不動産取得税の通知がこない。不動産取得税はいつ払う?

不動産取得税の通知がこない。不動産取得税はいつ払う?

新築の家屋は、取得した年の翌年の4月以降に不動産取得税の通知が届きます。

中古住宅や中古マンション、土地などの不動産取得税の通知が届くのは、早ければ取得から2~3ヵ月後、遅ければ数ヶ月後です。

不動産取得税の通知がこない、いつ払うのかと戸惑う方へ向けて、納税通知書が届く時期や、不動産取得税のお得な払い方などご紹介しましょう。

目次

1. 不動産取得税の通知はいつ届く?

不動産取得税の納税通知書が届く時期は、新築や中古住宅、土地など、取得した不動産の種類によって異なります。

新築の家屋を取得した場合、不動産取得税の通知が届くのは翌年の4月以降などであり、一戸建ての中古住宅や中古マンション、土地を取得した場合、通知が届くのは早ければ2~3ヶ月後、遅ければ数ヶ月後です。

不動産取得税の通知はいつ届く?
取得した不動産の種類 不動産取得税の通知はいつ届く?
建売や注文住宅、分譲マンションなどの新築の家屋 取得した年の翌年の4月以降など
一戸建ての中古住宅や中古マンション、土地など 早ければ取得から2~3ヶ月後、遅ければ取得から数ヶ月後など

つづいて、新築、中古住宅、中古マンション、土地を取得した場合における、不動産取得税の納税通知書が届く時期の詳細をご紹介しましょう。

なお、不動産取得税は都道府県が徴収する地方税であり、取得した不動産が所在する都道府県によって納税通知書が届く時期が異なります。

よって、ご紹介する内容は、不動産取得税の納税通知書が届く一般的な時期とお考えください。

1-1. 新築の家屋を取得した場合は翌年の4月以降

建売などの一戸建て、注文住宅、新築の分譲マンションなど、新築の家屋を取得した場合は、取得した年の翌年の4月以降などに不動産取得税の通知が届きます。

たとえば、令和5年5月に新築の家屋を取得した場合は、令和6年4月以降に不動産取得税の納税通知書が届くといった具合です。

新築の不動産取得税の通知はいつ届く?

新築された家屋の不動産取得税の通知が届くのが遅いのは、不動産取得税を計算する仕組みにあります。

不動産取得税は、以下のように「課税標準額×不動産取得税の税率」と計算します。

不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率=不動産取得税

式に含まれる「課税標準額」とは、なにかしらの税金が課される状況において、税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が同じことがあれば、違うこともあります。

不動産取得税の課税標準額は、取得した土地や家屋の固定資産税評価額です。

土地や家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、土地や家屋の適正な時価を指します。

総じて、不動産取得税は以下のように計算します。

不動産取得税の計算式(詳細版)
課税標準額(取得した土地や家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=不動産取得税

上記のとおり、不動産取得税の課税標準額は「取得した土地や家屋の固定資産税評価額(すなわち、市町村によって評価された土地や家屋の適正な時価)」ですが、新築されて間もない家屋は、固定資産税評価額の評価が完了していません。

新築の家屋の固定資産税評価額が評価されるのは、早ければ取得後2~3ヶ月後など、遅ければ取得した年の年末ごろなどです。

よって、新築の家屋を取得した場合は、取得した年の翌年の4月以降など、不動産取得税の納税通知書が届く時期が遅くなります。

都道府県が、新築の家屋の取得者に不動産取得税を課す主な流れは以下のとおりです。

都道府県が新築の取得者に不動産取得税を課す主な流れ

  • 1. 不動産取得税の納税義務者が新築の家屋を取得しつつ登記をする
  • 2. 登記所(法務局)から市町村、および都道府県に新築が登記されたことが10日以内に通知される
  • 3. 通知を受けた市町村によって、新築の家屋の固定資産税評価額が評価される
  • 4. 市町村によって評価された固定資産税評価額をもとに、都道府県が新築の家屋の取得者に不動産取得税を課す

