収入合算の3つのデメリット。団信やローン控除が受けられない!?

借り主と妻や夫などの配偶者、または、借り主と親や子供などの直系尊属が、それぞれの収入を合わせて、より多くの資金を借り入れできる仕組みを「収入合算制度」と呼びます。
収入合算で住宅ローンを申し込めば、借り主だけで融資を申し込むより、たくさんの収入があると判断されるため、多くの資金を借り入れることが可能になり、高額な不動産を購入することが可能です。
しかし、収入合算にはデメリットがあります。
収入合算制度の仕組みを解説しつつ、3つのデメリットをご紹介しましょう。
目次
1. 住宅ローンにおける収入合算制度の仕組み
収入合算のデメリットをご説明する前に、住宅ローンにおける収入合算制度の仕組みを解説しましょう。
収入合算には、住宅金融支援機構が実施する住宅ローンである「フラット35」などで利用できる連帯債務型と、民間の金融機関が実施する住宅ローンである「民間ローン」などで利用できる連帯保証型があります。

そして、それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 連帯債務型の仕組みと特徴
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収入合算制度における連帯債務型は、借り主が申し込み、配偶者や直系尊属などの合算者が連帯債務者となる住宅ローンです。
連帯債務者となった合算者は、借り主が住宅ローンを返済できる、できないにかかわらず、いつでも金融機関から返済を求められる可能性があり、合算者が返済を行った場合は借り主は返済を免除されます。 - 連帯保証型の仕組みと特徴
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収入合算制度における連帯保証型は、借り主が申し込み、配偶者や直系尊属などの合算者が連帯保証人となる住宅ローンです。
連帯保証人となった合算者は、借り主が住宅ローンを返済できない場合に限り、借り主に代わって返済する義務が発生し、合算者が返済を行った場合は借り主は返済を免除されます。
コラム 「フラット35」や「民間ローン」とは?
収入合算による住宅ローンは、連帯債務型は「フラット35」で、連帯保証型は「民間ローン」で実施されているとご説明しました。
ここで気になるのがフラット35と民間ローンの違いですが、以下のとおりとなっています。
- フラット35
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フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関の連携により貸し出される住宅ローンであり、金利が高いものの審査が通りやすいという特徴があります。
- 民間ローン
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民間ローンとは、都市銀行や地方銀行、ネット銀行などの民間の金融機関が独自に商品化する住宅ローンであり、金利が低いもののフラット35より審査が通りにくいという特徴があります。
なお、当サイトでは、フラット35と民間ローンの違いなどを詳しく解説するコンテンツ「住宅ローンの種類とメリットを解説(実は3種類しかない!?)」も公開中です。
お時間のある方は、是非ご覧ください。
2. 収入合算の3つのデメリット
住宅ローンにおける収入合算には、配偶者や直系尊属などの合算者が連帯債務者になる「連帯債務型」と、合算者が連帯保証人になる「連帯保証型」があるとご紹介しました。
それでは、収入合算の3つのデメリットをご紹介しましょう。
- その1. 連帯保証型は合算者が団信に加入できない
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収入合算による住宅ローンは、主にフラット35で利用できる連帯債務型と、主に民間ローンで利用できる連帯保証型がありますが、連帯保証型は合算者が団信に加入できません。
団信とは「団体信用生命保険」の略で、合算者が団信に加入していれば、合算者が死亡した場合に住宅ローンを貸し出した金融機関に保険金が支払われ、住宅ローンが返済されたと見なされます。
つまり、合算者が団信に加入していれば、合算者に万が一のことがあった場合に住宅ローンが返済され、借り主は返済義務を免除されるというわけです。
しかし、合算者が団信に加入していない状態で、合算者に万が一のことがあれば、借り主は自分だけの収入で残りの住宅ローンを完済しなくてはなりません。
なお、主にフラット35で実施されている連帯債務型を選べば、合算者も団信に加入することが可能です。 - その2. 連帯保証型は合算者が住宅ローン控除を受けられない
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住宅ローン控除とは、最高10年間などにわたり毎年40万円などが所得税から控除される減税制度であり、活用すれば税金を大幅に安くできます。
そして、収入合算による住宅ローンには、主にフラット35で実施される連帯債務型と、主に民間ローンで実施される連帯保証型がありますが、連帯保証型は合算者が住宅ローン控除を受けられません。
なお、主にフラット35で実施される連帯債務型を選べば、合算者も住宅ローン控除を受けることができます。 - その3. 連帯保証型は合算者がパートの場合、審査が通りにくい
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収入合算による住宅ローンには、主にフラット35で実施される連帯債務型と、主に民間ローンで実施される連帯保証型があります。
そして、フラット35は審査が通りやすく、民間ローンは審査が難しいという特徴がありますが、合算者がパートやアルバイトの状態で、主に民間ローンで実施される連帯保証型に申し込むとさらに審査に通りにくくなります。
なお、主にフラット35で実施されている連帯債務型は、合算者がパートやアルバイトでも審査に通りやすい傾向がありますが、フラット35は金利が高いというデメリットがあるため注意してください。
まとめ - 収入合算による住宅ローンの特徴やデメリットを表にすると…
収入合算制度による住宅ローンの仕組みと、収入合算の3つのデメリットをご紹介しました。
収入合算による住宅ローンには、連帯債務型と連帯保証型がありますが、それぞれの特徴やデメリットを表にまとめると以下のとおりです。
収入合算による住宅ローンのまとめ
分類 | 合算者の団信 | 合算者のローン控除 | 金利 | 審査 | |
---|---|---|---|---|---|
連帯債務型 | 主にフラット35 | 加入できる | 受けられる | 高い | 通りやすい |
連帯保証型 | 主に民間ローン | 加入できない | 受けられない | 低い | 難しい |
つまり、収入合算制度による住宅ローンは、連帯債務型は合算者も団信に加入できるなどのメリットがあるものの金利が高く、連帯保証型は住宅ローン控除が受けられないなどのデメリットがあるものの金利が低いなどの特徴があるというわけです。
なお、収入合算と比べられることが多い住宅ローンに、夫婦などで借り入れできるペアローンがありますが、ペアローンの特徴を表にまとめると以下のようになります。
ペアローンの特徴をまとめると…
分類 | 合算者の団信 | 合算者のローン控除 | 金利 | 審査 | |
---|---|---|---|---|---|
ペアローン | 民間ローン | 加入できる | 受けられる | 低い | やや難しい |
上記のようにペアローンは、収入合算制度における連帯債務型と連帯保証型をミックスしたような特徴があるため、収入合算による住宅ローンを希望する場合はペアローンも視野に入れるのが良いでしょう。
ご紹介した内容が、皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2018年7月
最終更新日:2020年3月