その中古住宅はなぜ安い?憂慮すべき5つの理由を解説

中古住宅が安い理由は?その物件が安値である5つの理由

アットホームなどで中古住宅を探すと、相場より大幅に安い物件を見かけることがあります。

しかし「不動産には掘り出し物はない」といわれ、傷みが激しくそのままでは住めない、法的な理由によって建て替えできない、欠陥があっても文句を言えないなど、安い中古住宅には相応の理由があります。

中古住宅が安い理由をお調べの方へ向けて、憂慮すべき9つのことをご紹介しましょう。

目次

1. 築年数が古く水回りの傷みが激しい

中古住宅が安い理由として最も多いのが、築年数が古く傷みが激しく、大規模なリフォームを施さなければ居住できないという理由です。

安い中古住宅の多くは、キッチンやトイレ、浴室などの水回りが汚い、床下が腐朽しつつ床がフカフカする、雨漏りがあるなど値段相応の傷みがあります。

それらの傷みを解消するためのリフォームは高くなりがちであり、格安で売りに出されている物件であれば、物件価格と同程度のリフォームが必要になることも珍しくありません。

中古住宅が安い理由にとして最も挙げられるのが、築年数が古く傷みが激しいこと

なお、傷みが激しい中古住宅は、DIYでリフォームをするという手があります。

DIYでリフォームをする際は、人足を集めるのが理想です。

DIYでのリフォームは人足が多いほど早く完了し、1人でリフォームをすると2年や3年経っても完了せず、途中で疲れてしまいます。

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2. 再建築(建て替え)できない

安い中古住宅の中には、なにかしらの理由によって建て替えができない物件があります。

建て替えができない理由は様々ですが、格安の中古住宅によくあるのが、市街化調整区域に位置することによる再建築の不可です。

市街化調整区域とは、都市計画法という法律によって開発が抑制される区域であり、原則として新築や建て替えなどの開発はできません。

都道府県は都市計画法に則り、都道府県内を「市街化区域」と「市街化調整区域」に線引き(区分け)しています。

市街化区域とは既に市街地である区域、または今後10年以内に市街化が図られる区域であり、新築や建て替えなどの開発が可能です。

一方、市街化調整区域は、その地域に貢献する人が居住する住宅や、一定の条件を満たす建物しか新築や建て替えができません。

アットホームなどの不動産検索サイトでいつまでも売れない格安の中古住宅を見かけますが、それは市街化調整区域に位置することにより建て替えできないことが理由の可能性があります。

中古住宅が安い理由として多いのが、市街化調整区域によって建て替えできない

なお、市街化調整区域の中古住宅は、原則として建て替えはできませんが、小規模なリフォームは可能です。

よって、市街化調整区域に位置する格安の中古住宅は、「古くなったら建て替えではなくコツコツとリフォームをする」と割り切りつつ購入すれば、良い買い物になる可能性があります。

ちなみに、当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、市街化調整区域の意味と同区域で建て替えできる条件をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。

市街化調整区域に位置する安い中古住宅の購入を検討する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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3. 安い中古マンションは、修繕積立一時金が高い

安い中古マンションは、大規模修繕の際に50万円から100万円程度の修繕積立一時金を徴収されることを理由に安い可能性があります。

大規模修繕とは、10年に1度などに行う外壁を塗り替えるなどの大規模な修繕工事であり、数千万円などの費用がかかります。

そして、その費用は、各戸の所有者が負担することとなります。

よって、多くのマンションの管理組合は、「修繕積立金」という名目で各戸の所有者から月々1万から2万円程度を徴収しつつ積み立て、大規模修繕に備えます。

しかし、一部のマンションは修繕積立金では大規模修繕の費用を賄えず、工事を実施する際に「修繕積立一時金」などの名目で50万円から100万円程度を追加徴収します。

相場より安い中古マンションは、その修繕積立一時金が徴収されることを理由に安い可能性があるため注意してください。

安い中古マンションは、修繕積立一時金を請求されることを理由に安い可能性がある

なお、中古マンションには修繕積立金がない物件があり、その物件はやはり相場より安く売りに出されていますが、大規模修繕の際に修繕積立一時金を徴収されることが予想されます。

