不動産投資の資金を貸す各銀行の特徴(都銀,地銀,信金,信組)

不動産投資の資金を貸す各銀行の特徴

不動産投資は、多くの方が銀行から資金を借り入れつつ始めますが、都市銀行は審査が厳しいものの金利が低く、地方銀行や信用金庫は審査が穏やかなものの金利が高いなど、それぞれの金融機関には特徴があります。

銀行からのローンを利用しつつ不動産投資を始めたいと希望する方へ向けて、各金融機関の融資の傾向と特徴、審査の際に確認される事項などをご紹介しましょう。

目次

1. 金利が低いのは都市銀行、借りやすいのはノンバンク

ローンを利用しつつ不動産投資を始めたいと希望する場合、資金の借り入れは都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンクのいずれかから借り入れるのが通例です。

そして、各金融機関は、不動産投資のための資金を貸し出す方針が異なり、一般には以下のような傾向があるとされます。

都市銀行
都市銀行とは、主に都市部で展開する銀行であり、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行の計4行を指します。

都市銀行が不動産投資のための資金を貸し出す際は、金利は1%から1.5%などと低めでありつつも、審査の基準が高く、借入できる額も年収の10倍から15倍程度と低いのが特徴です。
地方銀行
地方銀行とは、主に地方で展開する銀行であり、横浜銀行や千葉銀行、北陸銀行、北海道銀行、熊本銀行、十八親和銀行など、全国に計62行が存在します。

地方銀行が不動産投資のための資金を貸し出す際は、金利は1.5%から3.5%などと高めでありつつも、審査の基準が比較的穏やかであり、借入限度額も年収の15倍から20倍程度と都市銀行より高いのが特徴です。
信用金庫、信用組合
信用金庫や信用組合とは、日本全国各地の特定された地域で展開する非営利法人であり、関東地方では城南信用金庫や茨城県信用組合などが、近畿地方では京都中央信用金庫や近畿産業信用組合などが有名です。

信用金庫と信用組合も地方銀行と同じく、金利が1.5%から3.5%などとやや高めでありつつも審査にとおりやすく、借入限度額は年収の15倍から20倍程度と高いのが特徴ですが、原則として、その地域に居を構える方しか融資を希望できません。
ノンバンク
ノンバンクとは、銀行のように預金することはできないものの、資金を借り入れることができる金融機関を意味します。

不動産投資のための資金を貸し出すのは、新生インベストメント&ファイナンス、三井住友トラスト・ローン&ファイナンス、セゾンファンデックスなどのノンバンクが有名です。

ノンバンクは特に審査にとおりやすく、年収の20倍から30倍程度の融資を希望できるものの、金利が3.5%から4.5%、時にはそれ以上など、他の金融機関より大幅に高くなるのが特徴です。

以上が、不動産投資のための資金を貸し出す金融機関の種類と傾向です。

各金融機関の特徴を表でまとめると以下のようになります。

不動産投資のための資金を融資する金融機関の傾向

上記のように、都市銀行は審査にとおりにくいものの金利が低く、借入限度額が低いのが特徴です。

よって、手持ちの資金が1,000万円などと潤沢であり、給与水準が高い企業で長く働くのであれば、都市銀行に融資を希望するのが理想です。

都市銀行が不動産投資用の資金を貸し出す際は、借り主の手持ちの資金の額や、借り主の収入状況などの属性を重視します。

反対に、手持ちの資金が500万円などであり、勤続年数が短い場合などは、地方銀行や信用金庫、信用組合にターゲットを絞り、融資に関する相談をするのが良いでしょう。

可能であれば、地銀や信金、信組と相談をする前に口座を作り、まとまった資金を預けつつ定期預金を行うなどして信用をつけておけば印象が良くなり、相談がしやすくなります。

ノンバンクは、審査にとおりやすく借入限度額も特に大きいのが特徴ですが、あまりに金利が高いため、地方銀行や信用金庫、信用組合で資金を借り入れ、その額では足りない場合に借り入れるのが鉄則です。

なお、不動産投資のためのローンは、大きくアパートローンとプロパーローンに分類されます。

アパートローンとは商品化された不動産投資用のローンであり、プロパーローンとは事業者向けのカスタマイズ可能なローンです。

不動産投資のためのローンにはアパートローンとプロパーローンがある

アパートローンは商品化されたローンだけに、はじめて不動産投資を行う方も借り入れしやすい傾向があります。

よって、はじめて不動産投資に挑戦する場合は、アパートローンを取り扱う金融機関に融資を相談するのが良いでしょう。

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2. 審査では借り主の属税、物件の状態などがチェックされる

資金を借り入れつつ不動産投資を始める状況において、審査が難しいのが都市銀行であり、地方銀行、信用組合と信用金庫、ノンバンクの順でとおりやすくなります。

ここで気になるのが、審査を申し込んだ場合、銀行がどのようなことをチェックするのかという点です。

銀行は様々な観点から資金を貸し出すか審査しますが、重視するのは以下の5点です。

なお、審査は何度も受けるのが基本であり、審査を受ける際は、何事も経験、恥はかき捨てという気持ちで臨んでください。

資金の融資希望者の属性

審査では、融資希望者の属性がチェックされます。

具体的には、住居が持ち家であるか否か、持ち家であればどの程度の価値があるか、勤務先と勤続年数、過去数年の年収、既婚であり共働きであれば夫、または妻の収入状況、預貯金の額、他の借入金の有無などが確認されます。

