公示地価、基準地価、路線価の違い

公示地価、基準地価、路線価の違い

土地を売買しようとあれこれ勉強すると、公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価という4つの不動産用語を見聞きすることがあります。

これらは主に公的な土地の価格を意味し、違いを理解しておけば土地を売買する際に活用することが可能です。

公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価の意味と違いをわかりやすく簡単に解説しましょう。

目次

1. 公示地価とは?

まず、公示地価をわかりやすく簡単に解説します。

公示地価とは、地価公示法という法律の第二条の第一項に基づいて国土交通省が毎年3月ごろに公示する、日本全国各地に点在する約2万6千ヵ所の土地の1平方メートルあたりの正常な価格です。

公示地価が公表される約2万6千ヵ所の地点を標準地と呼び、毎年3月ごろに公示される公示地価は、その年の1月1日の時点における各標準地の正常な価格となっています。

公示地価とは?

毎年3月ごろになると新聞で「昨日今年の公示地価が公表され、都市部は地価が上昇した一方で地方は下降が目立ち、全国1位は山野楽器銀座本店であり5,000万円でした」などと報道されますが、あの価格が公示地価です。

標準地の公示地価は周辺の土地が売買される際などの価格を参考に設定され、なおかつ、地価公示法により「都市部、及びその周辺で土地の売買を行うものは、公示地価を指標として価格を決めるように努めなければならない」と規定されているため、公示地価は実勢価格と考えることができます。

よって、土地の売却を希望するものの売値を決めかねるときや、土地の購入を希望しつつも買値に疑問を抱くときは、その土地の最寄りの標準地の公示地価を確認すれば参考になります。

ただし、公示地価は標準地の正常な価格のため留意してください。

正常な価格とは、土地の売り主や買い主の事情が反映されていない価格です。

土地の価格は、買い主が買い急ぐときは相場より高く、売り主が売り急ぐときは相場より安く売買される傾向がありますが、公示地価にはそれらの事情が加味されていません。

なお、地価公示法とは、適正な地価の形成を目的とする法律であり、地価公示法の第二条の第一項をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

地価公示法 第二条 第一項(標準地の価格の判定等)
国土交通省は、都市部に位置する標準地について毎年1回不動産鑑定士による鑑定を行い、正常な価格を判定しつつ公示するものとする

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2. 公示地価と基準地価の違い

つぎに、基準地価をわかりやすく解説し、公示地価との違いをご説明します。

基準地価とは、国土利用計画法施行令の第九条の第一項によって各都道府県の知事により判定された、日本全国各地に点在する約2万1千ヵ所の土地の1平方メートルあたりの標準価格です。

基準地価が判定される約2万1千ヵ所の地点を基準地と呼び、基準地価はその年の7月1日の時点における基準地の標準価格であり、各都道府県は毎年9月ごろに基準地価を公表します。

基準地価とは?

基準地の基準地価は、公示地価と同じく周辺の土地が売買される際の価格などを参考に判定されます。

よって、公示地価が公示される標準地と、基準地価が判定される基準地の地点が近ければ価格に大差はありません。

しかし、標準地は主に市街地に位置するのに対し、基準地は郊外にも設けられていることがあるため、より広い範囲の土地の価格を把握することが可能です。

また、標準地の公示地価はその年の1月1日の時点における価格であるのに対し、基準地の基準地価は7月1日の時点の価格のため、異なる時期の地価を把握できます。

これらが公示地価と基準地価の違いです。

公示地価と基準地価の違い

なお、国土利用計画法施行令とは国土利用計画法の詳細を定めた施行令であり、国土利用計画法とは、土地を売買する際の規制に関することなどを定めた法律です。

国土利用計画法施行令の第九条の第一項をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のようになります。

国土利用計画法施行令 第九条 第一項(基準地の標準価格)
都道府県知事は、自らが管轄する都道府県内において利用状況が通常である土地を基準地として選定し、その基準地について毎年1回標準価格を判定するものとする

標準価格という言い回しが難解ですが、土地が売買される際の通常価格などとお考えになれば良いでしょう。

土地などの不動産は、売り急ぎや買い進みなどの事情によって価格が変わりますが、通常価格はそれらの事情を含まない通常の価格です。

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3. 公示地価と相続税路線価の違い

さらに、相続税路線価をわかりやすく解説し、公示地価と基準地価との違いをご説明します。

土地を相続したり、その土地の時価より安い価格で譲り受けると、相続税法という法律によって相続税や贈与税が課せられます。

この土地の相続税や贈与税の額ですが、相続した時点、または譲り受けた時点における土地の時価を基に計算されます。

その土地の時価を計算するための土地の価格が、相続税路線価です。

相続税路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために、毎年7月ごろに国税庁が公表する、市街地に位置する道路に接する土地の1平方メートルあたりの時価です。