購入を希望する中古マンションが修繕積立一時金を徴収するか否かは、その物件の管理組合に問い合わせることにより確認することが可能です。

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4. 安い中古マンションは、床面積が狭く部屋数が少ない

築年数が古く安い中古マンションは、床面積が狭く部屋数が少ないことを理由に安い可能性があります。

最近のマンションの床面積は70㎡から80㎡程度、間取りは3LDKや4LDKですが、昭和50年ごろに建てられたマンションの床面積は45㎡から50㎡程度、主に2LDKです。

床面積が狭く部屋数が少ないマンションは使い勝手が悪いとみられる傾向があり、相場より安く売りに出されます。

安い中古住宅は床面積が狭く部屋数が少ないことを理由に安い可能性がある

また、駐車場や駐輪場がない、あるとしても駐車できる数が少なく空きがないことを理由に安く売りに出されている中古マンションもあります。

駐車場や駐輪場がない中古マンションは不便であり、特に駐輪場の有無は住み心地に大きな影響を与えます。

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5. 借地権で地代を支払う必要がある

立地条件が良く築年数が浅いものの相場より安い一戸建ての中古住宅は、借地権(しゃくちけん)によって建てられ、定期的に地代を支払う必要があることを理由に安い可能性があります。

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を使用する権利です。

たとえば、土地を貸したいと希望する地主のAさんがいらっしゃったとしましょう。

Aさんは、定期的に地代が支払われるのであれば、借り主は建物を建てつつ居住するなどして土地を使用して構わないという条件を提示しています。

そこに住宅を建てる土地を探すBさんが現れ、Aさんと借地契約(土地を借りる契約)を結びつつ土地を借りました。

この状況においてBさんは、建物を所有するために借りた土地を使用する権利を手に入れたこととなります。

Bさんが手に入れたその権利が借地権であり、借地権を得たBさんは、建物を建てつつAさんの土地を使用することが可能です。

借地権の中古住宅は相場より安い

借地権によって建てられた中古住宅を購入する際は建物だけを購入し、土地は定期的に地代を支払いつつ借りることとなります。

よって、借地権によって建てられた一戸建てが中古住宅として売りに出される際は、相場より安い値段で売りに出されます。

立地条件が良く築年数が浅いものの相場より安い中古住宅があれば、借地権によって建てられた物件ではないかご確認ください。

ちなみに、借地権の地代の相場は、一昔前は1年あたりにつきその土地の固定資産税の3倍から5倍程度といわれましたが、最近はもう少し高くなっています。

また、借地権によって建てられた中古住宅を購入しつつ増改築や建て替えを行う際は、地主に「増改築承諾料」という名目の金銭を支払うのが通例です。

増改築承諾料の相場は、その土地が更地である状態の実勢価格の3%から5%程度といわれます。

借地権の詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開中のコンテンツにてわかりやすく解説中です。

借地権によって建てられた中古住宅の購入を検討する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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借地権とは?わかりやすく解説