なお、土地を先行して取得しつつ住宅を新築した場合などは、土地の不動産取得税の納税通知書が先に届き、家屋の納税通知書が後から届くことがあるため留意してください。

土地は既に固定資産税評価額の評価が完了していることが多く、それに該当する土地を先行して取得し、後からその土地に新築をする場合は、土地の納税通知書が先に届きます。

そして、住宅が完成すれば、完成した年の翌年の4月以降に、その家屋の不動産取得税の納税通知書が届きます。

▲ 目次に戻る

1-2. 中古住宅や土地を取得した場合は決済日から2~3ヵ月後など

一戸建ての中古住宅、中古マンション、土地など、以前から存在する不動産を取得した場合は、不動産取得税の通知が届くのは早ければ取得から2~3ヶ月後、遅ければ数ヶ月後などです。

先述のとおり、新築は固定資産税評価額の評価が済んでおらず、新築を取得した年の翌年の4月以降に不動産取得税の納税通知書が届きます。

これに対して、中古住宅や土地など、以前から存在する不動産の固定資産税評価額は既に評価済みであり、新築を取得した場合より早く不動産取得税の納税通知書が届きます。

中古住宅や中古マンションの不動産取得税の通知はいつくる?

不動産取得税は、取得した土地や家屋の固定資産税評価額を課税標準額として計算し、具体的な計算式は以下のとおりです。

不動産取得税の計算式
課税標準額(取得した土地や家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=不動産取得税

式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において、税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が同じことがあれば、違うこともあります。

不動産取得税の課税標準額は、計算式のとおり「取得した土地や家屋の固定資産税評価額」です。

土地や家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された土地や家屋の適正な時価を指します。

そして、中古住宅や中古マンション、土地など、以前から存在する不動産の固定資産税評価額は、既に評価が完了しています。

よって、中古住宅や土地を取得した場合は、新築より早く不動産取得税の納税通知書が届きます。

なお、分筆した直後の土地を取得した場合などは、不動産取得税の納税通知書が届く時期が遅くなる場合があるため留意してください。

分筆した直後の土地は、固定資産税評価額の評価が完了していないことがあり、それに該当する土地を取得した場合は、固定資産税評価額の評価完了後に納税通知書が届きます。

▲ 目次に戻る

2. 不動産取得税がかからない場合は、通知はこない

不動産取得税の通知がこない場合は、不動産取得税がかからない不動産を取得した可能性があります。

不動産取得税がかからない場合は、納税通知書は届きません。

ここから、不動産取得税がかからない状況をご紹介しましょう。

2-1. 新築を取得しつつ特例が適用された場合

不動産取得税には、「不動産取得税の課税標準の特例」が設けられています。

「不動産取得税の課税標準の特例」とは、一定の条件を満たす不動産を取得することにより、不動産取得税が軽減される特例です。

新築を取得しつつ同特例が適用されれば、家屋(新築のマンションの一戸を取得した場合は一戸部分)を取得したことにより課される不動産取得税が大きく軽減され、場合によってはかかりません。

新築の家屋に同特例が適用される主な条件は、以下のとおりです。

  • 令和6年3月31日までに新築の家屋を取得した
  • 一戸建ての新築を取得した場合は、床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋を取得した
  • 新築のマンションの一戸を取得した場合は、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件を取得した
  • 取得した日から30日以内(都道府県によっては60日以内や20日以内)に、特例が適用される条件を満たすことを税事務所などへ申告した

以上などの条件を満たせば「不動産取得税の課税標準の特例」が適用され、新築の家屋を取得したことに課される不動産取得税が大きく軽減され、建築費が2,000万円程度以下の新築を取得した場合は、不動産取得税がかかりません。

そして、同特例が適用されることにより不動産取得税がかからない場合は、不動産取得税の通知はこないこととなります。

同特例が適用される新築の条件の詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開するコンテンツにてわかりやすくご紹介中です。

興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

関連コンテンツ
不動産取得税が新築にかからない条件

▲ 目次に戻る

2-2. 中古住宅や中古マンションを取得しつつ特例が適用された場合

不動産取得税には「不動産取得税の課税標準の特例」が設けられ、中古住宅や中古マンションを取得しつつ同特例が適用されれば、不動産取得税が大きく軽減され、場合によってはかかりません。

不動産取得税がかからなければ、通知はこないこととなります。

中古住宅を取得しつつ同特例が適用される主な条件は、以下のとおりです。

  • 令和6年3月31日までに一戸建ての中古住宅、または中古マンションの一戸を取得した
  • 一戸建ての中古住宅を取得した場合は、床面積が50㎡以上240㎡以下の物件を取得した
  • 中古マンションの一戸を取得した場合は、一戸部分の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の物件を取得した
  • 一戸建て、中古マンションを問わず、昭和57年1月1日以降に新築された物件を取得した
  • 昭和57年1月1日より前に新築された中古住宅や中古マンションを取得した場合は、耐震改修工事が行われるなどして、現行の耐震基準を満たす物件を取得した
  • 中古住宅や中古マンションを取得後30日以内(都道府県によっては60日以内や20日以内)に、特例の適用条件を満たすことの申告書を税事務所などに提出した

