不動産投資の流れはどうする?

不動産投資の流れはどうする?

はじめて不動産投資を行う際は、どのように始めるべきか戸惑いますが、「目標設定→物件探し→売買契約と融資の申し込み」など、思いのほかシンプルな手順で開始できます。

不動産投資を志す方へ向けて、不動産投資をはじめる流れをご紹介しましょう。

目次

1. 目標の設定と戦略の決定

はじめに、楽待や健美家など、投資用物件の情報を掲載する検索サイトを閲覧しながら、物件の相場感覚を掴みます。

不動産投資を始めるためには物件を購入する必要があり、相場感覚がなければ不動産投資は開始できません。

相場感覚が掴めれば、不動産投資を行うことの目標を設定します。

たとえば、「不動産所得により毎年50万円ずつ貯金し、10年で預金を500万円増やす」などですが、自己の属性に見合った目標を設定してください。

不動産投資は、多くの場合は銀行から融資を受けつつ開始することとなりますが、はじめて不動産投資を行う際は、属性を超えた額の融資を希望しても審査にとおりません。

そのため、自己の属性に見合う目標を設定します。

目標の設定が完了すれば、先に養った相場感覚を基に、購入する物件の種類を決定します。

例を挙げると、自己資金が500万円であり、現在の自己の属性から鑑みて2,000万円を借り入れできると判断する場合は区分マンションなどを、自己資金が1,000万円であり、5,000万円を借り入れできると判断すれば中古アパート1棟などを選ぶのが良いでしょう。

不動産投資は、自己の属性に見合った物件を選びつつ開始する

さらに、不動産投資の戦略も練ります。

具体的には、購入した投資用物件を所有し続けてキャッシュフローを得るのか、購入した物件を数年後などに売却し、キャピタルゲインを狙うのか、などの戦略です。

キャッシュフローとは、不動産投資を行うことにより手元に残るお金であり、キャピタルゲインとは、投資用物件を売却することにより得る利益であり、売却益です。

不動産投資は、一般には物件を所有し続けるほどキャッシュフローが減る傾向があり、不動産投資により預金を増やしたいと希望するのであれば、返済が完了する前に物件を売却しなければならない可能性があります。

また、不動産投資は、キャッシュフローを狙えばキャピタルゲインが減り、キャピタルゲインを狙えばキャッシュフローが減る傾向があり、キャッシュフローとキャピタルゲインの両立が難しいこともあります。

よって、不動産投資を始めたいと希望する場合は、物件を購入する前に戦略を練っておかなければなりません。

▲ 目次に戻る

2. 不動産業者にアポイントメントを取る

投資用物件の相場感覚を掴み、不動産投資の目標と戦略が決定すれば、目標を達成できる、自己資金と自らの属性に見合った物件を楽待や健美家などで探します。

初めて不動産投資を行う場合における、物件を探す極めて単純な秘訣は「こだわりすぎないこと」です。

目標を達成することが可能であり、なおかつ自己資金と自分の属性に見合った物件など、そう簡単には見つかりません。

よって、こだわりすぎず、興味がある物件が見つかれば、その物件を取り扱う不動産業者に連絡しつつ資料を取り寄せてください。

はじめての投資用物件を探す秘訣はこだわりすぎないこと

そして、取り寄せた資料を基に物件を確認しつつ採点し、60点以上であれば不動産業者にメールや電話で連絡を入れ、アポイントメントを取ります。

アポイントメントが取れれば、不動産屋の店頭に出向き、初めて不動産投資を行うこと、資金を借り入れつつ物件を購入する場合は融資を希望することなどを伝え、不動産業者と世間話をします。

難しい話は抜きにして、はじめて不動産投資を行うというスタンスを崩さず、不動産業者の人となりを観察しつつ、不動産投資に関するアドバイスを仰いでください。

不動産投資を行う上で不動産業者との接点は欠かせず、不動産業者からは多くの有益なアドバイスを受けることができます。

これを繰り返し、何人かの不動産業者と面識を持つようになれば、自然に不動産投資に関する知識が増え、どのような物件を購入すべきか判断できるようになります。

また、不動産業者と知り合いになっておけば、ネットで公開する前に、売りに出されて間もない物件の情報を知らせてくれることや、条件の良い融資を引き出せる銀行を紹介してくれることがあり、多くの不動産業者と面識を持つことは大切です。

▲ 目次に戻る

3. 事業計画書と収支計画書の作成

面識を持つ不動産業者が増え、いくつかの物件を見学しつつ購入すべきと感じる物件が見つかれば、その物件を綿密にチェックします。

具体的には、事業計画書と収支計画書を作成できる程度までチェックしてください。

不動産投資における事業計画書とは、その物件の詳細や購入するために必要となる費用などを記載した書面です。

一般に不動産投資の事業計画書には、以下のことなどを記載します。

  • 物件の住所と最寄りの駅までの距離、立地条件
  • 物件価格
  • 物件の構造と築年数、上下水道、都市ガスへの接続状況
  • 建物部分の延べ床面積と固定資産税評価額
  • 土地部分の面積と固定資産税評価額、相続税路線価から計算した時価
  • 物件を購入するために必要となる諸費用の詳細
  • 融資を受けつつ物件を購入する場合は、融資を受けるために必要となる諸費用の詳細
  • 物件を購入後に支払う必要がある不動産取得税や固定資産税、都市計画税、損害保険料
  • 物件の表面利回りと実質利回り
  • 物件を購入する時点の空室率

また、不動産投資における収支計画書とは、その物件を所有することにより得ると予想される毎年の家賃収入や、支払う必要がある経費などを年次別に記した書面であり、以下のことなどを記載します。

