元利均等返済と元金均等返済をわかりやすく解説

元利均等返済や元金均等返済とは、住宅ローンなどの返済方法の一種です。
そして、住宅ローンを利用する際は、元利均等返済方式と元金均等返済方式から返済する方法を選択しなければなりません。
しかし、住宅ローンを初めて利用する方は、この2つの返済方法の違いが難しく、どちらを選ぶべきか悩みます。
そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、初めて住宅ローンを利用する方へ向けて、図と表を用いつつ、元利均等返済と元金均等返済の意味や違いをわかりやすく解説しましょう。
目次
- 1. 元利均等返済と元金均等返済の意味
- 1-1. 元利均等返済とは?
- 1-2. 元金均等返済とは?
- 2. 元利均等返済と元金均等返済の違いとメリット、デメリット
- 3. といつつも、元利方式と元金方式の総支払額は、ほぼ同じ!?
- 4. どちらを選ぶかは人によるものの、元利均等返済の利用者が多い
1. 元利均等返済と元金均等返済の意味
それでは、元利均等返済と元金均等返済の意味をわかりやすくご紹介しましょう。
その前に、住宅ローンでお金を借りると、毎月借りたお金を返済すると共に、毎月利息も支払う必要があることを理解してください。
利息とは、お金を借りた対価として貸し主に支払う金銭であり、利子とも呼ばれます。

なお、元利均等返済の読み方は「がんりきんとうへんさい」であり、元金均等返済の読み方は「がんきんきんとうへんさい」となっています。
また、元利均等返済は「元利均等返済方式」、元金均等返済は「元金均等返済方式」と呼ばれることもあるため留意してください。
1-1. 元利均等返済とは?
元利均等返済という言葉の冒頭にある「元利(がんり)」とは、元金(借りたお金)と利息(利子)という意味です。
元金とは借りたお金そのものを意味し、利息とはお金を借りた対価として支払う金銭です。

そして、元利均等返済とは、元金(借りたお金)の返済額と利息の支払額の合計が同じになるように調整された、完済まで毎月の支払額が変わらない返済方法を表します。
元利均等返済は優先的に利息を支払い、次第に元金の返済額が増える仕組みです。

ただし、元利均等返済であっても、景気が良くなり金利が急激に上昇すると月々の返済額が見直され、毎月の支払額が上がる可能性があるため注意してください。
とはいうものの、昨今の日本経済は停滞気味であり、コロナウイルスの影響も相まって金利が上昇するリスクは限りなく低く、支払額が上がる可能性を心配する必要はないといえるでしょう。
また、景気が良くなり金利が上昇し、毎月の返済額が見直されたとしても、上昇率は125%が上限となっています。
たとえば、支払額が見直される前の支払い額が毎月10万円の場合は、最大12万5千円まで上昇するといった具合です。
さらに、金利が上昇したとしても、実際の支払額が上がるのは5年に一度限りです。
これは、短期間に支払額が急激に上昇すると、住宅ローンの借り主の返済が追いつかないことが理由であり、これらの仕組みを1.25倍ルールや125%ルール、5年ルールなどと呼びます。
2-2. 元金均等返済とは?
元金均等返済という言葉の冒頭にある「元金(がんきん)」とは、お金を借りた場合における、利息を含まない返済すべき借りたお金という意味です。
そして、元金均等返済とは、毎月一定の元金を返済し続ける、元金の返済を優先する返済方法を表します。
元金均等返済は毎月必ず一定の元金を返済するため、元金の返済に伴い残金に掛かる利息も減り、毎月の支払額が徐々に減るのが特徴です。

