金が返還される約束)を売買契約書に盛り込んでおけば、住宅ローンの審査に落ちれば、手付金は返還されるため留意してください。

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2. 売買契約時に手付金を支払う理由

先にご紹介したとおり、フルローンである、ないにかかわらず、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する際は、売買契約時に売り主に手付金を支払わなければなりません。

住宅ローンの審査を受ける前に手付金を支払う必要があるというのは理不尽ですが、大きく2つの理由があります。

フルローンで中古住宅を購入する場合でも手付金だけは用意しなければならない理由

以下に、住宅ローンの審査を受ける前に手付金を支払わなければならない2つの理由をご紹介しましょう。

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理由その1. 審査時に売買契約書が必要なため

フルローンである、ないにかかわらず、住宅ローンで中古住宅を購入する際は、審査時に売買契約書や重要事項説明書のコピーを銀行に提出しなければなりません。

銀行は、売買契約書や重要事項説明書の内容から購入する中古住宅の状態を把握し、物件の担保力を判断しつつ融資を実行するか審査します。

銀行が中古住宅の担保力を調査する理由は、住宅ローンの借り主が返済を滞らせた際に、購入した物件を売却しつつ返済金に充当するためです。

中古住宅の買い主が売買契約書や重要事項説明書を手に入れるためには、この記事の「住宅ローンで中古住宅を購入する流れ」でご紹介したとおり、売り主と売買契約を結ぶ必要があります。

そして、売り主と売買契約を締結する際は、手付金を支払わなければなりません。

よって、住宅ローンで中古住宅を購入する際は、フルローンである、ないにかかわらず、審査を受ける前に手付金だけは用意する必要があるというわけです。

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理由その2. 売買契約を保留するため

買い主から手付金が支払われた状態で、売り主の都合で売買契約が破棄されれば、売り主は受け取った手付金の倍額を買い主に支払わなければなりません。

また、買い主の都合で売買契約を破棄する場合は、売り主は支払った手付金を手放す必要があります。

売買契約が破棄された場合の手付金の行方

これにより買い主からすれば、手付金を支払いつつ売買契約を結ぶことにより、住宅ローンの審査を受けている最中に売り主が他の購入希望者に中古住宅を売却することを防げます

これと同時に売り主からすれば、売買契約を結んだにもかかわらず、買い主が他の中古住宅を購入することを防ぐことが可能になります。

つまり、手付金をやり取りしつつ売買契約を結べば、買い主と売り主の双方にメリットがあるというわけです。

なお、住宅ローン特約(住宅ローンの審査に通らない場合は手付金が返還される約束)を盛り込みつつ売買契約を結んでおけば、住宅ローンの審査に落ちた場合は、手付金は買い主に無条件で返還されます。

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3. 手付金がないときの手段

中古住宅を購入する際は、フルローンを利用すれば諸費用も借り入れできます。

ただし、手付金だけは用意しておかなければなりません。

しかし、手付金は物件価格の10%などと高額であり、用意できないこともあります。

ここからは、手付金が用意できない場合の対処法をご紹介しましょう。

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3-1. 手付金の減額を交渉する

手付金は、物件価格の10%程度になるのが通例ですが、法律で規定されているわけではなく、売り主が納得すれば5%や3%でも構いません。

よって、手付金がない、用意するのが難しい場合は、その旨を売り主に伝え、減額を交渉するのが良いでしょう。

なお、手付金の減額は売り主と直接交渉せず、その中古住宅を仲介する不動産業者を通して交渉してください。

交渉上手な不動産業者であれば、上手く話しをまとめてくれる可能性が高くなります。

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3-2. 手付金なしで購入できる中古住宅を探す

アットホームなどで中古住宅を探すと、いつまでも売れ残る物件を見かけます。

そのような物件は人気がない表れであり、不人気の中古住宅は手付金なしで購入できる可能性があります。

ただし、不人気であっても売り主が売り急がない場合などは、手付金なしでの購入を拒否されることがあるため注意してください。

また、長く売れない中古住宅は、何らかの瑕疵(欠陥)を抱えていることがあります。

たとえば、築年数が極端に古い、市街化調整区域(原則として住宅を建てることができない区域)に位置するため建て替えできないなど、瑕疵の種類は様々です。

瑕疵がある中古住宅を購入するために住宅ローンの審査を受けると、落ちる可能性が非常に高くなります。

これは、瑕疵がある中古住宅は担保力がないと判断され、銀行が資金の貸し出しを渋ることが理由です。

瑕疵がある中古住宅は住宅ローンの審査に落ちる可能性が高い

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3-3. 提携ローンを狙う

中古住宅は、「個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す物件」と、「不動産業者が直接売りに出す物件」に大きく分類されます。