市街地に位置する土地の相続税や贈与税は、相続税路線価を用いて土地の時価を計算し、その時価に相続税や贈与税の税率を掛け算するなどして税額が決定します。

土地には売買価格がありますが、売買価格は売り主と買い主の事情により変わるため、売買価格に税率を掛け算しては公平に課税されません。

そのため、土地の相続税や贈与税は、国税庁が毎年公表する相続税路線価という統一された土地の時価を基に税額が計算されます。

以下は、国税庁が「路線価図・評価倍率表」にて公表する相続税路線価が記された路線価図です。

相続税路線価が記された路線価図

出典:国税庁 路線価図・評価倍率表

地図の道路には「220D」「215D」などと数字とアルファベットが記されていますが、数字の部分が千円単位で記された相続税路線価です。

たとえば、「220D」と記された道路に接する土地であれば「220×1,000円=22万円」と計算し、その土地の1平方メートルあたりの時価は22万円となります。

その1平方メートルあたりの時価に、その土地の敷地面積を掛け算した額などが、その土地全体の時価です。

計算例を挙げると、相続税路線価が22万円であり敷地面積が100平方メートルの土地であれば「22万円×100平方メートル=2,200万円」と計算し、その土地全体の時価は2,200万円です。

そして、その土地全体の時価に相続税や贈与税の税率を掛け算した額などが、その土地を相続、または贈与を受けた場合の相続税や贈与税の額となります。

公示地価と基準地価は土地の正常な価格や標準価格であるのに対し、相続税路線価は土地の相続税や贈与税を計算するための土地の価格であり、意味が大きく異なります。

この意味の違いが、公示地価と基準地価と相続税路線価の違いです。

ただし、相続税路線価は、最寄りの標準地の公示地価や基準地の基準地価を参考に、その80%程度に設定されます。

よって、相続税路線価は公示地価や基準地価とは意味が全く違うものの、価格には関連があると考えることが可能です。

公示地価と基準地価と相続税路線価の違い

なお、相続税路線価が公示地価の80%であることの根拠は、国税庁のサイト内に設けられたページ「令和3年分の路線価等について」に記されている以下の記述にて確認することが可能です。

国税庁 路線価等について
路線価等は1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格(時価)の80%程度を目途に評価しています

また、土地の相続税や贈与税が時価を基に計算されることは、相続税法の第二十二条にて規定されています。

相続税法の第二十二条をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

相続税法 第二十二条(評価の原則)
財産を相続した者や贈与を受けた者に課せられる相続税や贈与税は、それらの財産の価値を基に税額を決定するが、財産の価値は相続、または贈与を受けた時点における財産の時価とする

ちなみに、路線価にはご紹介した相続税路線価と、この後にご紹介する固定資産税路線価がありますが、路線価といえば相続税路線価を指すのが通例です。

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4. 公示地価と固定資産税路線価の違い

最後に、固定資産税路線価をわかりやすく簡単に解説し、公示地価、基準地価、相続税路線価との違いをご説明します。

固定資産税路線価とは、市町村が市街地に位置する土地の所有者に固定資産税を課す際に、その土地の適正な時価を評価するために道路に付けた価格です。

土地を所有すると市町村から固定資産税が課せられますが、その税額は、市町村が評価したその土地の時価を基に計算されます。

市町村が時価が高いと評価すれば土地の固定資産税は高くなり、時価が低いと評価すれば固定資産税は安くなるといった具合です。

そうすれば土地の所有者の税負担が軽くなり、固定資産税を納めやすくなります。

よって、市町村が各土地の所有者に固定資産税を課す際は、各土地の適正な時価を評価しなければなりません。

しかし、日本の国土は細かく区切られ数多くの土地が存在し、特に市街地には土地と土地の所有者が集中しています。

市街地の多数の土地の適正な時価をひとつひとつ評価していては、莫大な徴税コストが掛かります。

そのため、市町村が市街地に位置する多数の土地の時価を評価する際は、市街地宅地評価法という方法を用いて各土地の時価を効率よく評価します。

市街地宅地評価法では、第一に市町村内を住宅地区や商業地区、工業地区、観光地区などに区分けし、各地区から主要となる道路を選びます。

第二に、各地区の主要な道路に接する土地の中から、歪ではない標準的な形状の土地を選びます。

選ばれた土地を標準宅地と呼び、標準宅地の選定が済めば、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価します。