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6. 欠陥があっても文句を言えない

築年数が古く相場より安い物件は、欠陥があっても売り主に修繕を請求できない「契約不適合責任免責」であることを理由に安い可能性があります。

そもそも中古住宅の売り主は、民法の定めによって「契約不適合責任」を負います。

中古住宅の売り主が負う契約不適合責任とは、売買契約を結びつつ引き渡した物件の品質が、契約の内容にそぐわない場合に果たすべき責任です。

また、中古住宅の買い主は、同じく民法の定めによって「追完請求権」という権利を有します。

中古住宅の買い主が有する追完請求権とは、売買契約を結びつつ引き渡しを受けた物件の品質が、契約の内容にそぐわない場合に売り主に修繕などを請求できる権利です。

売買契約を結びつつ引き渡された中古住宅に、売買契約の内容にそぐわない欠陥があれば、買い主は追完請求権を行使しつつ売り主に修繕などを請求できます。

追完請求権を行使しつつ買い主が修繕を請求すれば、売り主は契約不適合責任を果たしつつ応じなければなりません。

たとえば、売買契約を結びつつ売買された中古住宅に雨漏りがあったとしましょう。

雨漏りがあることが売買契約書に記されていなければ、買い主は追完請求権を行使しつつ修繕を請求でき、売り主は契約不適合責任を果たしつつ修繕をしなければなりません。

安い中古住宅は、契約不適合責任免責であることを理由に安い可能性がある

その中古住宅の売り主が負う契約不適合責任ですが、実は任意の規定であり、売買契約書に以下のように記述すれば、売り主は契約不適合責任を免れることができます。

本物件の売り主は、契約不適合責任を負わない

上記のような記述が売買契約書に記され、売り主が契約不適合責任を負わないことを「契約不適合責任免責(けいやくふてきごうせきにんめんせき)」などと呼びます。

そして、築年数が古く相場より大幅に安い中古住宅は、契約不適合責任免責により安い可能性があるため注意してください。

契約不適合責任免責の中古住宅を購入すると、雨漏りなどの欠陥があったとしても売り主に修繕を請求できません。

購入を希望する中古住宅の売り主が契約不適合責任を負うか否かは、その物件を取り扱う不動産業者に問い合わせることにより確認できます。

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7. 売り主が売り急ぐ

築浅で綺麗であるにもかかわらず安い中古住宅は、なにかしらの事情があることにより売り主が売り急ぎ、それを理由に安い可能性があります。

例を挙げると、住宅ローンの返済を滞らせ、早急に売却したいなどです。

不動産は安いほど問い合わせが多く早く売れるため、売り主が売り急ぐ中古住宅は相場より安く売りに出されます。

中古住宅は安いほど早く売れる

また、安い中古住宅は、その物件を取り扱う不動産業者の方針で安く売りに出されている場合もあります。

不動産業者を仲介させつつ中古住宅を売却する際は、不動産業者から売り出し価格を提案されますが、安く売りに出すことをモットーとする業者は安値を提示することが多く、その結果、築浅であっても安く売りに出されることがあります。

なお、安いにもかかわらず長く売れ残る中古住宅は、なにかしらの瑕疵(欠陥)がある可能性があるため注意してください。

たとえば、忌まわしい事件や事故があったなどの心理的瑕疵がある、騒音や悪臭などの環境的瑕疵があることを理由に安いのかもしれません。

売り出し中の中古住宅に瑕疵があるか否かは、心理的瑕疵であればその物件を取り扱う不動産業者に問い合わせる、環境的瑕疵であれば物件周辺を入念に見学することにより確認できます。

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8. 公営水道が引き込めない

田舎暮らし向けの中古住宅を探すと、200万円や300万円など相場より大幅に安い格安物件を見かけることがありますが、それは公営水道が引き込めないことを理由に安い可能性があります。

公営水道とは、市町村などが運営する水道局から供給される上水道であり、一定の品質以上の水が供給され、前面道路に埋設された水道管が破損や老朽化すれば、市町村が修繕費用を負担します。

その公営水道ですが、都会では常識でありつつも田舎では常識ではありません。

地域によっては井戸水を飲料水とする場合や、別荘地では私営水道(個人や事業者が供給する水道)のみが引き込まれ、公営水道は引き込めないことがあります。

井戸水は枯れることがあり、私営水道は前面道路に埋設された水道管が破損や老朽化すれば、受益者(その水道を使用する者)が費用を負担しつつ修繕をしなければなりません。

田舎暮らし向けの格安中古住宅を見つけた場合は、その物件を取り扱う不動産業者に問い合わせ、公営水道が引き込めるかご確認ください。

なお、150万円や200万円など格安で売りに出されている中古リゾートマンションを見かけることがありますが、それは管理費が高額なことを理由に安い可能性があります。

具体的な管理費の額は物件によって異なりますが、月々3万円や4万円などになることも珍しくありません。

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9. 農地で正式な所有者になれない

田舎暮らし向けの中古住宅を探すと、「敷地面積1000坪・300万円」などと格安の物件を見かけることがありますが、それは農地であることを理由に安いのかもしれません。

