住宅取得資金贈与の非課税は土地の購入に適用されるか

住宅取得資金贈与の非課税は土地の購入に適用されるか

祖父母や両親から子や孫へ向けて、一定の条件を満たした住宅取得資金の贈与が行われれば、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(以下:住宅取得等資金の非課税)」が適用されます。

同制度が適用されれば、一定額までの住宅取得資金の贈与に贈与税が掛かりませんが、土地の購入資金が贈与された場合はどうでしょう。

土地の購入資金が贈与された場合に、住宅取得等資金の非課税が適用されるかご説明しましょう。

目次

1. 条件を満たせば土地の取得資金にも適用される

住宅取得等資金の非課税は、土地を取得する資金が贈与された場合も適用されます。

ただし、住宅を新築する土地を取得するための資金が贈与された場合に限り適用されるため注意してください。

ただ単に土地を購入する資金が贈与された場合は、同制度は適用されません。

同制度は、住宅を新築するための土地を購入する資金や、建物と土地がセットになっている一戸建て住宅、建物と土地の持ち分がセットになっているマンションを購入するための資金が贈与された場合に適用されます。

住宅取得資金贈与の非課税は一定の条件を満たせば土地の購入資金の贈与にも適用される

また、土地の取得資金が贈与された場合に、住宅取得等資金の非課税の適用を受けるためには、以下などの条件を満たさなければなりません。

土地の購入資金が贈与された場合における住宅取得等資金の非課税の主な適用条件

  • 祖父母や両親から、その子や孫に住宅取得資金が贈与された
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、贈与を受けた時点で20歳以上である
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下である
  • 平成21年から平成26年までの間に住宅取得等資金の非課税の適用を受けていない
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、配偶者や親族などの特別な間柄以外の者から土地を購入した
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与された額の全部を用いて土地を購入しつつ新築した
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、自らが居住する住宅を新築するための土地を購入した
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、贈与を受けた翌年の3月15日までに、購入した土地に建つ新築に居住する見込みがある
  • 住宅取得資金の贈与を受けた子や孫が、購入した土地に床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅を新築した

以上が、土地の購入資金が贈与された場合における、住宅取得等資金の非課税が適用される主な条件です。

土地の取得資金が贈与され、同制度が適用された場合における非課税の限度額は、土地の売買契約を締結した日が属する年などによって異なり、以下のとおりとなっています。

住宅取得等資金の非課税の限度額

土地の売買契約の締結日 一般的な住宅を新築した場合の上限 省エネ等住宅を新築した場合の上限
平成31年4月1日~令和2年3月31日 2,500万円 3,000万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 1,500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 700万円 1,200万円

上記の表には、省エネ等住宅を新築した場合の上限が含まれていますが、省エネ等住宅の定義は以下のとおりです。

省エネ等住宅の定義

  • 断熱等性能等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級2以上、または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上

上記3つのいずれかの条件を満たせば構わない

土地の購入資金の贈与に住宅取得等資金の非課税の制度が適用されることの根拠は、「国税庁タックスアンサーNo.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の「4 住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件」や、「国税庁質疑応答事例 住宅用家屋を新築するための土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受けた場合における住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否」にてご確認いただけます。

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1-1. 限度額には基礎控除額を加算できる

先にご紹介した表「住宅取得等資金の非課税の限度額」にて、住宅取得等資金の非課税が適用された場合における非課税の限度額をご紹介しました。

この限度額には、110万円を加算することが可能です。

110万円を加算できる理由は、贈与税には毎年110万円の基礎控除が設けられ、暦年(1月1日から12月31日)に行われた110万円までの贈与に贈与税が掛からないことが理由です。

この贈与税の110万円の基礎控除は、住宅取得等資金の非課税の適用を受けた場合も適用されます。

よって、表でご紹介した非課税の上限に110万円を加算することが可能です。

住宅取得等資金の非課税の上限には110万円の基礎控除額を加算できる

基礎控除額である110万円を加算した場合における、住宅取得等資金の非課税の上限は以下のようになります。

基礎控除額を加算した住宅取得等資金の非課税の限度額

土地の売買契約の締結日 一般的な住宅を新築した場合の上限 省エネ等住宅を新築した場合の上限
平成31年4月1日~令和2年3月31日 2,610万円 3,110万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,110万円 1,610万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 810万円 1,310万円

なお、土地を購入するための住宅取得資金の贈与が行われた年に、同一の贈与者(資産を贈る者)と受贈者(資産を受ける者)の間で既に110万円の贈与が行われている場合は、限度額に110万円を加算することはできないため注意してください。

贈与税の110万円の基礎控除は、暦年に行われた同一の贈与者と受贈者の間で1回限り適用されます。

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2. 土地の購入代金が贈与された場合における住宅取得等資金の非課税の必要書類

一定の条件を満たせば、住宅取得等資金の非課税は土地の購入代金の贈与にも適用されます。

ただし、適用するためには、祖父母や父母から贈与を受けた者(子や孫)が、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに税務署に申告をする必要があるため注意してください。

申告は、以下のいずれかの方法で行います。

住宅取得等資金の非課税の申告方法

  • 国税庁のホームページ「e-Tax」から電子的に申告する
  • 国税庁のホームページ「e-Tax」から申告書をダウンロードしつつプリントアウトし、必要事項を記入して必要書類と共に最寄りの税務署に提出する

