公示地価、基準地価、路線価の違いをわかりやすく解説

不動産売買を勉強すると公示地価、基準地価、路線価などの不動産用語を見聞きします。
これらは全て土地の価格ですが、役割などが異なります。
不動産用語を学ぶ方へ向けて、公示地価と基準地価、路線価の違いを解説し、それぞれの意味をわかりやすくご説明しましょう。
目次
1. 公示地価、基準地価、路線価の違いとは?
まずは、公示地価、基準地価、路線価の違いをわかりやすくご説明しましょう。
その前に、公示地価、基準地価、路線価は、それぞれ1㎡あたりの土地の価格であることを理解してください。

それでは、公示地価、基準地価、路線価の違いをわかりやすくご説明しましょう。
以下の表をご覧ください。
名称 | どこが発表する? | 役割は? |
---|---|---|
公示地価 | 国(国土交通省) | 一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標として役立てられる |
基準地価 | 全国各地の都道府県 | 一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標として役立てられる |
路線価 | 国税庁 | 土地の相続税や贈与税を計算する際に役立てられる |
以上が公示地価、基準地価、路線価の違いとなっています。
上記の表で気になるのが、公示地価と基準地価の役割が同じであるという点ですが、違いは土地の場所と価格が設定された時期であり、詳細は以下のとおりです。
名称 | どのような土地の価格? | いつの価格? | いつ発表される? |
---|---|---|---|
公示地価 | 全国の約2万6千か所の土地の価格 | 毎年1月1日時点 | 毎年3月ごろ |
基準地価 | 公示地価と異なる、全国の約3万か所の土地の価格 | 毎年7月1日時点 | 毎年9月ごろ |
以上が公示地価と基準地価の違いで、公示地価は国土交通省が公表する全国の約2万6千か所の土地の価格であり、基準地価は各都道府県が公表する全国の約3万か所の土地となっています。
そして、公示地価と基準地価の場所は重複しません。
たとえば、公示地価では「東京都千代田区六番町6番1」の土地の価格が発表され、基準地価では「東京都千代田区三番町6番25」の土地の価格が発表されるといった具合です。

なお、全国各地の公示地価と基準地価は「標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~」にて調べることが可能です。
2. 公示地価、基準地価、路線価をわかりやすく解説
つづいて、公示地価、基準地価、路線価の意味をわかりやすく解説しましょう。
2-1. 公示地価とは?
公示地価とは、国土交通省が毎年3月ごろに発表する、全国の約2万6千か所の土地の1㎡あたりの価格です。

その価格は、土地が売買される際の適正価格の指標として役立てられ、全国約2万6千か所の場所を「標準地」と呼びます。
また、公示地価は「固定資産税評価額」を決定する際にも役立てられます。
固定資産税評価額とは、固定資産税(不動産の所有者に毎年課せられる地方税)を算出する際の基準となる額で、固定資産税は以下の式で計算されます。
固定資産税の計算式
固定資産税評価額 × 税率(おおむね1.4%)= 固定資産税
上記のとおり固定資産税評価額は固定資産税を計算する際の基準となる額であり、固定資産税評価額は公示地価の約7割程度に設定されるのが通例です。
たとえば、公示地価が1㎡あたり10万円の土地を100㎡所有している場合は、1,000万円の土地を所有すると見なされます。(10万円×100㎡=1,000万円)
その場合、その土地の固定資産税評価額は、その約7割である700万円程度に設定されます。

そして、700万円に税率を掛け算することにより、その土地の固定資産税が決定されます。
固定資産税の計算例
700万円(固定資産税評価額)× 1.4%(税率)= 9万8千円(固定資産税)
このように公示地価は、固定資産税を計算する際にも役立てられます。
なお、公示地価、地価公示価格、公示価格は同じ意味のため留意してください。
2-2. 基準地価とは?
基準地価とは、全国各地の都道府県知事が毎年9月ごろに発表する、全国の約3万か所の1㎡あたりの土地の価格です。

その価格は、一般の方などが土地を売買する際の価格の指標として役立てられ、全国の約3万か所の土地の場所を「基準地」と呼びます。
つまり、基準地価とは「基準地の地価」というわけです。
なお、基準地価が発表されるのは毎年9月下旬ごろですが、その年の7月1日時点の土地の価格となっています。
2-3. 路線価とは?
土地を相続すると相続税が、無料など適正価格より安く譲り受けると贈与税が課せられます。
そして、路線価とは、相続税や贈与税の額を決定するために国税庁が定めた全国各地の宅地(家を建てるための土地)の1㎡あたりの価格です。
Yahoo!知恵袋で「父が30年前に2,000万円で買った土地を相続したが相続税はいくらか?」などの質問を見かけますが、相続税や贈与税は売買価格からは決定されず、路線価から算出された土地の価格から決定されます。

たとえば、路線価で10万円と評価される土地を100㎡相続したとします。
その場合は「10万円×100㎡ = 1,000万円」の土地を相続したと国税庁に見なされ、その価格に税率を掛け算しつつ相続税が決定されます。
相続税の計算式は以下のとおりです。
相続税の計算式
相続した財産の総額 × 税率(相続した額により異なり10~50%など)= 相続税
また、土地を無料で譲り受けた場合の贈与税も同じです。
土地の贈与を受けた場合は、その土地の価格を路線価から算出し、その額に税率を掛け算しつつ贈与税が決定されます。
土地の贈与税の計算式は以下のとおりです。
土地の贈与税の計算式
路線価から算出した贈与を受けた土地の価格 × 税率(土地の価格により異なり10~55%など)= 贈与税
なお、国税庁が全国各地の路線価を決定する際は、公示地価を参考にしつつ、その80%程度に設定されるのが通例となっています。
まとめ - それぞれの地価には、おもしろい相関関係がある
公示地価、基準地価、路線価の違いなどをわかりやすくご説明しました。
公示地価は国土交通省が毎年3月ごろに発表する、全国各地の約2万6千か所の土地の1㎡あたりの価格です。
これに対して、基準地価は各都道府県が毎年9月ごろに発表する、全国各地の約3万か所の土地の1㎡あたりの価格となっています。
公示地価と基準地価が発表される土地の場所は重複せず、どちらも土地を売買する際の適正な価格の指標として役立てられます。
また、基準地価は固定資産税評価額を決定する際にも役立てられ、固定資産税評価額は基準地価の約80%程度になるのが通例です。
そして、路線価は国税庁が毎年7月ごろに発表する全国各地の宅地の1㎡あたりの価格で、土地の相続税や贈与税を計算する際に役立てられます。
路線価は公示地価を参考に設定され、その80%程度になるのが通例です。
まとめると以下のとおりです。
公示地価 | 土地を売買する際の適正価格の指標であり、土地が売買される際は公示地価を参考に価格が設定される |
---|---|
基準地価 | 土地を売買する際の適正価格の指標であり、固定資産税評価額の指標にもなる(固定資産税評価額は基準地価の約80%) |
路線価 | 土地の相続税や贈与税を算出する際に役立てられ、公示地価の約80%を目安に設定される |
それぞれの地価にはおもしろい相関関係があるため、ぜひ覚えてください。
記事公開日:2019年12月