市街地宅地評価法により土地の時価を評価する流れ

標準宅地の適正な時価は、周辺の土地が売買される際の価格を参考に評価されますが、おおむね最寄りの標準地の公示地価、または基準地の基準地価の70%程度と評価されます。

例を挙げると、最寄りの標準地の公示地価が10万円であれば、その標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価は7万円程度と評価するといった具合です。

標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が評価されれば、その適正な時価を標準宅地と接する主要な道路に付設します。

加えて、主要な道路に付設された標準宅地の適正な時価を参考に、主要な道路と接続するその他の道路にも適正な時価が付設されます。

この標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を基に、主要な道路やその他の道路に付けられた価格が固定資産税路線価です。

固定資産税路線価とは?

主要な道路やその他の道路に固定資産税路線価が付設されれば、固定資産税路線価を基に各道路と接する標準宅地以外の宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が評価されます。

たとえば、固定資産税路線価が10万円の道路に接する土地であれば1平方メートルあたり10万円と評価するといった具合です。

そして、固定資産税路線価を基に各土地の1平方メートルあたりの適正な時価が評価されれば、1平方メートルあたりの適正な時価に敷地面積を掛け算するなどして、各土地の全体の適正な時価が評価されます。

このように市街地宅地評価法を用いて、標準宅地の時価を道路に固定資産税路線価として付設しつつ各土地を評価すれば、市街地に所在する多数の土地の時価を効率よく評価できます。

公示地価や基準地価、相続税路線価が土地の価格であるのに対し、固定資産税路線価は道路に付けられた土地の価格であり、これらが他の公的な土地の価格との違いです。

なお、市街地宅地評価法の詳細は、総務省の告示「固定資産評価基準 第1章 土地」の「第3節 宅地」にて確認することが可能です。

固定資産評価基準とは、市町村が固定資産税の対象となる物件の適正な時価を評価する方法が記された手引書であり、総務大臣が内容を定めています。

また、市町村が標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を最寄りの標準地の公示地価の70%程度と評価することは、総務省が公開する資料「固定資産税制度について」の11ページ「土地・家屋・償却資産の評価の仕組み」にて確認できます。

ちなみに、私が運営するもうひとつのサイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税路線価をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。

固定資産税路線価にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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まとめ - 公的地価は全国地価マップやトチノカチで確認できる

公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価の違いをわかりやすく簡単に解説しました。

公示地価とは、国土交通省が毎年3月ごろに公示する、その年の1月1日の時点における標準地の1平方メートルあたりの正常な価格です。

基準地価とは、各都道府県が毎年9月ごろに公表する、その年の7月1日の時点における標準地の1平方メートルあたりの標準価格です。

相続税路線価とは、毎年7月ごろに国税庁が公表する、その年の1月1日の時点における市街地に位置する道路に接する土地の1平方メートルあたりの時価です。

固定資産税路線価とは、市町村が市街化宅地評価法を用いて市街地に位置する土地の適正な時価を評価する際に道路に付けた価格であり、3年に1度更新されます。

以上が公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価の違いであり、表でまとめると以下のとおりです。

公示地価、基準地価、路線価の違い

  どこの価格? いつの価格? 公示地価との価格の違い
公示地価 標準地の正常な価格 1月1日 -
基準地価 基準地の標準価格 7月1日 公示地価と同等
相続税路線価 市街地の土地の時価 1月1日 公示地価の80%程度
固定資産税路線価 市街地の道路に付けられた土地の価格 3年周期の1月1日 公示地価の70%程度

公示地価、基準地価、路線価の違いをお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、一般財団法人資産評価システム研究センターのサイト「全国地価マップ」では、日本全国各地の公示地価や基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価が掲載された地図を公開中です。

また、日本全国各地の地価に関する情報を掲載するサイト「トチノカチ」では、日本全国各地の公示地価の推移を確認できます。

土地の購入を希望するものの買値に疑問を抱く方や、土地の売却を希望するものの売値を決めかねる方がいらっしゃいましたら、ぜひ全国地価マップやトチノカチをご覧ください。

ご紹介した内容が、公示地価、基準地価、路線価の違いをお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

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