マンションを夫婦で贈与しつつ贈与税がかからない条件

マンションを夫婦で贈与しつつ贈与税がかからない条件

一定の条件を満たせば「贈与税の配偶者控除」が適用され、夫婦で行われる2,000万円以下のマンションの贈与に対して贈与税がかかりません。

また、贈与税がかかったとしても、贈与税額を大幅に安くすることが可能です。

夫婦間でマンションの贈与を希望しつつ税金が心配な方へ向けて、贈与税の配偶者控除が適用される条件や、贈与されるマンションの評価額を簡単に算出する方法をご紹介しましょう。

目次

1. 贈与税の配偶者控除の条件

冒頭でご紹介したとおり、一定の条件を満たしつつ夫婦でマンションの贈与を行えば贈与税の配偶者控除が適用されます。

贈与税の配偶者控除が適用されれば、夫婦で行う2,000万円以下のマンションの贈与に贈与税がかかりません。

また、2,000万円を超えるマンションを贈与しても贈与税額を大幅に抑えることが可能です。

マンションを贈与する場合における、贈与税の配偶者控除が適用される条件は以下のとおりです。

マンションの贈与に贈与税の配偶者控除が適用される条件

  • 婚姻期間が20年を過ぎた夫婦間でマンションの贈与が行われた
  • 賃貸しするなどの事業用ではなく、居住用のマンションが贈与された
  • 贈与を受けた配偶者が、贈与を受けた年の翌年の3月15日までにマンションに居住し、その後も居住し続ける見込みがある
  • 過去に同一の配偶者から贈与税の配偶者控除を適用していない

配偶者とは夫、または妻のこと

以上の条件を満たすマンションの贈与を夫婦で行えば贈与税の配偶者控除が適用され、贈与されるマンションの評価額から2,000万円が控除されます。

また、贈与税には毎年110万円の基礎控除が設けられ、暦年(1月1日から12月31日まで)に行われた110万円以下の贈与には贈与税がかかりません。

この贈与税の110万円の基礎控除は、贈与税の配偶者控除と同時に適用することが可能です。

よって、贈与税の配偶者控除が適用される条件を満たせば、暦年に行われる2,110万円以下のマンションの贈与に贈与税がかからないというわけです。

贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用されれば2,110万円以下のマンションの贈与に贈与税がかからない

なお、贈与税の配偶者控除の正式名称は「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」であり、同控除が適用される条件の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」にてご確認いただけます。

また、贈与税の基礎控除の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.4402 贈与税がかかる場合」の「1 暦年課税」にて確認することが可能です。

夫婦間でのマンションの贈与を希望しつつも税金が心配であり、贈与税の配偶者控除や基礎控除の適用を希望される方がいらっしゃいましたら、ぜひ国税庁のサイトで詳細をご確認ください。

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2. マンションの評価額を簡単に調べる方法

贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用されれば、夫婦で行う2,110万円以下のマンションの贈与に贈与税がかかりません。

そこで気になるのが贈与するマンションの価格ですが、実勢価格ではなく価額から判断します。

価額とは価値から鑑みた価格であり、実勢価格より安くなるのが通例です。

そして、夫婦で贈与するマンションの価額は、いくつかの書類を持参しつつ税務署に出向き、税務職員に問い合わせることにより簡単にご確認いただけます。

ここから、夫婦間で贈与するマンションの価額を税務署で確認する際に持参すべき書類をご紹介しましょう。

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固定資産税の納税通知書

夫婦で贈与するマンションの価額を税務署で確認する際は、そのマンションが建つ敷地の面積と、贈与するマンションの一戸部分の固定資産税評価額を提示する必要があります。

固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額とは、その不動産の固定資産税を算出するために市区町村役場が評価した、その不動産の価額

そのマンションが建つ敷地の面積と、贈与するマンションの一戸部分の固定資産税評価額は、毎年4月~6月ごろにかけてご自宅に届く固定資産税の納税通知書(課税明細書)に記されています。