  • 予想される毎年の家賃収入
  • 予想される毎年の維持管理費用と修繕費
  • 課されると予想される毎年の所得税と住民税の額
  • 予想される毎年のキャッシュフロー
  • 融資を受けつつ物件を購入する場合は、毎年の返済額と残債、支払う利息の額
  • 物件を売却する予定の場合は、何年目に売却するか、予想される売却額と売却益、売却益に課される所得税と住民税の額、売却益を以て完済する予定の場合はその旨

事業計画書と収支計画書を作成できる程度まで物件をチェックすれば、その物件を購入することにより初期に設定した目標を達成できるか判断できます。

そして、その物件を購入することにより目標を達成できると判断すれば、チェックした内容を基に実際に事業計画書と収支計画書を作成してください。

作成した事業計画書と収取計画書は、後に銀行に融資を申し込む際に担当者に手渡すこととなるため、担当者に見せることができる水準まで仕上げる必要があります。

なお、不動産に心得がある場合は、物件をチェックする際に、自分の目で傷み具合などをチェックし、購入後にどの程度の費用が必要か見極めてください。

不動産投資は、不動産に心得がなくともできますが、不動産に心得があれば、より有利に投資を行うことができます。

▲ 目次に戻る

4. 資金を借り入れる銀行を探す

事業計画書の作成が完了し、その物件を購入することにより当初に設定した目標が達成できる見込みがあると判断すれば、その物件を購入するプロセスに移ります。

具体的には、融資を申し込む銀行に当たりを付けます。

不動産投資のための資金を貸し出すのは、都市銀行や地方銀行、信用組合や信用金庫ですが、都銀は金利が低いものの審査の基準が厳しく、地銀や信組、信金は金利が高いものの審査にとおりやすいという特徴があります。

よって、手持ちの資金が1,000万円などと潤沢であり、なおかつ安定した収入があるのであれば都銀に、そうでない場合は地方銀行や信用組合、信用金庫に的を絞るのが良いでしょう。

融資を申し込む銀行が決定すれば、電話でアポイントメントを取り、事業計画書と収支計画書、購入を希望する投資用物件の資料、過去3年の収入を証明できる書面などを持参しつつ担当者と面談し、どれくらいの資金を借り入れできるか確認します。

確認ができれば、この時点では審査の申し込みはせず、あらためて後日申し込みます。

あらためて後日申し込むのは、審査の際は売買契約書と重要事項説明書の提出を求められるためです。

売買契約書と重要事項説明書を提出するためには、不動産業者から重要事項説明を受け、売り主と売買契約を締結しなければなりません。

重要事項説明とは、不動産業者から口頭にて物件の詳細が伝えられる説明であり、重要事項説明書とは重要事項説明の内容をまとめた書面であり、重要事項説明が終了した直後に不動産業者から手渡されます。

不動産投資において売買契約を締結しつつ融資を申し込む流れ

なお、不動産業者が銀行を紹介する場合は、その銀行にも出向き、融資の条件などを確認してください。

一般に、はじめて不動産投資を行う際は、不動産業者が紹介する銀行が最も審査に通りやすいとされます。

▲ 目次に戻る

5. 売買契約と審査の申し込み

融資を申し込む銀行の目星が付けば、物件の売り主に購入申込書を提出します。

購入申込書とは、その物件を購入する意思があることを伝える書面であり、物件を取り扱う不動産業者を通して提出します。

そして、売り主が購入申し込みに合意すれば、ローンの審査を受ける前に不動産業者から重要事項説明を受けつつ重要事項説明書の交付を受け、特約を付けつつ売り主と売買契約を結びます。

付けるべき特約は、ローンの審査に通らない場合に売買契約を無効とする特約であり、特約を付けておけば、融資が実行されない状況において売買契約を解除することが可能です。

売り主と売買契約を結べば、売買契約書と重要事項説明書などを持参しつつ銀行にローンの審査に申し込みます。

審査に通り融資が実行されれば、貸し出された資金を以て物件を購入し、不動産投資の開始です。

▲ 目次に戻る

まとめ - 物件を探すと共に、税金の知識を身に付けておく

不動産投資の流れをご紹介しました。

不動産投資は、様々な方法で開始できますが、一般には以下の流れではじめます。

  • 1. 目標を設定しつつ戦略を練る
  • 2. 不動産業者とアポイントメントを取りつつ物件を探す
  • 3. 理想の物件が見つかれば詳細をチェックし、事業計画書と収支計画書を作成する
  • 4. 融資を申し込む銀行を探す
  • 5. 売り主と売買契約を結び、銀行に審査に申し込む
  • 6. 審査に合格すれば融資が実行され、物件を購入しつつ不動産投資を開始する

以上が主な流れであり、短ければ3ヵ月程度、長ければ6ヵ月程度で不動産投資を開始することが可能です。

理想の物件が見つからない場合は、6ヵ月を超える期間を要することもありますが、焦らず探してください。

なお、物件を購入後は、家賃収入を得つつ経費を支払うこととなりますが、不動産投資において最も高額となる費用は税金です。

具体的には、不動産所得にかかる所得税と住民税、物件を売却することにより得る売却益にかかる所得税と住民税であり、どの税金も安くはありません。

また、不動産投資は、一定の期間を超えると減価償却できなくなり、それに伴いさらに納める税金が高くなります。

多くの投資家は、購入から数年などが経過すると物件を売却しますが、その理由は一定の期間を過ぎると支払う税金ばかりが増え、キャッシュフローが悪くなることが理由です。

よって、不動産投資を始めたいと希望する場合は、税金に関することを学んでおかなければなりません。

不動産投資に関する税金の知識を身に付けるためには、著者が税理士である不動産投資に関する本を読むなどが有効です。

ご紹介した内容が、不動産投資を志す皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年5月

▲ 目次に戻る

こちらの記事もオススメです