契約不適合責任をわかりやすく解説

契約不適合責任をわかりやすく解説

契約不適合責任とは、売買契約の内容に適合しない不動産を引き渡した売り主が負う、その不動産を修繕する責任です。

契約不適合責任をわかりやすく簡単にご説明しましょう。

なお、ご説明する内容は、土地や建物などの不動産を売買する際の契約不適合責任に限られるため注意してください。

目次

1. 契約不適合責任とは売り主が負う責任

それでは、契約不適合責任をわかりやすくご説明しましょう。

その前に、不動産の買い主は、民法の第五百六十二条により追完請求権を有することを理解してください。

不動産の買い主が有する追完請求権とは、引き渡された不動産に不具合があり、その品質が売買契約の内容に適合しない場合に売り主に修繕を請求できる権利です。

たとえば、売り主であるAさんと売買契約を結びつつ中古住宅を購入した買い主のBさんがいらっしゃったとしましょう。

買い主であるBさんは、中古住宅の引き渡しを受けて間もなく、雨漏りがあることを発見しました。

雨漏りがあれば、Bさんは安心して生活できません。

生活できない中古住宅は住宅としての品質を満たさず、売買契約の内容に適合していないこととなります。

このように引き渡された不動産に不具合があり、その品質が売買契約の内容に適合しない状況において、買い主であるBさんが行使できるのが追完請求権です。

Bさんは追完請求権を行使することにより、売り主であるAさんに雨漏りの修繕を請求できます。

そして、売買契約の内容に適合しない不具合がある不動産を引き渡し、買い主が追完請求権を行使した状況において売り主であるAさんが果たすべき責任が契約不適合責任です。

契約不適合責任を負う売り主は、売買契約の内容に適合しない不具合がある不動産を買い主に引き渡したのであれば、その責任を果たしつつ修繕をするなどして補わなければなりません。

契約不適合責任とは不動産の売り主が負うべき責任

また、不動産の買い主が追完請求権を行使しつつ修繕を請求するものの売り主が契約不適合責任を果たさない場合は、買い主は民法の第五百六十三条、第四百十五条、第五百四十一条により以下の請求ができます。

代金の減額請求
不動産の売主が期限を定めつつ修繕を請求するものの売り主が契約不適合責任を果たさない場合などは、買い主は民法の第五百六十三条(買主の代金減額請求権)に則り、その不動産の売買代金から不具合の度合いに応じた代金の減額を請求できます。
損害賠償請求
不動産の売り主が契約不適合責任を果たさない場合は、買い主は民法の第四百十五条(債務不履行による損害賠償)に則って損害賠償を請求できます。

ただし、不動産の売り主に契約不適合責任を果たすことができない相応の理由がある場合は、この限りではありません。
売買契約の解除
不動産の買い主が期限を定めつつ修繕を請求するものの売り主が契約不適合責任を果たさない場合は、買い主は民法の第五百四十一条(催告による解除)に則って売買契約自体を解除できます。

ただし、売り主が契約不適合責任を果たそうと努力しつつも買い主が定めた期限に間に合わない場合などは、この限りではありません。

なお、契約不適合責任とは、売買契約の内容に適合しない不動産を引き渡した売り主が負う責任です。

よって、売り主が不具合があることを売買契約に盛り込みつつ売り主に不動産を引き渡したのであれば、売り主はその不具合に対する契約不適合責任を負いません。

たとえば、売り主であるAさんが売買契約書に雨漏りがあることを記しつつ買い主であるBさんと売買契約を結び、中古住宅を引き渡したとしましょう。

この状況においては、売買契約の内容に適合しない不動産を引き渡したことにはならず、売り主であるAさんは雨漏りを修繕する契約不適合責任を負うことはありません。

買い主であるBさんは雨漏りがあることを了承しつつ中古住宅を購入したこととなり、追完請求権を行使できないこととなります。

契約不適合責任とは、売買契約の内容に適合しない不動産を引き渡した売り主が負う責任であり、不具合があることを含めつつ売買契約が結ばれたのであれば、売り主はその不具合に対する契約不適合責任を負いません。