よって、夫婦間で贈与するマンションの価額を税務署で問い合わせる際は、そのマンションの固定資産税の納税通知書をご持参ください。

また、贈与されるマンションの一戸部分の固定資産税評価額は、固定資産評価証明書にも記されています。

固定資産評価証明書とは、不動産の固定資産税評価額が記された台帳を写した書面であり、市区町村役場の資産税課などに請求することにより発行されます。

そのため、固定資産税の納税通知書が用意できない場合は、市区町村役場で固定資産評価証明書を取り付け、それを税務署に持参すれば良いでしょう。

ただし、固定資産評価証明書には、そのマンションが建つ敷地の面積が記されていない場合があるためご注意ください。

そのマンションが建つ敷地の面積は、この後にご紹介する登記事項証明書でもご確認いただけます。

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登記事項証明書

マンションの所有者は、マンションの一戸部分と、そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地を所有しています。

そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地を「敷地権の割合」などと呼び、夫婦間で贈与するマンションの価額を税務署で確認する際は、敷地権の割合を提示しなくてはなりません。

夫婦で贈与するマンションの敷地権の割合は、登記事項証明書に記されています。

登記事項証明書とは、不動産の登記簿を写した書面であり、そのマンションが所在する地域を管轄する法務局や、「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと」にてオンラインで請求することが可能です。

以下がマンションなどの集合住宅の登記事項証明書の見本であり、赤線で囲んだ部分が敷地権の割合が記された箇所となります。

登記事項証明書の見本

登記事項証明書の見本

出展:法務省 QRコード付き書面申請の開始と登記事項証明書の様式変更について

また、登記事項証明書には、そのマンションが建つ敷地の面積も記されています。( 登記事項証明書の見本の青線で囲まれた箇所が、そのマンションが建つ敷地の面積です )

そのため、固定資産税の納税通知書が用意できず固定資産評価証明書で代用する場合は、登記事項証明書を提示することにより、そのマンションが建つ敷地の面積を税務職員に知らせることができます。

なお、そのマンションが建つ敷地の面積や敷地権の割合は、マンションの売買契約書に記されていることもあります。

よって、登記事項証明書が用意できない場合は、それらの情報が売買契約書に記されていないかご確認ください。

それらの情報が売買契約書に記されている場合は、登記事項証明書ではなく売買契約書を持参しつつ税務署にお出向きになられても構いません。

以下は、夫婦で贈与するマンションの価額を税務署で問い合わせる際に提示すべき情報と、その情報が記された書面をまとめた表となります。

夫婦間で贈与するマンションの価額を税務署で問い合わせる際に提示すべき情報と、その情報が記された書面

税務署に提示すべき情報 記されている書面
そのマンションが建つ敷地の面積 固定資産税の納税通知書、固定資産評価証明書、登記事項証明書、売買契約書など
贈与するマンションの一戸部分の固定資産税評価額 固定資産税の納税通知書、固定資産評価証明書など
贈与するマンションの敷地権の割合 登記事項証明書、売買契約書など

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3. マンションの評価額を自分で概算する方法

贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用されれば、夫婦間で行う2,110万円以下のマンションの贈与に税金がかかりません。

そして、贈与するマンションの価額は、この記事の「2. マンションの評価額を簡単に調べる方法」にてご紹介したとおり、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書を持参しつつ税務署に出向き、税務職員に問い合わせることによりご確認いただけます。

また、手順が複雑となりますが、ご自分でマンションの価額を概算することも可能です。

ここから、夫婦で贈与するマンションの価額をご自分で概算する方法をご紹介しましょう。

なお、ご紹介するのは概算する方法です。

正確な価額の算出を希望する場合は、必要書類を持参しつつ最寄りの税務署に出向き、税務職員にお問い合わせください。

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3-1. 必要書類を用意する

この記事の「2. マンションの評価額を簡単に調べる方法」にて、税務署にマンションの価額を問い合わせる際は、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書などを用意する必要があるとご紹介しました。

それらの書類は、夫婦間で贈与するマンションの価額をご自分で概算する際も必要となります。

よって、固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書、登記事項証明書、売買契約書をご用意ください。