国税庁が公開する、住宅取得等資金の非課税の申告方法の記入例が記載された申告書の見本は以下のとおりです。

住宅取得等資金の非課税の申告方法の見本

住宅取得等資金の非課税の申告方法の見本

出展:国税庁「令和2年分贈与税の申告のしかた」の46ページ「【事例5】住宅取得等資金の非課税を適用し暦年課税を選択する場合」

また、申告書に添付すべき必要書類は、一般的な住宅を新築した場合と、省エネ等住宅を新築した場合によって異なり以下のとおりです。

一般的な住宅を新築した場合の必要書類

  • 受贈者(土地の取得資金の贈与を受けた者)の戸籍の謄本
  • 受贈者の源泉徴収票など、土地の取得資金の贈与が行われた年の受贈者の合計所得金額が明らかになる書類
  • 新築した住宅の工事請負契約書の写し
  • 新築した住宅の登記事項証明書
  • 申告の時点で新築した住宅に居住していない場合は、居住開始予定時期を記した書面
  • 申告の時点で新築した住宅に居住していない場合は、居住が可能になった時点で速やかに入居すると約束することを記した書面

また、新築した住宅が、この記事の「住宅取得等資金の非課税の限度額」でご紹介した省エネ等住宅に該当する場合は、以下いずれかの書類も提出する必要があります。

新築した住宅が省エネ等住宅である場合に追加で提出すべき必要書類

  • 住宅性能評価書
  • 建設住宅性能評価書の写し
  • 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写しと住宅用家屋証明書、または長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写しと認定長期優良住宅建築証明書
  • 低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写しと住宅用家屋証明書、または低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写しと認定低炭素住宅建築証明書

上記4つのいずれかの書類で構わない

以上が、土地の購入資金が贈与された場合における、住宅取得等資金の非課税の申告書に添付すべき必要書類です。

なお、e-Taxから申告する場合は、必要書類をスキャナーでスキャンしつつPDFファイルに加工し、そのファイルを電子的に添付しつつ提出して構いません。

ご自宅にスキャナーがない場合は、セブンイレブンなどに設置されているコピー機でスキャンすることが可能です。

住宅取得等資金の非課税の必要書類の一覧、及び詳細は、国税庁が公開する資料「令和2年分贈与税の申告のしかた」の54ページ「令和2年分 住宅取得等資金の非課税の添付書類一覧 A-1 新築又は取得用」にてご確認いただけます。

また、同資料の最後のページの下部には、e-Taxから住宅取得等資金の非課税を申告する場合における必要書類をPDFファイルで提出することが可能であることも記されています。

土地の購入資金の贈与を受けつつ住宅取得等資金の非課税の適用を希望する方は、同資料を必ずご確認ください。

余談ですが、誰でもわかる不動産売買では、住宅取得等資金の非課税の必要書類をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

土地の購入資金の贈与を受けつつ住宅を新築し、住宅取得等資金の非課税の適用を希望する方がいらっしゃいましたら是非ご覧ください。

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3. 住宅取得資金贈与は土地の現物には適用されない

祖父母や父母から子や孫へ向けて、住宅を新築するための土地を購入するための資金が贈与された場合は、住宅取得等資金の非課税が適用されます。

これに対して、土地の現物が贈与された場合は、残念ながら同制度は適用されません。

同制度は、祖父母や父母から子や孫へ向けて、子や孫が自らが居住するための住宅を新築するための土地を購入する資金が贈与された場合などに適用されます。

住宅取得資金贈与は土地の現物の贈与には適用されない

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まとめ - 住宅取得等資金の非課税は相続時精算課税制度と併用できる

土地の購入資金が贈与された場合に、住宅取得等資金の非課税が適用されるかご紹介しました。

住宅取得等資金の非課税(正式名称:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税)は、祖父母や父母から20歳以上の子や孫へ向けて、住宅を取得するための資金の贈与が行われた場合に適用される制度です。

そして、住宅取得等資金の非課税は、土地の購入資金が贈与された場合も適用されます。

ただし、祖父母や父母から子や孫へ向けて、自らが居住する住宅を新築する土地を購入するための資金が贈与された場合に限り適用されるため注意してください。

ただ単に土地の購入資金が贈与された場合は、住宅取得等資金の非課税は適用されません。

なお、祖父母や父母から子や孫へ向けて資産の贈与が行われた場合に適用される、相続時精算課税制度という制度があります。

相続時精算課税制度とは、祖父母や父母から子や孫へ向けて行われた贈与に課せられる贈与税を相続税に置き換える制度です。

贈与税の税率は相続税の税率より高いため、直径直属の間柄であっても気軽に資産を贈与できませんが、相続時精算課税制度を適用することにより、その贈与税を相続税に置き換えつつ節税できます。

そして、相続時精算課税制度は、今回ご紹介した住宅取得等資金の非課税と同時に適用することが可能です。( その根拠は「国税庁 財産をもらったとき」の「住宅取得の際の贈与税の特例」にてご確認いただけます)

相続時精算課税制度にはいくつかのデメリットがありますが、相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税を同時に適用すれば、贈与税を大幅に安くできます。

誰でもわかる不動産売買では、相続時精算課税制度をわかりやすく解説するコンテンツも公開中です。

直径直属の間柄で住宅取得資金の贈与をご予定の方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年1月

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