中古住宅のリフォーム。間取りは変更はできる?(間仕切り撤去)

中古住宅のリフォーム。間取りは変更はできる?

中古住宅を購入と同時に間取りを変更するリフォームを実施すれば、小さな部屋をまとめつつ広い部屋を作るなどして、自分だけの住まいにアレンジできます。

しかし、中古住宅の間仕切りは、撤去できる壁とできない壁があるため注意が必要です。

中古マンションや一戸建ての中古住宅を購入し、間取りを変更するリフォームを希望する方へ向けて、撤去できる間仕切りとできない間仕切りの違いをご紹介しましょう。

目次

1. 中古マンションは、おおむね全ての間仕切りを撤去できる

中古マンションは主に鉄筋鉄骨コンクリート造ですが、大きく「ラーメン構造」と「壁式構造」に分類されます。

そして、ラーメン構造の中古マンションは、ほぼ全ての間仕切りを撤去しつつ自由に間取りを変更することが可能です。

反対に、壁式構造の中古マンションの間仕切りは、撤去できる壁とできない壁があり、間取りを変更するリフォームは難しいといえます。

ただし、大抵の中古マンションはラーメン構造であり、壁式構造の中古マンションは、あまり数が多くありません。

ラーメン構造と壁式構造の違いをご説明しましょう。

ラーメン構造

ラーメン構造とは、柱や梁を用いて建物を支える工法を表し、主に5階建て以上の中古マンションに採用されています。

ラーメン構造の中古マンション

ラーメン構造の中古マンションは、柱や梁などでマンションを支えているため、間仕切りはただの飾りです。

よって、ラーメン構造の中古マンションであれば間仕切りを撤去することが可能で、自由に間取りを変更できます。

ただし、ラーメン構造であっても、稀に撤去できない間仕切りがあるため留意してください。

購入を希望する中古マンションがラーメン構造であるか否かは、室内の四隅にある太い柱や、壁の上部にある梁の出っ張りの有無で確認できます。

ラーメン構造ならではの柱や梁の出っ張りがある中古マンションの室内

ラーメン構造ならではの柱や梁の出っ張りがある中古マンションの室内

壁式構造

壁式構造とは、壁を用いて建物を支える工法を表し、主に5階建て以下などの中古マンションに採用されています。

壁式構造の中古マンション

壁式構造の中古マンションは梁や柱ではなく、各部屋の間仕切りなどを用いてマンションを支えています。

よって、壁式構造の中古マンションを購入した場合は、間仕切りを撤去するなどの自由なリフォームは難しいといえます。

購入を希望する中古マンションが壁式構造であるか否かは、室内の四隅や壁の上部を見れば確認できます。

室内の四隅や壁の上部に、ラーメン構造のような柱や梁の出っ張りがない場合は壁式構造です。

柱や梁による出っ張りがない壁式構造の中古マンションの室内

柱や梁による出っ張りがない壁式構造の中古マンションの室内

2. 一戸建ては、撤去できる間仕切りとできない間仕切りがある

一戸建ての中古住宅は概ね木造ですが、木造の一戸建ての間仕切りは、撤去が難しい間仕切りと、容易に撤去できる間仕切りがあります。

その違いをご説明しましょう。

撤去が難しい間仕切り

木造の一戸建ての間仕切りは、地震などによる建物の倒壊を防ぐために設置された「耐力壁」と、部屋を区切るためだけに設けられた「非耐力壁」に分類されます。

たとえば、壁内に筋交い(柱と柱の間に入った斜めの建材)がある間仕切りなどは、主に耐力壁です。

筋交いなどが入っている耐力壁

筋交いなどが入っている耐力壁

耐力壁として設置された間仕切りを撤去すると耐震性が損なわれるため、簡単には撤去できません。

場合によっては撤去できることもありますが、その場合は、他の非耐力壁を耐力壁に変更するなど、構造計算を要する大掛かりなリフォームが必要です。

撤去できる間仕切り

壁内に筋交いなどが入っていない非耐力壁であれば、比較的自由に撤去できます。

筋交いなどがない非耐力壁

筋交いなどがない非耐力壁

なお、既に仕上がっている壁は、石膏ボード(石膏で作られた室内用の壁材)などが打ち付けられているため壁内が見えません。

そのため、撤去を希望する壁が非耐力壁であるか否かは外観からは判断できず、設計図を確認するなど、建築士による調査を要するため注意してください。

まとめ - 一戸建ての中古住宅は、耐震診断を利用するのが望ましい

中古住宅を購入し、間取りを変更するリフォームを希望する方へ向けて、撤去できる間仕切りとできない間仕切りの違いをご紹介しました。

中古マンションは「ラーメン構造」と「壁式構造」に分類され、ラーメン構造であれば間仕切りを撤去しつつ自由に間取りを変更できます。

購入を希望する中古マンションがラーメン構造であるか否かは、室内の四隅の柱や、壁の上部にある梁の出っ張りの有無を見れば確認できます。

そして、一戸建ての木造中古住宅の間仕切りは「耐力壁」と「非耐力壁」に分類され、耐力壁を撤去すると耐震性が損なわれます。

よって、非耐力壁であれば撤去することが可能です。

撤去を希望する間仕切りが非耐力壁であるか否かは外観からは判断できず、建築士などの専門家による調査を要するため注意してください。

なお、大抵の地方公共団体は、昭和56年5月31日以前に建築された木造の一戸建てに実施する耐震診断に補助金を支給します。

耐震診断では専門家による調査が実施され、耐震性がないと診断された場合は、どのような耐震補強工事を実施すべきか立案してくれます。

そのため、昭和56年5月31日以前に建築された木造の一戸建てを購入し、耐震性が損なわれる可能性がある間取りを変更するリフォームを希望する場合は、自治体による耐震診断を利用するのがお勧めです。

そうすれば、費用を抑えつつ、間仕切りの撤去を要するリフォームへのアドバイスを受けることができます。

また、大抵の地方公共団体では、耐震診断後に実施する耐震補強工事への補助金も支給します。

耐震診断や耐震補強工事への補助金の額は地方公共団体により異なりますが、耐震診断への補助金は数万円程度、耐震補強工事への補助金は数十万円程度です。

耐震診断や耐震補強工事への補助金の詳細は、購入を希望する中古住宅が所在する地域を管轄する都道府県の役場やホームページでご確認ください。

記事公開日:2019年10月

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