不動産取得税がかからない中古住宅とは?

不動産取得税がかからない中古住宅

築25年程度で2,000万円の一戸建て中古住宅などを購入すれば、不動産取得税がかからない可能性があります。

中古住宅に適用される不動産取得税の軽減措置をわかりやすく解説し、不動産取得税がかからない中古住宅の例をご紹介しましょう。

目次

1. 軽減措置により課税されない、または税額が安くなる

一戸建ての中古住宅を購入すると建物と土地を取得したこととなり、その両方に不動産取得税が課せられます。

また、中古マンションを購入すると一戸部分とその中古マンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地を取得したこととなり、その両方に不動産取得税が課せられることとなります。

中古住宅の不動産取得税は建物と土地の両方に課せられる

しかし、それぞれの不動産取得税には軽減措置が設けられ、適用されることにより課税されない、または税額が大幅に安くなります。

冒頭で築25年程度で2,000万円の一戸建て中古住宅などを購入すれば不動産取得税がかからない可能性があるとご紹介しましたが、それは軽減措置が設けられていることが理由です。

ただし、軽減措置を適用するためには、一定の条件を満たさなければなりません。

ここから、建物部分と土地部分の不動産取得税に軽減措置が適用される条件をご紹介しましょう。

なお、この記事の「2. 不動産取得税がかからない一戸建て中古住宅の例」では、軽減措置が適用された場合における、販売価格が2,000万円である築25年の一戸建て中古住宅の不動産取得税をシミュレーションしています。

手っ取り早く不動産取得税がかからない中古物件の例を確認されたい方がいらっしゃいましたら、そちらをご覧ください。

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2-1. 建物の軽減措置

建物部分の軽減措置が適用される条件は、以下のとおりです。

中古住宅の建物部分に不動産取得税の軽減措置が適用される条件

  • 自らが居住するための中古住宅を購入した
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下の中古住宅を購入した
  • 昭和57年1月1日以降に新築された築39年以内などの中古住宅を購入した(耐震補強工事が実施されるなどして一定の耐震性を満たす場合は昭和56年12月31日以前に新築された物件でも構わない)

上記の条件を満たせば軽減措置が適用され、建物部分の不動産取得税がかからない、または大幅に安くなります。

どれくらい安くなるかは、建物部分の固定資産税評価額と新築された日によって異なります。

建物部分の固定資産税評価額とは、建物部分の固定資産税を計算するために市区町村が評価した建物部分の価格です。

建物部分の固定資産税評価額とは?

建物部分の固定資産税評価額は再建築価格(その建物を新築する際に必要となる材料費と人件費の合計)から築年数が経過することにより目減りした価値を差し引きつつ算定しますが、建物部分の売買価格の7割から4割程度になるのが通例となっています。

例を挙げると、その中古住宅の建物部分の売買価格が1,000万円の場合は、その7割から4割である700万円から400万円が固定資産税評価額になるといった具合です。

7割から4割というと開きがありますが、築年数が古いほど割合が低くなります。

そして、軽減措置が適用される条件を満たせば、以下の式で計算しつつ建物部分の不動産取得税が決定されます。

軽減措置適用後の不動産取得税の計算式
(建物部分の固定資産税評価額-軽減措置適用分)×不動産取得税の税率=不動産取得税

式に含まれる税率は令和6年3月31日まで3%であり、軽減措置適用分はその中古住宅が新築された日によって異なり以下のとおりです。

軽減措置適用分

新築された年 築年数 軽減措置適用分
平成9年4月1日以降 築24年以内など 1,200万円
平成元年4月1日から平成9年3月31日 築32年から築24年など 1,000万円
昭和60年7月1日から平成元年3月31日 築36年から築32年など 450万円
昭和56年7月1日から昭和60年6月30日 築40年から築36年など 420万円
昭和51年1月1日から昭和56年6月30日 築44年から築39年など 350万円
昭和48年1月1日から昭和50年12月31日 築47年から築45年など 230万円
昭和39年1月1日から昭和47年12月31日 築56年から築48年など 150万円
昭和29年1月1日から昭和38年12月31日 築66年から築57年など 100万円

昭和56年12月31日以前に新築された中古住宅は耐震補強工事を行うなどにより一定の耐震性を満たす場合に限り軽減措置が適用される

たとえば、平成9年4月1日以降に新築された築24年以内などの中古住宅は軽減措置適用分が1,200万円ですが、それに該当する場合は以下のように不動産取得税を計算します。

計算例
(建物部分の固定資産税評価額-軽減措置適用分:1,200万円)×3%=不動産取得税

また、平成元年4月1日から平成9年3月31日に新築された築32年から築24年の中古住宅であれば軽減措置適用分は1,000万円ですが、それに該当する場合は以下のように不動産取得税を計算します。

