中古住宅の維持費ってどれくらい?(一戸建てと中古マンション)

中古住宅を購入したい。どんな維持費が掛かる?

中古住宅を購入すれば家賃は不要になりますが、税金や管理費などの維持費が必要です。

それらの維持費は、おおむね家賃の支払いより安くなりますが、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する場合は、どれくらいの維持費が掛かるか心配になります。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、賃貸住宅にお住まいになりつつ中古住宅を購入し、引っ越したいと希望する方へ向けて、中古住宅を所有することにより必要となる維持費の目安をご紹介しましょう。

目次

1. 固定資産税と都市計画税

中古住宅を購入するなどして不動産を所有すると、固定資産税が課せられます。

固定資産税とは、市町村から毎年課せられる地方税のことで、この税金が中古住宅を所有することにより発生する維持費のひとつです。

また、市街地に中古住宅を購入した場合は、固定資産税に加え都市計画税も課せられ、都市計画税も毎年納めなければなりません。

以下に固定資産税と都市計画税を算出する方法をご紹介しましょう。

固定資産税額を算出する式

固定資産税額は以下の式で算出します。

固定資産税額を算出する式
・中古住宅の建物部分の固定資産税評価額×税率=A
・中古住宅の土地部分の固定資産税評価額×税率=B
・A+B=固定資産税額

上記の式に含まれる「固定資産税評価額」とは、中古住宅の販売価格ではなく、固定資産税を算出するための不動産の評価額であり、中古住宅の建物部分や土地部分の販売価格の5割~7割程度になるのが通例です。

購入を希望する中古住宅の固定資産税評価額は、その中古住宅を取り扱う不動産業者に問い合わせることにより確認できます。

また、税率は購入を希望する中古住宅が所在する市町村により異なりますが、おおむね1.4%です。

都市計画税

都市計画税額は以下の式で算出します。

都市計画税額を算出する式
・中古住宅の建物部分の固定資産税評価額×税率=A
・中古住宅の土地部分の固定資産税評価額×税率=B
・A+B=都市計画税額

税率は購入を希望する中古住宅が所在する市町村により異なりますが、おおむね0.3%です。

2. 火災保険料と地震保険料

中古住宅に欠かせない維持費のひとつが火災保険料です。

火災保険料は、加入する保険会社、中古住宅の築年数や床面積、補償内容や契約期間などにより異なりますが、1年契約の場合は毎年3~4万円程度、10年契約で保険料を一括で支払う場合は20~30万円程度となっています。

また、地震で火災が起きたときや、地震により隣家が火事になり、その火が自宅に飛び火した場合は、火災保険に加入しているだけでは保険金は支払われません。

そのため、地震が頻発する地域や、住宅が密集する地域に中古住宅を購入する際は、火災保険に加え地震保険にも加入しておくのが理想です。

地震保険料は中古住宅が所在する都道府県や、中古住宅の耐震性能や耐火性能などにより異なりますが、有事の際に支払われる保険金1,000万円あたりにつき、毎年1万円~4万円程度となっています。

ただし、地震保険の保険金は、中古住宅の再調達価格(住宅をもう一度建てるために必要となる費用)の2分の1しか支払われないため注意してください。

地震保険の保険金が半分しか支払われない理由は、地震により地域一帯が火災になった場合、保険会社などが保険金を支払いきれないことが理由です。

なお、火災保険への加入は、現金で中古住宅を購入する場合は任意で、住宅ローンで中古住宅を購入する場合は義務となっています。

中古住宅の維持費その2.火災保険料と地震保険料

3. 中古マンションを購入する場合は「管理費」と「修繕積立金」

中古マンションを所有すると、管理費と修繕積立金を支払う必要があり、この2つが主な維持費です。

管理費とは、マンションを管理するために住民により結成された「管理組合」に支払う費用のことで、管理組合の運営費、エントランスや廊下などの共有部分を維持するために必要となる電気代、管理人を派遣する管理会社などに支払う管理料などに充てられ、購入する中古マンションにより異なりますが、おおむね毎月1万円~2万円程度となっています。

修繕積立金とは、10年に一度程度実施される、マンションの外壁を塗り直すなどの大規模な補修工事の費用を賄うための積立金のことで、購入する中古マンションの築年数や傷み具合により異なりますが、おおむね毎月5千円~1万円程度です。

なお、管理組合によっては修繕積立金を設けず、大規模な補修工事を行う度に、50万円~100万円程度を一括して徴収する場合もあるため留意してください。

4. 一戸建てを購入する場合は、定期的な修繕費用

一戸建ては、マンションのように管理費や修繕積立金などは不要ですが、10年に1度程度、屋根や外壁を塗装し直す必要があり、その費用が維持費のひとつとなります。

屋根や外壁の塗装に要する費用は、依頼するリフォーム店や、使用する塗料のグレードなどにより異なりますが、おおむね1㎡あたり6千円~8千円程度です。

なお、一戸建ての屋根の面積は、傾斜の角度などにより異なりますが、床面積が25坪で50㎡程度となっています。

また、一戸建ての外壁の面積は、階数などにより異なりますが、床面積が25坪で120㎡程度です。

まとめ - 維持費は、築年数などに応じて変化する

賃貸住宅にお住まいになりつつ中古住宅の購入を検討する方へ向けて、中古住宅を所有することにより必要となる維持費をご紹介しました。

マンションを所有すると、固定資産税や都市計画税、火災保険料や地震保険料、管理費や修繕積立金などの維持費が掛かります。

また、一戸建てを所有すると、固定資産税や都市計画税、火災保険料や地震保険料、定期的な修繕費用などの維持費が必要です。

これらの維持費は、おおむね家賃を支払うより安くなりますが、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する場合は、思いのほか負担になることがあります。

そのため、住宅ローンを利用しつつ中古住宅を購入する場合は、可能な限り多くの頭金を準備し、借入金額と毎月の返済額を抑えた、余裕がある返済計画を立てるように心掛けてください。

なお、固定資産税や都市計画税は一戸建てよりマンションの方が高くなる傾向があり、修繕積立金や修繕費用は築年数が新しいほど安くなる傾向があります。

中古住宅の維持費の傾向

固定資産税と都市計画税 一戸建てよりマンションの方が高い
鉄筋鉄骨造より木造のほうが安い
立地条件が良いほど高い
築年数が古いほど安い
火災保険料 床面積が広いほど高い
地震保険料 地震が多い地域ほど高い
中古マンションの修繕積立金 築年数が新しいほど安い
一戸建ての修繕費用

ご紹介した内容が、中古住宅の購入を検討する皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2019年9月

こちらの記事もオススメです