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3-2. 一戸部分の価額を把握する

必要書類が揃えば、夫婦で贈与するマンションの一戸部分の価額を把握します。

一戸部分の価額とは、ご夫婦で贈与する一戸部分の価額であり、マンション一棟の価額ではないため注意してください。

夫婦で贈与するマンションの一戸部分の価額は、固定資産税の納税通知書、または固定資産評価証明書に記されています。

固定資産税の納税通知書の見方は、発行した市区町村によって異なりますが、「横浜市 課税明細書の見方」や「山口市 固定資産税のQ&A 通知書のみかた」などにて確認することが可能です。

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3-3. マンションが建つ敷地の路線価を調べる

一戸部分の価額が把握できれば、夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地の路線価を調べます。

路線価とは、土地の贈与税や相続税を算出するために毎年7月ごろに国税庁が公表する、日本全国各地の宅地(建物を建てるための土地)の1㎡あたりの価額です。

夫婦で贈与するマンションが建つ敷地の路線価は、国税庁のサイト「路線価図・評価倍率表」に掲載されている路線価図にてお調べいただけます。

路線価図・評価倍率表」をご覧いただくと、以下のような日本地図が表示されます。

路線価図・評価倍率表

上記の日本地図から、ご夫婦で贈与するマンションが所在する都道府県をクリックすれば、以下のような「財産評価基準書目次」というページが表示されます。

財産評価基準書目次

上記の「財産評価基準書目次」のページの上部にある「路線価図」というリンクをクリックすれば、以下のようにその地域の市区町村の一覧が表示されます。

その地域の市区町村の一覧

上記の市区町村の一覧から、夫婦で贈与するマンションが所在する地域をクリックすれば、以下のような「路線価図・町丁名索引」というページが表示されます。

路線価図・町丁名索引

上記の「路線価図・町丁名索引」から、夫婦間で贈与するマンションが所在する地名をクリックすれば、以下のようにその地域の路線価図が表示されます。

路線価図

上記の路線価図から、ご夫婦で贈与するマンションが建つ敷地をお探しください。

その路線価図にマンションが建つ敷地が掲載されていない場合は、「路線価図・町丁名索引」に戻り、その地域の別の路線価図をご覧ください。

そして、贈与されるマンションが建つ敷地が見つかれば、その敷地が接する道路に以下のように数字とアルファベットが記されていることを確認してください。

路線価図に記されている数字とアルファベット

上記の数字とアルファベットの数字の部分に1,000円を掛け算した答えが、そのマンションが建つ敷地の路線価です。

たとえば、265Dと記されている場合は「265×1,000円=265,000円」と計算し、夫婦で贈与するマンションが建つ敷地の路線価は26万5,000円となります。

また、255Dと記されている場合は「255×1,000円=255,000円」と計算し、夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地の路線価は25万5,000円です

贈与するマンションが建つ敷地が2つの道路に面し、それぞれの道路に異なる数字とアルファベットが記されている場合は、数字が大きい方の路線価を選びつつ計算すれば良いでしょう。

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3-4. 路線価に敷地面積を掛け算する

夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地の路線価が判明すれば、路線価にそのマンションが建つ敷地全体の面積を掛け算します。

そのマンションが建つ敷地全体の面積は、固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書、登記事項証明書、売買契約書などで確認することが可能です。

ご夫婦で贈与するマンションが建つ敷地の路線価に、そのマンションが建つ敷地全体の面積を掛け算する計算式は以下のとおりです。

計算式
夫婦で贈与するマンションが建つ敷地の路線価 × そのマンションが建つ敷地全体の面積

上記が計算式です。

たとえば、夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地の路線価が26万5,000円であり、敷地全体の面積が800㎡の場合は以下のように計算し、その答えは2億1,200万円となります。

計算例
26万5,000円(夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地の路線価)× 800㎡(そのマンションが建つ敷地の面積)= 2億1,200万円

この2億1,200万円という答えは、路線価から算出した、夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額です。

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3-5. 敷地全体の価額に敷地権の割合を掛け算する

路線価から算出した夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額が把握できれば、その価額に「敷地権の割合」を掛け算します。