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2. 追完請求権の期間

売買契約の内容に適合しない不動産の引き渡しを受けたのであれば、買い主は追完請求権を行使することにより売り主に修繕を請求できます。

この買い主から請求された修繕を果たす責任が契約不適合責任であり、売買契約に適合しない不動産を引き渡したのであれば、売り主は契約不適合責任を果たさなければなりません。

これは、不動産の売り主が不具合があることを知らずに不動産を引き渡した場合も同じです。

しかし、これでは不動産を引き渡した売り主は、いつまでも安心できません。

場合によっては、5年前に売却しつつ引き渡した不動産に今頃になって不具合が見つかり、買い主から修繕を請求される可能性があります。

よって、民法の第五百六十六条により、買い主が追完請求権を行使できるのは、不具合があることを知ったときから原則として1年以内に売り主に通知した場合に限られると規定されています。

民法の第五百六十六条をわかりやすくご紹介すると以下のとおりです。

民法第五百六十六条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
売り主が売買契約の内容に適合しない目的物を買い主に引き渡した場合において、買い主がその不適合を知った日から1年以内に売り主に不適合があることを通知しない場合は、買い主は追完請求権を行使できない

また、民法の第百六十六条により、不具合があることを知った時から5年、または物件が引き渡された時から10年の間に買い主が追完請求権を行使しなければ、その権利は消滅すると規定されています。

民法の第百六十六条をわかりやすくご紹介すると以下のとおりです。

民法第百六十六条(債権等の消滅時効)
買い主が不具合があることを知った時から5年間にわたり追完請求権を行使しない場合や、追完請求権を行使できるときから10年間行使しないときは、追完請求権は時効によって消滅する

さらに、中古住宅や土地が売買される際は売買契約書に売り主が契約不適合責任を負う期間が記されるのが通例であり、その期間は民法の第五百六十六条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)の期間より優先されます。

たとえば、売買契約書に以下のような記述がある場合は、中古住宅が引き渡されたときから2週間以内に買い主から不具合があることの通知を受けた場合に限り、売り主は契約不適合責任を負うこととなります。

本物件の引き渡し後2週間以内に買い主から売買契約の内容に適合しない不具合があることの通知があった場合に限り、売り主は契約不適合責任を負う

そして、売り主が契約不適合責任を一切負わないこともあります。

具体的には、以下のような記述が売買契約書に含まれている場合は、売り主は契約不適合責任を負いません。

売り主は買い主に対し、本物件の契約不適合を理由とする追完請求などの責任を負わない

売買契約書に上記のような記述がある場合は、不動産の買い主が追完請求権を行使したとしても売り主は契約不適合責任を免れ、修繕などをする責任を問われません。

このように売り主が契約不適合責任を免れることを契約不適合責任の免責などと呼びます。

契約不適合責任の期間

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まとめ - 新築は10年間にわたり保証される

不動産における契約不適合責任をわかりやすくご説明しました。

不動産における契約不適合責任とは、売買契約の内容に適合しない不具合がある不動産を引き渡した売り主が負う責任であり、その不具合を修繕する責任です。

不動産の買い主は追完請求権を有し、引き渡しを受けた不動産に売買契約の内容に適合しない不具合があれば売り主に修繕を請求することが可能であり、その修繕を果たす売り主の責任が契約不適合責任となります。

不動産に関する契約不適合責任をお調べの方がいらっしゃいましたら、是非ご参考になさってください。

なお、契約不適合責任は、買い主が売買契約の内容に適合しない不動産の引き渡しを受けたときから原則として1年以内に、不具合があることを売り主に通知した場合に限り適用されますが、新築はこれに該当しません。

新築の売り主は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という法律の第九十五条により、新築を引き渡した日から10年間にわたり、その新築の不具合を修繕する責任を負うこととなります。

つまり、新築の買い主は、新築の引き渡しを受けたときから10年間にわたり追完請求権を行使できるというわけです。

これを「新築住宅の売主の瑕疵担保責任」と呼び、住宅の品質確保の促進等に関する法律の第九十五条をわかりやすくご紹介すると以下のとおりです。

住宅の品質確保の促進等に関する法律 第九十五条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任)
新築住宅の売買契約においては、売り主は買い主に引き渡したときから10年間にわたり、その住宅の主要な部分の不具合について、買い主が追完請求権を行使することにより請求された修繕を果たす責任を負う

ご紹介した内容が、不動産の契約不適合責任をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年6月

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