以上などの条件を満たせば「不動産取得税の課税標準の特例」が適用され、中古住宅である家屋を取得したことにより課される不動産取得税が大きく軽減され、場合によってはかかりません。

不動産取得税がかからない場合は、納税通知書はこないこととなります。

▲ 目次に戻る

2-3. 免税点未満の不動産を取得した場合

不動産取得税には「免税点」があり、免税点未満の不動産を取得した場合は不動産取得税がかからず、通知がこないこととなります。

不動産取得税の免税点を理解するためには、不動産取得税の計算式を把握しなければなりません。

不動産取得税の計算式は、以下のとおりです。

不動産取得税の計算式
課税標準額×不動産取得税の税率=不動産取得税

上記の式に含まれる「課税標準額」とは、なにかしらの税金が課される状況において、税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が同じことがあれば、違うこともあります。

不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、原則として、取得した不動産の固定資産税評価額です。

不動産の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、土地や家屋の適正な時価を指します。

つまり、不動産取得税は、以下のように計算するというわけです。

不動産取得税の計算式(詳細版)
課税標準額(取得した不動産の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=不動産取得税

そして、土地を取得した場合は課税標準額が10万円、新築の家屋を取得した場合は20万円、中古住宅である一戸建ての家屋や中古マンションの一戸を取得した場合は12万円に課税標準額が満たなければ免税点未満となり、不動産取得税がかかりません。

不動産取得税がかからなければ、納税通知書はこないこととなります。

ちなみに、課税標準額が10万円未満の土地(固定資産税評価額が10万円未満の土地)とは、売買価格が14万円程度未満の土地であり、山奥の土地などが該当します。

山奥の土地などを購入すると不動産取得税の通知がこないことがありますが、それは免税点未満の土地を取得したためです。

取得した不動産の固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書を見れば把握できます。

課税明細書に「価格」や「評価額」などの名目で記されている額が、その不動産の固定資産税評価額です。

▲ 目次に戻る

2-4. 不動産を相続した場合

不動産を相続した場合は、不動産取得税がかからず納税通知書が届きません。

不動産を取得したにもかかわらず不動産取得税の通知がこないと戸惑う場合は、取得した経緯をご確認ください。

なお、不動産の贈与を受けると贈与税が課されますが、贈与税には「相続時精算課税制度」が設けられています。

「相続時精算課税制度」とは、生前贈与を受けたことにより課される贈与税を相続税に置き換える制度です。

そして、相続時精算課税制度を利用しつつ不動産の生前贈与を受けた場合は、相続したとはみなされず、不動産取得税が課されるため留意してください。

▲ 目次に戻る

3. 不動産取得税はいつ払う?

不動産取得税の通知は、新築は取得した年の翌年の4月以降に、中古住宅や土地は早ければ取得後2~3ヶ月後、遅ければ数ヶ月後などに届きます。

ここで気になるのが、不動産取得税はいつ払うかという点ですが、原則として、納税通知書が届いた月の月末であり、納税通知書に納付期限が記されています。

不動産取得税はいつ払う?

なお、不動産取得税には「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」という軽減措置が設けられています。

同軽減措置は、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される新築住宅や中古住宅が建つ土地を取得したことにより課される不動産取得税が軽減される制度です。

注釈
「不動産取得税の課税標準の特例」とは、一定の条件を満たす不動産を取得することにより適用される、不動産取得税が軽減される特例です。

「床面積が50㎡以上240㎡以内の新築」や「昭和57年1月1日以降に新築された中古住宅」を取得するなどすれば同特例が適用され、家屋を取得したことにより課される不動産取得税が軽減されます。

同特例が適用される家屋を「特例適用住宅」と呼びます。

そして、令和6年3月31日までに土地を先行して取得し、取得した日から3年以内に、その土地に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される住宅を新築する場合は、土地を取得したことにより課される不動産取得税の支払いを先延ばしすることが可能です。