農地である中古住宅を購入すると、正式な所有者にはなれない可能性があるため注意が必要です。

田舎の中古住宅が安い理由は、農地であり正式な所有者になれない可能性があるため

土地には、地目があります。

土地の地目とは、その土地が登記された時点における主な用途であり、宅地や雑種地、山林、原野、田、畑など、23種類に区分されます。

注釈
土地の登記とは、その土地の所在地や面積、地目、所有者、権利を有する者などに関する情報を、法務省の地方支部局「法務局」に設置されている「登記簿」という帳簿に記す行為を指します

宅地とは建物を建てる土地であり、田とは水を用いて穀物や野菜などを育てる土地、畑とは水を用いず野菜などを育てる土地です。

主な地目の意味

地目名 用途
宅地 建物を建てる土地
山林 木や竹を育てる土地
原野 低木や雑草を育てる土地
水を用いて穀物や野菜などを育てる土地
水を用いず野菜などを育てる土地
雑種地 いずれの地目にも該当しない土地

そして、地目が田や畑の土地を農地と呼び、農地は農業に従事する個人や法人のみが所有者になることが可能です。

農業に従事する個人や法人以外が農地の所有者になるためには、原則として農業委員会の許可を得て、地目を農地以外に変更しつつ所有者にならなければなりません。

しかし、農地は日本の農業生産を支えるべき土地ですから、そう簡単には許可が下りません。

よって、農業に従事する個人や法人以外が農地を購入する際は、仮登記という方法を用いて購入し、仮の所有者となるのが通例です。

その状況において行う仮登記とは、農業委員会からの許可が下り次第、正式な所有者になることを登記簿に記す行為を指します。

農業従事者以外が農地の正式な所有者になる流れ
  • 1. 売り主に物件代金を支払いつつ仮登記を行い、農地の「仮の所有者」となる
  • 2. 農業委員会に農地を取得することの許可を求める
  • 3. 許可が下りれば許可証が発行される(許可は簡単には下りない)
  • 4. 許可証を以て本登記を行い、地目が農地以外に変更されると共にその土地の正式な所有者となる

つまり、仮登記で購入した農地は、一部例外を除き購入した時点では正式な所有者になれず、なおかつ将来的にも正式な所有者になれない可能性があるというわけです。

正式な所有者になれない不動産を購入すると、思いもよらぬトラブルになることがあるため注意してください。

仮登記の詳細は、当サイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開中のコンテンツにてわかりやすく解説中です。

田舎暮らし向けの中古住宅を探しつつ格安の物件を見つけ、その物件が農地である場合は、ぜひご覧ください。

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仮登記とは?不動産売買における仮登記をわかりやすく解説

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まとめ - 安い中古住宅は値引きが期待できる

中古住宅が安い理由をご紹介しました。

中古住宅が安い理由は様々ですが、傷みが激しく高額なリフォームを実施しなければ居住できない、建て替えできない、借地権である、欠陥があっても売り主に修繕を請求できないなどの理由が挙げられます。

中古住宅を探しつつ安い物件に目が留まり、その理由を案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、本記事のタイトルは「中古住宅が安い理由は?その物件が安値である5つの理由」ですが、その後更新をすることにより「9つの理由」となったためご了承ください。

また、中古住宅は交渉次第で値引きが可能であり、安い中古住宅は相応の理由があるため大幅な値引きが期待できます。

当サイト「誰でもわかる不動産売買」では、中古住宅を値引きする方法を解説するコンテンツも公開中です。

中古住宅の購入を希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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ご紹介した内容が、中古住宅をお探しになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2023年10月
記事公開日:2020年11月

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