貸宅地を評価する方法(簡単・簡潔・わかりやすい)

貸宅地を評価する方法

貸宅地を評価する方法は、国税庁のホームページなどで公開されていますが、とても複雑です。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、貸宅地を評価する方法をお調べになる方へ向けて、評価方法をわかりやすく簡単にご説明しましょう。

なお、ご紹介する内容は、一般的な借地権が設定された貸宅地を評価する方法であり、借地契約期間が決められた定期借地権が設定された貸宅地には該当しないためご注意ください。

目次

1. 市街地の貸宅地の評価方法

まずは、市街地に位置する貸宅地を評価する方法をご紹介しましょう。

郊外に位置する貸宅地を評価する方法は、この記事の「2. 郊外の貸宅地の評価方法」にてご紹介中です。

郊外の貸宅地の評価方法をお調べになる方は、どうぞそちらをご覧ください。

市街地の貸宅地は、以下の流れで評価します。

市街地の貸宅地を評価する流れ

  • 路線価から貸宅地の価格を把握する
  • 貸宅地の借地権割合を知る
  • 貸宅地の価格から借地権割合を差し引く

路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために国税庁が公表する宅地の1㎡あたりの価格

以上が、市街地に位置する貸宅地を評価する流れです。

それでは、流れをひとつずつわかりやすく簡単にご説明しましょう。

なお、貸宅地の評価額をお調べになる際は、可能であればスマートフォンではなくパソコンでお調べください。

ディスプレイが小さなスマートフォンでは、評価額を調べるのが大変です。

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1-1. 路線価から貸宅地の価格を把握する

はじめに、路線価から貸宅地の価格を把握しましょう。

路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために国税庁が公表する、日本全国各地の宅地の1㎡あたりの価格です。

路線価は、国税庁のサイト「路線価図・評価倍率表」にて公開中の地図である「路線価図」で確認できます。

路線価図・評価倍率表」をご覧いただくと、以下の日本地図が描かれたページが表示されます。

国税庁の路線価図・評価倍率表

国税庁 路線価図・評価倍率表

上記の日本地図の中から、評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する都道府県をクリックすると、以下のような「財産評価基準書目次」と記されたページが表示されます。

財産評価基準書目次

上記のページの中ほどにある「路線価図」というリンクをクリックすれば、以下のような市区町村名が並んだページが表示されます。

財産評価基準書・路線価図

上記のページに並ぶ市区町村名から、評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する市区町村をクリックすれば、以下のような地名と路線価図へのリンクが張られたページが表示されます。

路線価図・町丁名索引

上記のページに表示されている各地名の右にある「50055」「55056」などと書かれた箇所が、その地域の路線価が記された路線価図へのリンクです。

ご注意ください!
上記のページに評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する市区町村が含まれていない場合は、この記事の「2. 郊外の貸宅地の評価方法」にてご紹介する方法により、その貸宅地の評価額をお調べいただけます。

そして、評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する地域の路線価図へのリンクをクリックすれば、以下のような路線価図が表示されます。

貸宅地を評価する際に欠かせない路線価が記されたページ

上記の路線価図から評価額を知りたい貸宅地をお探しになり、その貸宅地に接する道路に記されている、以下の「230D」「245D」「225D」などの数字とアルファベットにご注目ください。

路線価図に記されている路線価

上記のような「230D」などの数字とアルファベットから、アルファベットを除いた数字がその貸宅地の路線価(千円単位)です。

たとえば、その貸宅地に接する道路に「230D」と記されている場合は「230×1,000円=23万円」と計算し、その貸宅地の1㎡あたりの価格は23万円となります。

また、路線価図に「245D」と記されている場合は「245×1,000円=24万5千円」と計算し、その貸宅地の1㎡あたりの価格は24万5千円です。

そして、貸宅地の路線価にその貸宅地の面積(㎡)を掛け算すれば、その貸宅地の全体の価格が判明します。

例を挙げると、その貸宅地の路線価が23万円であり、敷地面積が100㎡の場合は「23万円×100=2,300万円」と計算し、その貸宅地の全体の価格は2,300万円です。

その貸宅地の路線価が24万5千円であり、敷地面積が150㎡の場合は「24万5千円×150=3,675万円」と計算し、その貸宅地の全体の価格は3,675万円となります。

これで、貸宅地の価格が把握できました。

なお、その貸宅地が角地などに位置し、2本以上の道路に接しつつ複数の路線価が表示されている場合は、最も数字が大きい路線価をお選びいただくことにより、おおむねの価格を把握することが可能です。

