中古住宅の住宅ローン控除。個人間売買で適用できる?

中古住宅の住宅ローン控除。個人間売買で適用できる?

個人間売買で中古住宅を購入すると、住宅ローン控除は適用されるでしょうか。

答えは「非常に難しい」または「できない」となります。

個人間売買で中古住宅を購入し、住宅ローン減税を利用できるかお調べの方へ向けて、国税庁のタックスアンサーを引用しつつ適用が難しい理由をご説明しましょう。

なお、この記事で記述する「中古住宅の個人間売買」の定義は、不動産業者を仲介させず、親族や知人などから直接中古住宅を購入する、いわゆる個人売買のため留意してください。

目次

1. 個人間売買では、そもそも住宅ローンの利用が難しい

まずは、国税庁のタックスアンサー「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」の「2 住宅借入金等特別控除の適用要件」の(5)を確認しましょう。

同項目には、中古住宅の購入に住宅ローン控除が適用される条件が記述されています。

中古住宅の購入で住宅ローン控除が適用される条件

国税庁のタックスアンサー「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」の「2 住宅借入金等特別控除の適用要件」の(5)の要点は以下のとおりです。

中古住宅の購入に住宅ローン控除が適用される条件
・金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社などから返済期間が10年以上の借り入れ金があること。
・親族や知人からの借入金には、住宅ローン控除は適用されない

これにより、中古住宅の購入に対する住宅ローン控除は、銀行などの金融機関、フラット35を商品化する独立行政法人住宅金融支援機構、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社などから借り入れた、住宅を購入するための資金の返済に対して適用され、親族や知り合いからの借り入れには適用されないことがわかります。

住宅ローン控除の適用条件

つぎに、ネット銀行である楽天銀行の公式サイト内に設けられたページ「変動金利(固定特約付き) - 新規借り入れ - 必要書類一覧」から、住宅ローンの利用を申し込む際の必要書類を確認しましょう。

金融機関に住宅ローンを申し込む際の必要書類

楽天銀行の公式サイト内のページ「変動金利(固定特約付き) - 新規借り入れ - 必要書類一覧」には、住宅ローンを申し込む際の必要書類が複数記載されていますが、そのひとつに「重要事項説明書のコピー」があります。

重要事項説明書とは、不動産業者が直接販売する、または仲介する中古住宅を購入する際に受ける重要事項説明(不動産の詳細に関する重要な説明)を書面にまとめたもので、重要事項説明は宅地建物取引士しか実施できません。

住宅ローンを利用する際は重要事項説明書のコピーの提出を求められる

宅地建物取引士は、主に不動産を売買、または仲介する不動産業者として活動しています。

同様に、他の金融機関の住宅ローンを申し込む際や、独立行政法人住宅金融支援機構、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社から資金を借り入れる際も重要事項説明書のコピーの提出を求められます。

つまり、住宅ローンは、不動産業者が直接販売、または仲介する中古住宅を購入する際に利用することが可能であり、不動産業者を関わらせず個人間売買する場合は、残念ながら利用できないというわけです。

住宅ローンが利用できなければ、住宅ローン控除も適用されません。

よって、中古住宅を個人間売買で購入する場合は、住宅ローン控除を適用させるのは難しいのが現状です。

個人間売買に住宅ローン控除の適用が難しい理由

2. 個人間売買で住宅ローン控除を適用させるには…

中古住宅を個人間売買で購入する場合は、住宅ローン自体が利用できず、住宅ローン控除の適用も難しいのが現状です。

しかし、絶対に適用されないというわけではありません。

中古住宅を個人間売買で購入し、住宅ローン控除を適用させたい場合は、以下の方法を試みてください。

金融機関に相談する

住宅ローン控除は、金融機関などが実施する住宅ローンを利用した場合に適用されます。

そして、金融機関などに住宅ローンの利用を申し込む際は、重要事項説明書のコピーの提出を求められますが、個人間売買では重要事項説明書自体を用意できません。

しかし、場合によっては、重要事項説明書のコピーがなくとも資金を貸し出す金融機関があるかもしれません。

たとえば、通常の住宅ローンは連帯保証人が不要ですが、連帯保証人を用意すれば、重要事項説明書がなくとも資金を貸し出す金融機関が存在する可能性があります。

そのため、個人間売買で住宅ローン控除を適用させたい場合は、その旨を伝えつつ、金融機関に住宅ローンに関する相談をするのが良いでしょう。

複数の金融機関に相談すれば、一定の条件を提示され、その条件を満たせば個人間売買でも資金を貸し出す銀行があるかもしれません。

勤務先に相談する

住宅ローン控除は、金融機関などから借り入れた資金の返済に対して適用されますが、勤務先から借り入れた資金の返済にも適用されます。

そのため、勤務先に住宅の購入資金を貸し出す仕組みがある場合は、個人間売買で中古住宅を購入する旨を伝えつつ、借り入れに関する相談をするのが良いでしょう。

勤務先から資金を借り入れし、耐震性に優れた中古住宅などを個人間売買で購入すれば、住宅ローン控除が適用されます。

知人の宅地建物取引士に相談する

住宅ローン控除は、金融機関などで住宅ローンを利用した場合に適用され、住宅ローンを申し込む際は、重要事項説明書のコピーの提出を求められます。

重要事項説明書は宅地建物取引士しか手配できませんが、多くの宅地建物取引士は不動産業者として活動しています。

よって、不動産業者が関わらない個人間売買では、住宅ローン控除の適用は難しいのが現状ですが、全ての宅地建物取引士が不動産業者として活動しているわけではありません。

たとえば、知人に宅地建物取引士の有資格者がいらっしゃる場合は、重要事項説明書の作成に関する相談をすれば、良いアドバイスを与えてくれるかもしれません。

中古住宅を個人間売買で購入しつつ住宅ローン控除を適用したいと希望し、宅地建物取引士の知人がいらっしゃる場合は、試しに相談するのが良いでしょう。

まとめ - 個人間売買には、住宅ローン控除より心配すべきことがある

個人間売買で中古住宅を購入し、住宅ローン控除を適用させたいと希望する方へ向けて、条件が難しい理由などをわかりやすくご説明しました。

住宅ローン控除は、住宅ローンの利用者に対して適用されますが、個人間売買では住宅ローン自体が利用できず、住宅ローン控除の適用も難しいのが現状です。

そのため、住宅ローン控除の適用を希望する場合は、個人間売買せず、不動産業者が販売、または仲介する中古住宅を購入するのが理想です。

しかし、個人間売買では住宅ローン控除が絶対に適用されないというわけではありません。

金融機関や勤務先などに個人間売買で中古住宅を購入する旨を伝えつつ相談すれば、場合によっては住宅購入資金が貸し出され、住宅ローン控除も適用される可能性があることを留意してください。

なお、不動産業者を関わらせず中古住宅を個人間売買すれば、仲介手数料を節約しつつ諸費用を安くできますが、売買契約があいまいになり、物件の引き渡し後に問題が発生する虞があります。

そのため、中古住宅の個人間売買は、親族間など、信頼できる間柄に限り実施することが大切です。

誰でもわかる不動産売買では、中古住宅の個人間売買に関するリスクをわかりやすく解説するコンテンツも公開しています。

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ご紹介した内容が、中古住宅の購入を希望する皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2020年9月
記事公開日:2019年9月

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