計算例
(建物部分の固定資産税評価額-軽減措置適用分:1,000万円)×3%=不動産取得税

このように軽減措置適用分は、その中古住宅が新築された日によって異なります。

つまり、建物部分の不動産取得税は、軽減措置適用分が建物部分の固定資産税評価額を上回ればかからないというわけです。

中古住宅の建物部分の不動産取得税がかからない状況

例を挙げると、建物部分の固定資産税評価額が1,000万円であり、軽減措置適用分が1,200万円の中古住宅は以下のように計算し、不動産取得税はかかりません。

計算例
(固定資産税評価額:1,000万円-軽減措置適用分:1,200万円)×税率×3%=0円(不動産取得税)

また、軽減措置適用分が建物部分の固定資産税評価額を下回る場合であっても不動産取得税は大幅に安くなります。

たとえば、固定資産税評価額が1,200万円の建物の不動産取得税は本来であれば36万円ですが、軽減措置適用分が1,000万円であれば以下のように計算しつつ税額は6万円です。

計算例
(固定資産税評価額:1,200万円-軽減措置適用分:1,000万円)×3%=6万円(不動産取得税)

このように軽減措置が適用されれば、中古住宅の建物部分の不動産取得税はかからない、または税額が大幅に安くなります。

ちなみに、軽減措置が適用されない場合における建物部分の不動産取得税の計算式は以下のとおりです。

軽減措置が適用される条件を満たさない場合における不動産取得税の計算式
建物部分の固定資産税評価額×税率(令和6年3月31日まで3%)=不動産取得税

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2-2. 土地の軽減措置

土地部分の軽減措置が適用される条件は、建物部分の軽減措置が適用される条件と同じであり、一部例外を除き建物部分の軽減措置が適用されれば土地部分の軽減措置も適用されます。

土地部分の軽減措置が適用されれば、土地部分の不動産取得税そのものから以下の2つのうちの多い方の額が差し引かれます。

  • 45,000円
  • (その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%

上記の2つめに「その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額」が含まれていますが、中古住宅の土地部分の固定資産税評価額は、おおむね土地部分の売買価格の70%程度になるのが通例です。

たとえば、土地部分の売買価格が1,000万円である敷地面積が100㎡の中古住宅があったとしましょう。

その中古住宅の土地部分の固定資産税評価額は売買価格の70%程度である700万円などであり、1㎡あたりの固定資産税評価額は7万円といった具合です。

これは、土地の売買価格は最寄りの標準地の公示地価、または基準地の基準地価を参考に値付けされ、固定資産税評価額は公示地価、または基準地価の70%程度に設定されることが理由です。

公示地価とは国土交通省が毎年3月ごろに公表する日本全国各地に点在する約2万6千ヵ所の土地の1㎡あたりの適正価格であり、公示地価が公表される地点を標準地と呼びます。

基準地価とは各都道府県が毎年9月ごろに公表する日本全国各地に点在する約3万ヵ所の土地の1㎡あたりの適正価格であり、基準地価が公表される地点を基準地と呼び、基準地価と公示地価の評価基準は同じです。

わかりやすく図解でご説明すると以下のようになります。

公示地価と基準地価とは?

また、土地が売買される際は、地価公示法という法律の第一条の二により最寄りの標準地の公示地価を参考にしつつ同程度に値付けされるのが望ましいとされます。

よって、中古住宅の土地部分の固定資産税評価額は、土地部分の売買価格の70%程度と考えることが可能です。

中古住宅の土地部分の固定資産税評価額は販売価格の70%程度

そして、中古住宅の土地部分の不動産取得税は以下の式で計算します。

中古住宅の土地部分の不動産取得税の計算式
土地部分の固定資産税評価額×不動産取得税の税率(令和6年3月31日まで3%)=不動産取得税

上記の式で中古住宅の土地部分の不動産取得税は計算し、軽減措置が適用されれば、その税額から先にご紹介した2つのうちの多い方の額が減額されることとなります。

たとえば、土地部分の不動産取得税が20万円であり、「(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%」が20万円を超える場合は課税されません。

軽減措置が適用され、建物部分と土地部分の両方に不動産取得税がかからなければ、その中古住宅は不動産取得税がかからないこととなります。

土地部分の不動産取得税が「(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%」を上回る場合であっても税額は安くなります。

なお、建物部分と土地部分の不動産取得税の計算方法や軽減措置が適用される条件の詳細は「東京都主税局|居住用の中古住宅を取得したときに不動産取得税の軽減制度はありますか」や「大阪府|不動産取得税が軽減される場合」などにて確認することが可能です。

不動産取得税がかからない中古住宅の条件をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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2. 不動産取得税がかからない一戸建て中古住宅の例

軽減措置が適用されれば、その中古住宅は不動産取得税がかからない、もしくは安くなります。

ここから、軽減措置が適用された場合における、平成8年に新築された築25年、販売価格が2,000万円の一戸建て中古住宅の不動産取得税をシミュレーションしてみましょう。