敷地権の割合は、登記事項証明書や売買契約書などに記されています。

路線価から算出した夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額に、敷地権の割合を掛け算する計算式は以下のとおりです。

計算式
路線価から算出した夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額 × 敷地権の割合

上記が計算式です。

たとえば、路線価から算出した夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額が2億1,200万円であり、敷地権の割合が25分の1である場合は以下のように計算し、その答えは848万円となります。

計算例
2億1,200万円(路線価から算出した夫婦間で贈与するマンションが建つ敷地全体の価額)× 0.04(敷地権の割合である25分の1)= 848万円

この848万円という答えは、配偶者にマンションを贈与する配偶者が所有する、そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地の価額です。

マンションの所有者は、一戸部分と「そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地」を所有しています。

848万円という答えは、「そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地」の価額を意味しています。

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3-6. 一戸部分と土地部分の価額を合計する

最後に、この記事の「3-2. 一戸部分の価額を把握する」で把握したマンションの一戸部分の価額と、この記事の「3-5. 敷地全体の価額に敷地権の割合を掛け算する」で判明したそのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地の価額を合計します。

具体的な計算式は、以下のとおりです。

計算式
一戸部分の価額 + そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地の価額

上記の答えが、夫婦間で贈与するマンションの評価額となります。

たとえば、一戸部分の価額が1,000万円であり、そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地の価額が848万円の場合は以下のように計算し、そのマンションの評価額は1,848万円です。

計算例
1,000万円(一戸部分の価額)+ 848万円(そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地の価額)= 1,848万円(夫婦間で贈与するマンションの評価額)

そして、上記の計算例のように、夫婦間で贈与するマンションの評価額が2,110万円以下であり、贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用される条件を満たすのであれば贈与税はかかりません。

また、2,110万円を超える場合は、超えた部分のみに贈与税がかかります。

この場合における贈与税は、以下の式で計算します。

(夫婦間で贈与するマンションの評価額-2,110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税

上記の式に含まれる税率と控除額は、「夫婦間で贈与するマンションの評価額-2,110万円」の答えによって異なり、以下のとおりです。

贈与税の税率と控除額

夫婦間で贈与するマンションの評価額-2,110万円の答え 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

贈与税の税率は「国税庁タックスアンサーNo.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」の「一般贈与財産用」にて確認できる

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まとめ - 贈与税の配偶者控除は申告が必要

夫婦間でマンションの贈与を希望する方へ向けて、贈与税がかからない条件をご紹介しました。

一定の条件を満たす贈与が行われれば、贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用され、夫婦間で2,110万円以下のマンションを贈与するのであれば贈与税はかかりません。

また、2,110万円を超えるマンションを夫婦間で贈与する場合であっても、贈与税の配偶者控除と基礎控除が適用される条件を満たせば、贈与税額を大幅に安くすることが可能です。

2,110万円という価格は実勢価格ではなく、そのマンションの価額(価値から鑑みた価格)であり、固定資産税評価額や路線価から算出する必要があるため注意してください。

最も簡単にマンションの価額を算出する方法は、必要書類を持参しつつ税務署の窓口で問い合わせることですが、ご自身で概算することも可能です。

なお、贈与税の配偶者控除を適用する際は、税務署への申告が必要となります。

申告の際は、贈与を受けた配偶者の戸籍謄本などを提出する必要があり、以下は国税庁が公表する贈与税の配偶者控除の申告書の見本です。

国税庁が公表する贈与税の配偶者控除の申告書の見本

国税庁が公表する贈与税の配偶者控除の申告書の見本

出展:「国税庁 令和2年分贈与税の申告のしかた」の「贈与税の配偶者控除の特例(暦年課税)を適用する場合」( 見本をクリックすれば、国税庁が公開する資料を直接ご覧いただけます )

上記の申告書の見本には、贈与税の配偶者控除が適用される条件や、申告書に添付すべき書類の詳細が記されているため、ぜひご確認ください。

ご紹介した内容が、夫婦間でのマンションの贈与を希望される皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年1月

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