この制度を「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の徴収猶予」と呼びます。

ただし、同制度の適用を受けるためには、土地を取得したことにより課される不動産取得税の納税通知書が届き次第、その納税通知書に記されている納期限内に、税事務所などへの申告が必要となるため留意してください。

▲ 目次に戻る

4. 不動産取得税のお得な払い方

一部の都道府県では、クレジットカードやPayPay、au Pay、楽天ペイ、d払いなどで不動産取得税を払うことが可能であり、ポイントが貯まるなどしてお得です。

ここから、不動産取得税のお得な払い方をご紹介しましょう。

4-1. クレジットカードで不動産取得税を払いつつポイントを貯める

栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、山梨県、静岡県、愛知県、京都府、熊本県、沖縄県などの都道府県では、「地方税お支払サイト」というサイトを経緯しつつクレジットカードで不動産取得税を払うことができます。

クレジットカードで不動産取得税を払えば、任意の回数で分納でき、ポイントが貯まるなどしてお得です。

不動産取得税のお得な払い方

ただし、「地方税お支払サイト」を利用しつつクレジットカードで不動産取得税を払う際は、「システム利用料」という名目の手数料を払う必要があるため留意してください。

システム利用料は納税額によって異なり、1万円以内であれば40円、2万円以内は123円、3万円以内は205円、4万円以内は288円、5万円以内は370円、以降納税額が1万円増えるごとに82円が加算されます。

1分でわかる地方税お支払サイト

▲ 目次に戻る

4-2. スマホアプリで不動産取得税を払いつつポイントを貯める

一部の都道府県では、PayPay、au Pay、楽天ペイ、d払いなど、スマホアプリで不動産取得税を払うことが可能であり、場合によってはポイントが貯まってお得です。

以下は、2023年5月の時点における、スマホアプリで不動産取得税を納付できる都道府県の一覧です。

スマホアプリで不動産取得税を払える都道府県
PayPay 北海道、青森県、宮城県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
au Pay 北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、静岡県、京都府、大阪府、鳥取県、島根県、岡山県、愛媛県、熊本県、沖縄県
d払い 宮城県、東京都、千葉県、神奈川県、鳥取県、愛媛県、熊本県、沖縄県
楽天ペイ 東京都、千葉県

2023年5月時点の情報

▲ 目次に戻る

5. 不動産取得税とは?

不動産を取得すると不動産取得税が課されますが、なぜ課されるのでしょうか。

ここからは、そもそも不動産取得税とはどのような税金であるか、、課される理由、税収や使い道などご紹介しましょう。

不動産取得税とは、不動産を取得したことにより課される税金であり、取得した不動産が所在する都道府県が徴収する地方税です。

不動産取得税が課される対象となる不動産とは、土地と家屋(建物)を指します。

一戸建てを購入した場合は、一部例外を除き土地と家屋を取得したこととなり、土地と家屋にそれぞれ不動産取得税が課されます。

マンションの一戸を購入した場合は、一部例外を除き一戸部分と「敷地権」という土地の持ち分を取得したこととなり、一戸部分と土地の持ち分にそれぞれ不動産取得税が課されます。

不動産取得税とは、不動産を取得することにより課される地方税

不動産を取得するだけで不動産取得税が課される理由は定かではありませんが、令和5年5月の時点において、総務省の不動産取得税に関することを解説するページに以下の記述があります。

不動産取得税は、不動産の取得の背後にある担税力(税を負担できる能力)に着目して課される税です

つまり、不動産取得税は、「不動産という高価な財産を取得する余力があるのだから、税金も納めることができるだろう」という期待のもとに課されると考えることができます。

不動産取得税は使い道が定められていない「普通税」であり、集められた税収は幅広い公共サービスを充実させるために使用され、、令和4年度における各都道府県の税収を合計すると3,911億円です。

つづいて、不動産取得税の計算方法をご紹介しましょう。

▲ 目次に戻る

6. 不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、「課税標準額×不動産取得税の税率」と計算します。