中古住宅の多くは、「個人が不動産業者を仲介させつつ売りに出す物件」ですが、リノベーション中古マンションなどは、おおむね「不動産業者が直接売りに出す物件」です。

そして、住宅ローンには、個人が金融機関から直接借り入れるローンと、不動産業者と銀行が提携しつつ貸し出すローンが存在します。

前者を「非提携ローン」と呼び、後者を「提携ローン」と呼びますが、提携ローンは金利が高いことがあるものの、非提携ローンより限界を超えた交渉が可能です。

よって、提携ローンを取り扱う不動産業者が直接販売する中古住宅を見つけ、提携ローンでの購入を申し込めば、場合によっては手付金なしのフルローンで購入できるかもしれません。

ただし、確実ではないため注意してください。

なお、新築を販売する大手の不動産業者も提携ローンを取り扱っていることがあります。

そのため、提携ローンを検討するのであれば、中古住宅ではなく新築を狙うのも良いでしょう。

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4. 諸費用を借り入れできる住宅ローン

手付金が用意できれば、中古住宅はフルローンで諸費用も借り入れつつ購入できます。

ここからは、諸費用を含めた資金を借り入れできる住宅ローンの一例をご紹介しましょう。

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フラット35

フラット35とは、日本全国各地の銀行を窓口としつつ住宅金融支援機構が貸し出す国民的な住宅ローンです。

そして、フラット35は、手付金を除く諸費用を含めた資金の借り入れを希望できます。

借り入れできる諸費用は、不動産業者に支払う仲介手数料、購入した中古住宅の名義を変更する際に必要となる登記費用、購入した中古住宅に掛ける火災保険の保険料などと多岐にわたり、詳細は「借入対象となる諸費用とはどのようなものですか? - フラット35」の「2.住宅を購入する場合」にて確認することが可能です。

ただし、フラット35は、諸費用を含めた資金の借り入れを希望すると金利が高くなり、審査も厳しくなるため注意してください。

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各銀行が貸し出す住宅ローン

住宅ローンは、先にご紹介した住宅金融支援機構のフラット35が有名ですが、日本全国各地の銀行では独自の住宅ローンを商品化しています。

そして、三菱UFJ銀行、りそな銀行、新生銀行、東京スター銀行、楽天銀行、ソニー銀行、ジャパンネット銀行などの住宅ローンは、中古住宅を購入するために必要となる諸費用を含めた資金の借り入れを希望することが可能です。

ただし、それらの銀行から諸費用を借り入れる場合は、諸費用ローンなどの名目で住宅ローンとは別のローンを組むことになる場合があるため注意してください。

中古住宅の諸費用も借り入れできるフルローンは、住宅ローンとは別途組む必要がある

諸費用ローンは住宅ローンより金利が高く設定されているため、月々の返済額が高額になりがちです。

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まとめ - 諸費用の相場は、物件価格の5~10%など

フルローンで諸費用も借り入れつつ中古住宅を購入したいと希望する方へ向けて、手付金に関する問題をご紹介しました。

フラット35などの住宅ローンを利用すれば、諸費用を含めた資金の借り入れが可能です。

ただし、フルローンで中古住宅を購入する場合でも、手付金だけは用意する必要があるため注意してください。

手付金は中古住宅の物件価格の10%程度になるのが通例ですが、売り主が承諾すれば5%や3%でも構いません。

また、人気がない中古住宅や、不動産業者が直接販売する提携ローンが用意された中古住宅は手付金なしで購入できる可能性があるため、それらの物件をお探しになるのも良いでしょう。

最後に、中古住宅を購入する際に必要となる諸費用の種類と相場をご紹介します。

住宅ローンで中古住宅を購入する際は、中古住宅を購入するための諸費用と、住宅ローンを利用するための諸費用が必要であり、内訳は以下のとおりです。

中古住宅を購入するための諸費用

名目 相場
不動産業者に支払う仲介手数料 物件価格の3%+6万円など
売買契約書に掛かる印紙税 5千円~1万円など
所有権移転登記(名義変更)に掛かる登録免許税 15万円~25万円など
所有権移転登記を代行する司法書士への報酬 5~10万円など

住宅ローンを利用するための諸費用

名目 相場
融資事務手数料 3万円~50万円など
保証会社に支払う保証料 0円~70万円など
火災保険料 5万円~50万円など
金銭消費貸借契約書(借用書)に掛かる印紙税 2万円など
抵当権の設定登記に掛かる登録免許税 借入額の0.1%など
抵当権の設定登記を代行する司法書士への報酬 5~8万円など
フラット35を利用する場合は物件検査手数料 5~7万円など

以上が諸費用の種類と相場であり、中古住宅を購入するための諸費用は、中古住宅の購入価格の5~10%などになるのが通例です。

中古住宅の本体価格が2,000万円以上などと高額な場合はその5%程度などに、本体価格が1,000万円以下などの場合はその10%程度などになります。

住宅ローンを利用するために必要となる諸費用は、利用する住宅ローンによって大きく異なるものの、おおむね借り入れ金額の1~5%などです。

中古住宅をフルローンで購入する際の諸費用の相場

ご紹介した内容が、中古住宅の購入を希望する皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年8月

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