物件の詳細は以下のように設定します。

  • 販売価格:2,000万円
  • 新築日:平成8年
  • 築年数:約25年
  • 敷地面積:66㎡(約20坪)
  • 床面積:110㎡(約33坪)

中古住宅に不動産取得税の軽減措置が適用された場合における減税額は、その物件が新築された日、敷地面積、床面積によって大きく変動します。

よって、物件の詳細をぜひ留意してください。

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2-1. 建物部分と土地部分の価格を区分けする

まずは、中古住宅の建物部分と土地部分の価格を区分けします。

建物は築年数が経過することにより劣化しつつ価値が下がりますが、土地は劣化することがないため価値が下がりません。

よって、中古住宅は築年数が古い物件ほど売買価格に占める建物部分の価格が小さくなります。

そのため、築25年の中古住宅は、販売価格である2,000万円のうちの900万円が建物部分、残りの1,100万円が土地部分の販売価格と仮定しつつ区分けしましょう。

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2-2. 建物部分の不動産取得税を計算する

つぎに、建物部分の不動産取得税を計算します。

建物部分の不動産取得税は、建物部分の固定資産税評価額から軽減措置適用分を差し引きつつ計算します。

建物部分の固定資産税評価額は売買価格の70%から40%程度などであり、築年数が古くなるほど割合が低くなるため、建物部分の販売価格である900万円の50%の450万円が固定資産税評価額と考えましょう。

そして、新築日が平成8年の中古住宅の軽減措置適用分は1,000万円です。

よって、以下のように「450万円-1,000万円×3%=0円」と計算し、建物部分の不動産取得税はかかりません。

計算例
450万円(建物部分の固定資産税評価額)-1,000万円(平成8年に新築された中古住宅の軽減措置適用分)×3%(不動産取得税の税率)=0円

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2-3. 土地部分の不動産取得税を計算する

最後に、土地部分の不動産取得税を計算し、その税額から45,000円、または「(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%」の多い方の額を差し引きます。

土地部分の不動産取得税は「その土地の固定資産税評価額×不動産取得税の税率」と計算し、具体的な計算式は以下のとおりです。

土地部分の不動産取得税の計算式
その土地の固定資産税評価額×不動産取得税の税率(令和6年3月31日まで3%)=不動産取得税

式に含まれる「その土地の固定資産税評価額」は、土地部分の売買価格の70%程度です。

そのため、以下のように計算しつつ土地部分の不動産取得税は23万1,000円となります。

・1,100万円(土地部分の売買価格)×70%=770万円(土地部分の固定資産税評価額)
・770万円(土地部分の固定資産税評価額)×3%(不動産取得税の税率)=23万1,000円

この23万1,000円から45,000円、または「(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%」の多い方の額を差し引くこととなりますが、「(その土地の1㎡あたりの固定資産税評価額÷2)×200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍×3%」は以下のように計算し35万4円です。

・770万円(土地部分の固定資産税評価額)÷66㎡(土地部分の面積)÷2=58,334円
・58,334円×200㎡(200㎡を上限とする建物部分の床面積の2倍)×3%=350,004円

よって、23万1,000円から35万4円を差し引いた額が土地部分の不動産取得税となり、建物部分と同じく土地部分の不動産取得税もかかりません。

ご紹介した平成8年に新築された築25年、販売価格が2,000万円の一戸建て中古住宅は不動産取得税が非課税です。

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まとめ - 軽減措置適用には申告が必要

不動産取得税がかからない中古住宅をご紹介しました。

中古住宅の不動産取得税は、昭和57年1月1日以降に新築された築39年以内の物件を購入するなどすれば、一戸建て、中古マンションを問わず軽減措置が適用されます。

そして、その中古住宅が新築された日、床面積、敷地面積などによって減税額が異なるため断言できませんが、平成8年に新築された販売価格が2,000万円、敷地面積が66㎡、床面積が110㎡などの一戸建てであれば不動産取得税はかからない可能性があります。

中古住宅の購入を検討しつつ不動産取得税がかからない中古住宅の条件をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、ご紹介した軽減措置は、ただ単に中古住宅を購入しただけでは適用されません。

軽減措置を適用するためには、中古住宅を購入後30日以内などに、その物件が所在する地域を管轄する税事務所に申告をする必要があります。

申告方法は税事務所によって異なりますが、申告書に必要事項を記入しつつ提出するのが通例です。

申告方法の詳細は、各都道府県のホームページ内に設けられている検索窓に「不動産取得税 軽減」などと入力しつつ検索することにより調べることが可能であり、東京都の申告方法は「東京都主税局|不動産を取得したときの申告について」にて、大阪府の申告方法は「大阪府|府税あらかると 不動産取得税関係」にてご確認いただけます。

ご紹介した内容が、不動産取得税がかからない中古住宅の条件をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年4月

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