不動産取得税の計算方法
課税標準額×不動産取得税の税率=不動産取得税

不動産取得税の計算式に含まれる課税標準額は、取得した不動産の固定資産税評価額です。

不動産の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、土地や家屋の適正な時価を指します。

不動産には売買価格がありますが、売買価格は売り主と買い主の希望によって決定し、本来の価値より高く、または低く取り引きされることがあります。

そのような売り主と買い主の希望によって変わる売買価格を基に不動産取得税を計算しては、公平に課税されません。

よって、不動産取得税は、市町村によって評価された不動産の適正な時価である、固定資産税評価額を課税標準額として計算します。

式に含まれる「不動産取得税の税率」は4%ですが、令和6年3月31日までに住宅である家屋や土地を取得すれば、3%に軽減されます。

総じて、不動産取得税は以下のように計算します。

不動産取得税の計算方法(詳細版)
課税標準額(取得した不動産の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(令和6年3月31日までに土地や住宅である家屋を取得した場合は3%、それ以外は4%)=不動産取得税

たとえば固定資産税評価額が2,000万円の家屋を取得した場合は以下のように計算し、不動産取得税は60万円です。

不動産取得税の計算例
課税標準額(取得した家屋の固定資産税評価額である2,000万円)×不動産取得税の税率(3%)=60万円

60万円とはずいぶん高額ですが、不動産取得税にはいくつかの特例や軽減措置が設けられ、適用されれば大きく軽減され、場合によってはかかりません。

つづいて、不動産取得税の特例と軽減措置をご紹介しましょう。

ちなみに、不動産取得税の課税標準額は「取得した土地や家屋の固定資産税評価額」ですが、土地や家屋の固定資産税評価額は、売買価格より大幅に低くなるのが通例です。

どの程度低くなるかは物件によって異なり、目安などはありませんが、新築の家屋の固定資産税評価額は建築費の60%程度といわれます。

また、売り出し中の土地の固定資産税評価額は、その土地が都市部、またはその周辺に位置するのであれば、販売価格の70%程度と考えることが可能です。

固定資産税評価額の詳細は、私が運営するもう一つのサイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開するコンテンツにて、わかりやすく解説しています。

固定資産税評価額が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

関連コンテンツ
固定資産税評価額とは?調べ方や目安などわかりやすく解説

▲ 目次に戻る

7. 不動産取得税の軽減措置

不動産取得税には、税額が軽減されるいくつかの特例と軽減措置が設けられています。

不動産取得税の主な特例と軽減措置は、以下のとおりです。

7-1. 宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の特例

令和6年3月31日までに宅地である土地を取得すれば「宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の特例」が適用され、土地を取得したことに課される不動産取得税が軽減されます。

注釈
宅地とは、建物を建てるための土地、または既存の建物を維持するために必要となる土地を指します

同軽減措置が適用されれば、課税標準額が「その土地の固定資産税評価額」から「その土地の固定資産税評価額の2分の1」に変更されます。

土地の不動産取得税の計算式は以下のとおりであり、本来であれば、課税標準額は「取得した土地の固定資産税評価額」です。

土地の不動産取得税の計算式
課税標準額(取得した土地の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=土地の不動産取得税

しかし、「宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、課税標準額が「取得した土地の固定資産税評価額の2分の1」に変更されます。

課税標準額が「固定資産税評価額」から「固定資産税評価額の2分の1」に変更されれば課税標準額が減り、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する宅地の不動産取得税が大きく軽減されます。

なお、同特例は、マンションの土地の持ち分にも適用されます。

▲ 目次に戻る

7-2. 不動産取得税の課税標準の特例

令和6年3月31日までに、一定の条件を満たす住宅である家屋を取得すれば、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されます。

同特例が適用されれば課税標準額が減り、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する家屋の不動産取得税が大きく軽減されます。

家屋の不動産取得税は本来は以下の式で計算し、課税標準額は「取得した家屋の固定資産税評価額」です。

家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(取得した家屋の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率=不動産取得税

しかし、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、以下のように課税標準額が「取得した家屋の固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」に変更されます。

特例適用後の計算式
課税標準額(取得した家屋の固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額)×不動産取得税の税率=不動産取得税

課税標準額が「取得した家屋の固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額」に変更されれば課税標準額が減り、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する家屋の不動産取得税が軽減されます。

同特例が適用される条件や、適用された状況における固定資産税評価額から差し引かれる額は、新築を取得した場合と中古住宅を取得した場合によって異なり、詳細は以下のとおりです。

新築住宅を取得した場合

新築住宅を取得しつつ「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される主な条件は、以下のとおりです。

  • 一戸建てであれば、床面積が50㎡以上240㎡以下の家屋を取得した
  • マンションの一戸であれば、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の一般的なファミリー向けのマンションを取得した
  • 新築を取得した日から30日以内などに、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される条件を満たすことを税事務所などへ申告した