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1-2. 貸宅地の借地権割合を知る

貸宅地の価格が判明すれば、その貸宅地の借地権割合を確認します。

借地権割合とは、借地権を相続したり、贈与を受けた際に課せられる相続税や贈与税を計算する際に必要となる、その貸宅地の借り主(借地権者)が有する権利の割合です。( 借地権割合の意味は、理解できなくても問題ありません

まずは、この記事の「1-1. 路線価から貸宅地の価格を把握する」にてご紹介した、評価額をお調べになりたい貸宅地が掲載されている路線価図の上部に記されている以下のような表をご覧ください。

借地権割合の表

つぎに、この記事の「1-1. 路線価から貸宅地の価格を把握する」でお調べになられた、所有する貸宅地の路線価とアルファベットのアルファベット部分を上記の表に照らし合わせてください。

そうすれば、所有する貸宅地の借地権割合を把握できます。

たとえば、アルファベット部分がAであり、表のAの箇所が90%の場合は、その貸宅地の借地権割合は90%です。

また、アルファベット部分がBであり、表のBの箇所が80%の場合は、その貸宅地の借地権割合は80%となります。

貸宅地の借地権割合を知る方法

なお、路線価図に記されている路線価にアルファベットが含まれていない場合は、その貸宅地の借地権割合は20%です。

これで、貸宅地の借地権割合が把握できました。

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1-3. 貸宅地の価格から借地権割合を差し引く

最後に、この記事の「1-1. 路線価から貸宅地の価格を把握する」で判明した貸宅地の価格と、この記事の「1-2. 貸宅地の借地権割合を知る」で判明した貸宅地の借地権割合を以下の式に当てはめつつ計算します。

貸宅地の価格 - 貸宅地の価格 × 貸宅地の借地権割合

上記の式の答えが、その貸宅地の評価額です。

たとえば、貸宅地の価格が1,000万円であり、貸宅地の借地権割合が80%の場合は以下のように計算し、その貸宅地の評価額は200万円となります。

評価額の計算例
1,000万円(貸宅地の価格)- 1,000万円(貸宅地の価格)× 80%(貸宅地の借地権割合)= 200万円(貸宅地の評価額)

また、貸宅地の価格が2,000万円であり、貸宅地の借地権割合が70%の場合は以下のように計算し、その貸宅地の評価額は600万円となります。

評価額の計算例
2,000万円(貸宅地の価格)- 2,000万円(貸宅地の価格)× 70%(貸宅地の借地権割合)= 600万円(貸宅地の評価額)

以上で市街地に位置する貸宅地の評価額の計算が完了しました。

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2. 郊外の貸宅地の評価方法

ここからは、郊外に位置する貸宅地を評価する方法をご紹介しましょう。

郊外の貸宅地は、以下の流れで評価します。

郊外の貸宅地を評価する流れ

  • 貸宅地の固定資産税評価額を把握する
  • 固定資産税評価額に倍率を掛け算する
  • 貸宅地の借地権割合を知る
  • 貸宅地の価格から借地権割合を差し引く

以上が、郊外の貸宅地を評価する流れです。

それでは、流れをひとつずつわかりやすく簡単にご説明しましょう。

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2-1. 貸宅地の固定資産税評価額を把握する

はじめに、評価額をお調べになりたい貸宅地の固定資産税評価額を把握します。

固定資産税評価額とは、不動産の固定資産税を算出する基となる、その不動産の価額(価値から鑑みた価格)です。

その貸宅地の固定資産税評価額は、毎年4月から6月ごろにかけて市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

また、その貸宅地が所在する地域を管轄する市区町村役場で固定資産課税台帳の写し(固定資産課税台帳登録事項証明書)を発行することでも把握できます。

2-2. 固定資産税評価額に倍率を掛け算する

つぎに、貸宅地の固定資産税評価額に倍率を掛け算し、その貸宅地の価格を計算します。

固定資産税評価額に掛け算する倍率は、国税庁のサイト「路線価図・評価倍率表」にて確認することが可能です。

路線価図・評価倍率表」をクリックすると以下の日本地図が描かれたページが表示されます。

国税庁の路線価図・評価倍率表

国税庁 路線価図・評価倍率表

上記のページに描かれている日本地図から、評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する都道府県をクリックすれば、以下のような「財産評価基準書目次」と記されたページが表示されます。