なお、元金均等返済には、1.25倍ルールや125%ルール、5年ルールは適用されません。
2. 元利均等返済と元金均等返済の違いとメリット、デメリット
ここからは、元利均等返済と元金均等返済の違いと、それぞれのメリットやデメリットをわかりやすく解説しましょう。
- 元利均等返済のメリットとデメリット
- 元利均等返済は、金利が急激に上昇するなどしない限り、毎月の支払額が変わらず返済計画が立てやすいのがメリットです。
また、元利均等返済は毎月の支払額が変わらないため、同額を同期間で借りると、元金均等返済より返済開始当初の支払額が少なく済むというメリットもあります。
ただし、元利均等返済は、金利を優先的に支払うため残金が減りにくく、同額を同期間で返済すると、元金均等返済より総支払額が多くなるというデメリットがあるため注意してください。 - 元金均等返済のメリットとデメリット
- 元金均等返済は、元金を優先的に返済するため、返済と共に元金に掛かる利息が減り、その結果、毎月の支払い額が徐々に減ります。
そのため、同額を同期間で返済すると、元金均等返済は元利均等返済より総支払額が少なくなるのがメリットです。
しかし、元金均等返済は、同額を同期間で返済すると、元利均等返済より返済開始直後の支払額が多くなり、返済当初は支払いが大変になるというデメリットがあります。
3. といつつも、元利方式と元金方式の総支払額は、ほぼ同じ!?
元利均等返済は、金利が急激に上昇しない限り毎月の支払額が同じであり、元金均等返済は毎月の支払額が徐々に減るとご紹介しました。
そして、同額を同期間で返済すると、元金均等返済の方が元利均等返済より総支払額が少なくなるとご紹介しましたが、実は、その差はあまり大きくありません。
借入金額3,000万円、金利1.3%、返済期間30年の住宅ローンの総支払額を例にすると、元利均等返済は36,245,142円、元金均等返済は35,866,094円で、その差はわずか約38万円です。
以下に借入金額3,000万円、金利1.3%、返済期間30年の住宅ローンにおける、元利均等返済と元金均等返済の1回目、12回目、120回目、240回目、360回目の支払い額をご紹介しましょう。
なお、ご紹介する支払い額は概算であり、住宅ローンの利用条件によって変動するため目安としてお考えください。
また、Googleで「元利均等返済 シミュレーション」などのキーワードで検索をすると、月々の返済額や総支払額をシミュレーションできるサイトが見付かります。
元利均等返済と元金均等返済の選択にお悩みの方がいらっしゃいましたら、そちらもご活用ください。
元利均等返済の総支払額(概算)
支払額 | 元金分 | 利息分 | ローン残高 | |
---|---|---|---|---|
1回目 (初回) |
100,681円 | 68,182円 | 32,499円 | 29,931,818円 |
12回目 (1年後) |
100,681円 | 68,998円 | 31,683円 | 29,176,930円 |
120回目 (10年後) |
100,681円 | 77,558円 | 23,123円 | 21,267,635円 |
240回目 (20年後) |
100,681円 | 88,319円 | 12,362円 | 11,323,665円 |
360回目 (30年後) |
100,681円 | 100,555円 | 108円 | 0円 |
総支払額 | 36,245,142円 | 30,000,000円 | 6,245,142円 |
元金均等返済の総支払額(概算)
支払額 | 元金分 | 利息分 | ローン残高 | |
---|---|---|---|---|
1回目 (初回) |
115,832円 | 83,333円 | 32,499円 | 29,916,667円 |
12回目 (1年後) |
114,839円 | 83,333円 | 31,506円 | 29,000,004円 |
120回目 (10年後) |
105,089円 | 83,333円 | 21,756円 | 20,000,040円 |
240回目 (20年後) |
94,256円 | 83,333円 | 10,923円 | 10,000,080円 |
360回目 (30年後) |
83,543円 | 83,333円 | 90円 | 0円 |
総支払額 | 35,866,094円 | 30,000,000円 | 5,866,094円 |
4. どちらを選ぶかは人によるものの、元利均等返済の利用者が多い
これから住宅ローンを利用する方へ向けて、住宅ローンの返済方法である元利均等返済と元金均等返済の違いなどについて、わかりやすく解説しました。
元利均等返済は利息を優先的に支払い、景気が急激に良くなるなどして金利が上昇しない限り、完済まで毎月の支払額が変わりません。
ただし、元利均等返済は、元金均等返済より総支払額が多くなります。
これに対して、元金均等返済は、元金を優先的に返済し、返済当初は支払額が多いものの徐々に減り、元利均等返済より総支払額が少なくなるのが特徴です
とはいうものの、最近は金利が低く上昇する可能性も限りなく低いため、元利均等返済と元金均等返済の総支払額は、あまり差がないのが実情です。
よって、住宅ローンを組むにあたり、元利均等返済と元金均等返済の選択に悩む場合は、毎月の収入に余裕がある場合は元金均等返済を、豊かな生活を楽しみたい場合は元利均等返済が選ぶのが良いでしょう。
ちなみに、住宅ローンを利用する多くの方は元利均等返済をお選びになります。
ご紹介した内容が、元利均等返済と元金均等返済をお調べになる皆様のお役に立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2020年8月
記事公開日:2018年7月
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