そして、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されれば、その課税標準額は、固定資産税評価額から1,200万円(認定長期優良住宅に該当する新築を取得した場合は1,300万円)が差し引かれた額」に変更されます。

固定資産税評価額から1,200万円や1,300万円が差し引かれた額が課税標準額となれば、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する不動産取得税が大きく軽減されます。

固定資産税評価額が1,200万円や1,300万円に満たない新築の家屋を取得した場合は、不動産取得税はかかりません。

▲ 目次に戻る

中古住宅や中古マンションを取得した場合

一戸建ての中古住宅や中古マンションの一戸を取得しつつ「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される主な条件は、以下のとおりです。

  • 一戸建てを取得した場合は、床面積が50㎡以上240㎡以下の中古住宅である家屋を取得した
  • 中古マンションの一戸を取得した場合は、戸内の床面積が50㎡以上200㎡程度以下の一般的なファミリー向けのマンションを取得した
  • 昭和57年1月1日以降に新築された一戸建ての中古住宅や中古マンションを取得した
  • 昭和57年1月1日より前に新築された一戸建ての中古住宅や中古マンションを取得した場合は、耐震改修工事が行われるなどして、現行の耐震基準を満たす家屋を取得した
  • 一戸建ての中古住宅や中古マンションを取得後30日以内などに、税事務所に「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される条件を満たすことを申告した

「不動産取得税の課税標準の特例」が適用されることにより固定資産税評価額から差し引かれる額は、取得した一戸建ての中古住宅や中古マンションが新築された日によって異なり、以下のとおりです。

新築された日 課税標準額から差し引かれる額
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
平成9年4月1日以降 1,200万円

▲ 目次に戻る

7-3. 住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額

「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される新築や中古住宅である家屋を取得し、一定の条件を満たしつつその家屋が建つ土地を取得すれば、「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されます。

同軽減措置が適用されれば、「不動産取得税の課税標準の特例」が適用される家屋が建つ土地を取得したことに対して課される不動産取得税そのものから、一定の額が差し引かれます。

同軽減措置が適用される主な条件は、以下のとおりです。

建売や分譲マンションなどの新築を取得した場合
  • 新築後1年以内の建売や分譲マンションを、家屋と土地(一戸部分と土地の持ち分)を併せて取得した
  • 新築後1年を超えた建売や分譲マンションを取得した場合は、その家屋と土地(一戸部分と土地の持ち分)を同時に取得し、取得した者がその家屋に居住している
住宅を新築した場合
  • 土地を先行して取得しつつ後から新築した場合は、令和6年3月31日までに土地を取得し、取得した日から3年以内にその土地に家屋を新築をした
  • 家屋を先行して新築した場合は、新築が完成した日から1年以内に、その家屋が建つ土地を取得した
一戸建ての中古住宅や中古マンションを取得した場合
  • 家屋と土地(一戸部分と土地の持ち分)を同時に取得した
  • 家屋と土地(一戸部分と土地の持ち分)を取得した時期が異なる場合は、土地を取得した日の前後1年以内に、その土地に建つ家屋を取得した

「住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額」が適用されることにより差し引かれる税額は、以下の2つのうちの多い方の額です。

  • 45,000円
  • (取得した土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×(200㎡を上限とする取得した特例適用住宅の床面積の2倍)×3%

▲ 目次に戻る

まとめ

不動産取得税の通知がこない、いつ払うべきかと戸惑う方へ向けて、納税通知書が届く時期や、不動産取得税のお得な払い方などご紹介しました。

新築の家屋の不動産取得税の納税通知書は、その家屋を取得した年の翌年の4月以降に届きます。

土地や中古住宅、中古マンションの不動産取得税の納税通知書は、早ければ取得から2~3ヶ月後に、遅ければ数ヶ月後に届きます。

ただし、特例や軽減措置が適用されることにより不動産取得税がかからない場合や免税点未満である場合、相続により不動産を取得した場合は、不動産取得税の納税通知書は届きません。

不動産取得税は高額になりがちですが、一部の都道府県ではクレジットカードやスマホアプリでの納付に対応し、ポイントが貯まるなどしてお得です。

ご紹介した内容が、不動産取得税の納税通知書が届く時期をお調べの皆様に役立てば幸いです。

失礼いたします。

最終更新日:2023年5月
記事公開日:2020年5月

▲ 目次に戻る

こちらの記事もオススメです