財産評価基準書目次

上記のページの中ほどにある「評価倍率表」という表に含まれる一般の土地等用」という項目をクリックすれば、以下のような市区町村の一覧が表示されます。

財産評価基準書・評価倍率表

上記の市区町村の一覧から、評価額をお知りになりたい貸宅地が所在する市区町村名をクリックすれば、以下のような「倍率表」が表示されます。

郊外の貸宅地を評価する際に欠かせない倍率表が表示されたウェブページ

倍率表から、評価額をお調べになりたい貸宅地が所在する市区町村をお探しになり、その右に記されている「固定資産税評価額に乗ずる倍率等の宅地部分」をご覧ください。

以下の箇所などが「固定資産税評価額に乗ずる倍率等の宅地部分」であり、おおむね1.1倍、または1.2倍です。

倍率表の宅地の倍率

ご注意ください!
上記の「固定資産税評価額に乗ずる倍率等の宅地部分」に「路線」と記されている場合は、この記事の「1. 市街地の貸宅地の評価方法」にてご紹介する方法により評価額を計算してください。

そして、評価額をお調べになりたい貸宅地の固定資産税評価額に、「固定資産税評価額に乗ずる倍率等の宅地部分」に記されている、1.1または1.2などの数字を掛け算してください。

たとえば、評価額をお調べになりたい貸宅地の固定資産税評価額が1,000万円であり、「固定資産税評価額に乗ずる倍率等の宅地部分」が1.1倍の場合は「1,000万円×1.1=1,100万円」と計算し、答えは1,100万円となります。

この答えが、評価額をお調べになりたい貸宅地の価格です。

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2-3. 貸宅地の借地権割合を知る

つづいて、評価額をお調べになりたい貸宅地の借地権割合を把握します。

借地権割合とは、借地権を相続したり、贈与を受けた際に課せられる相続税や贈与税を計算する際に必要となる、その貸宅地の借り主(借地権者)が有する権利の割合です。(借地権割合の意味は、理解できなくても問題ありません

その貸宅地の借地権割合は、この記事の「2-2. 固定資産税評価額に倍率を掛け算する」にてご覧いただいた倍率表の以下の箇所で確認できます。

郊外の貸宅地の借地権割合が表示された箇所

上記の箇所が借地権割合であり、借地権割合は%で表されます。

たとえば、借地権割合の箇所に50と記されている場合は、その貸宅地の借地権割合は50%です。

なお、借地権割合の箇所に「-」と記されている場合は、その貸宅地の借地権割合は20%となります。

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2-4. 貸宅地の価格から借地権割合を差し引く

最後に、この記事の「2-2. 固定資産税評価額に倍率を掛け算する」で判明した貸宅地の価格と、この記事の「2-3. 貸宅地の借地権割合を知る」で判明した貸宅地の借地権割合を以下の式に当てはめつつ計算し、答えを出してください。

貸宅地の価格 - 貸宅地の価格 × 貸宅地の借地権割合

上記の答えが、その貸宅地の評価額です。

たとえば、貸宅地の価格が1,100万円であり、貸宅地の借地権割合が50%の場合は以下のように計算し、その貸宅地の評価額は550万円となります。

評価額の計算例
1,100万円(貸宅地の価格)- 1,100万円(貸宅地の価格)× 50%(貸宅地の借地権割合)= 550万円(貸宅地の評価額)

また、貸宅地の価格が2,200万円であり、貸宅地の借地権割合が40%の場合は以下のように計算し、その貸宅地の評価額は1,320万円です。

評価額の計算例
2,200万円(貸宅地の価格) - 2,200万円(貸宅地の価格)× 40%(貸宅地の借地権割合)= 1,320万円(貸宅地の評価額)

以上で郊外に位置する貸宅地の評価額が判明しました。

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まとめ - 旗竿地の評価方法は税務署に問い合わせるのがベター

貸宅地を評価する方法をご紹介しました。

貸宅地は、国税庁が公表する路線価や評価倍率表、借地権割合などを用いつつ評価します。

そして、評価額に相続税や贈与税の税率を掛け算しつつ控除額を差し引くなどして、その貸宅地の相続税や贈与税の金額が決定されます。

なお、今回ご紹介したのは、四角形や長方形など一般的な形状の貸宅地を評価する方法であり、旗竿地や不整形地の貸宅地を評価する場合は適しません。

旗竿地や不整形地を評価する際は、今回ご紹介した評価方法に補正率という要素を含めつつ計算する必要があり、「国税庁 接道義務を満たしていない宅地の評価」や「国税庁 不整形地の評価」などで詳細をご確認いただけます。

旗竿地や不整形地を評価する際は、とても複雑な計算が必要です。

よって、所有する旗竿地や不整形地の貸宅地の評価額をお知りになりたい場合は、その貸宅地の正確な形状と寸法が記された図面を持参しつつ、最寄りの税務署の窓口に直接お問い合わせください。

ご紹介した内容が、貸宅地を評価する方法をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2020年10月

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