融資希望者の属税は、融資を実行するか否かの総合的な判断にかかわります。

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資金の融資希望者の年齢と返済期間

審査では、融資希望者の年齢と、希望する返済期間が確認され、年齢が若いほど返済期間を長く設定できるのが通例です。

そして、融資は、返済期間が長いほど月々の返済額が小さくなり、金利が低くなる傾向があります。

よって、返済期間を長く設定できれば、購入した投資用不動産に空室が目立つようになった場合も、手放さずに済む可能性があります。

ローンは返済期間を長く設定しつつ月々の返済額を抑え、経済状況が許せば繰り上げ返済をするのが理想です。

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購入を希望する投資用物件の利回りと事業性

審査では、融資希望者が購入を希望する投資用不動産の利回り、事業性、購入希望者の事業に対する姿勢が確認されます。

投資用不動産の利回りとは、その物件の儲かり具合を表した率であり、「投資用不動産を所有することにより得る1年間の家賃収入÷投資用不動産の購入価格×100」などと計算しつつパーセントで表し、3%から10%などが相場であり、数値が大きいほど収益性が高いことを意味します。

そして、利回りが高い投資用不動産の購入を希望し、事業性があると判断されるほど審査にとおりやすくなります。

そのため、銀行に融資の相談を行う際は、購入できる範囲で利回りが高い物件を選び、事業計画書などを作成しつつ手渡し、事業性があることや、本気で不動産投資に取り組む姿勢があることをアピールするのが良いでしょう。

銀行に融資の相談を行う際は、プレゼンテーションを行う気持ちで臨んでください。

不動産投資の融資を受けるために銀行と相談をする際は、プレゼンテーションを行うつもりで挑む

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購入を希望する投資用物件の築年数

審査では、融資希望者が購入する投資用不動産の築年数と、希望する返済期間のバランスが確認されます。

具体的には、主に法定耐用年数に達するまでの年数と、希望する返済期間がチェックされます。

法定耐用年数とは減価償却できる期間であり、新築の鉄骨鉄筋コンクリート造の建物であれば47年、新築の木造であれば22年です。

減価償却とは、その投資用不動産の購入代金を毎年少しずつ必要経費として計上する会計処理です。

法定耐用年数に達するまでの期間は、返済期間の設定に影響を及ぼし、法定耐用年数に達するまでの期間が長いほど、融資期間を長く設定できるのが通例です。

よって、築浅の投資用不動産の購入を希望する場合は融資期間を長く、築古の投資用不動産の購入を希望する場合は短く設定するのが基本となり、その反対の借り入れ年数を希望すれば、審査にとおりにくくなります。

不動産投資で資金を借り入れしやすい条件

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資金の融資希望者の身だしなみ

審査では、融資希望者の身だしなみがチェックされます。

たとえば、カジュアルな装いよりもスーツの方が、挨拶をしないよりも挨拶をする方が、不潔よりも清潔な方が印象が良くなり、いくぶんか審査にとおりやすくなります。

たとえ今回の審査に落ちたとしても、その銀行とは別の案件の取引を行う可能性があるため、身だしなみとマナーはいつも整えておくのが理想です。

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まとめ - 日本政策金融公庫という手もある

銀行から資金を借り入れつつ不動産投資を始めたいと希望する方へ向けて、金融機関の不動産投資に対して行う融資の傾向や、審査の際に重視する点などをご紹介しました。

金融機関は、大きく都市銀行、地方銀行、信用金庫と信用組合、ノンバンクに分類され、それぞれ不動産投資に対する資金の貸し出し方に特徴があり、傾向と方針が異なります。

最も審査が難しくありつつも金利が低いのが都市銀行であり、審査が比較的穏やかでありつつも金利がやや高いのが地方銀行や信用金庫、信用組合、審査が穏やかでありつつも金利が高いのがノンバンクです。

よって、手持ちの資金が1,000万円などと潤沢であり、一定の額を超える安定した収入がある、勤続年数が長いなどの条件を満たす場合は都市銀行に審査を申し込み、借り入れできなければ地方銀行、信用金庫、信用組合の順で審査を受けるのが理想です。

ノンバンクは金利が高いため、都市銀行や地方銀行で借り入れできなかった分を借り入れるなど、補完としてご利用になるのが良いでしょう。

また、銀行が資金を貸し出すか否か審査する際は、融資希望者の属性、年齢、希望する返済期間と購入する物件の築年数、利回りなどがチェックされます。

総じて、手持ちの資金が多く借り入れ希望額が少なく、利回りが高く築年数が新しい物件の購入を希望するほど審査にとおりやすくなります。

ローンを希望しつつ不動産投資を始めたいと希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、銀行から資金を借り入れできない場合は、日本政策金融公庫を利用するという方法があります。

日本政策金融公庫とは、事業を始めたいと希望する方や、既に事業を行いつつ事業規模を拡大したいと希望する方などへ向けて、事業資金を貸し出す公的機関です。

日本政策金融公庫は、個人が投資として行う不動産投資の資金の貸し出しは行っていませんが、事業として行う不動産投資には資金を貸し出すことがあります。

日本政策金融公庫は、借り入れできる金額が少なく、返済期間が10年から15年程度などと短いというデメリットがありますが、事業として行う不動産投資、つまり不動産経営を希望する場合は、日本政策金融公庫からの資金の借り入れも視野に入れるのが良いでしょう。

日本政策金融公庫は、金利が特に低いというメリットがあります。

ご紹介した内容が、融資を希望しつつ不動産投資を始めたいと希望する方に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2022年3月
記事公開日:2018年7月

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