土地の売却に関する税金の特別控除

土地の売却に関する税金の特別控除

土地を売却しつつ利益が生じれば所得税などが課せられますが、いくつかの特別控除が設けられ、特例が適用されれば税金が安くなります。

しかし、特別控除の適用を受けるためには確定申告が必要であり、どのような特例があるか把握しておかなければ適用されることはありません。

そこで、今回の「誰でもわかる不動産売買」では、土地を売却、または収用された場合に適用される8つの特別控除をご紹介しましょう。

目次

1. 土地の売却に適用される特別控除

まずは、土地を売却することにより適用される4つの特別控除をご紹介します。

なお、本文中に幾度も「譲渡所得(じょうとしょとく)」という不動産用語が出てきますが、譲渡所得とは不動産を売却しつつ得た利益を意味します。

土地を売却しつつ譲渡所得が生じれば確定申告が必要であり、譲渡所得の30%~15%の所得税と、譲渡所得の9%~5%の住民税が課せられます。

特別控除が適用されれば譲渡所得から一定額が差し引かれ、それに伴い税金が安くなるというわけです。

わかりやすく図解でご説明すると以下のとおりです。

譲渡所得とは?

それでは、土地を売却することにより適用される4つの特別控除をご紹介しましょう。

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1-1. 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除とは、市街地に位置する低未利用土地を500万円以下で売却しつつ生じた譲渡所得から100万円が控除される特例です。

低未利用土地とは、空き地や簡易的な駐車場などに利用されている土地や、空き家や空き店舗が建つ市場価値が低いと見なされる土地を意味します。

国土交通省が公開する、同特例の紹介動画は以下のとおりです。

未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の紹介動画

同特例の主な適用条件は以下のとおりであり、詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」にてご確認いただけます。

特別控除の主な適用条件

  • 令和2年7月1日から令和4年12月31日までに土地を売却した
  • 土地を売却した時点での所有期間が5年を超えている
  • 売却した低未利用土地が利用される予定がある

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1-2. 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例

平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例とは、平成21年、または平成22年に取得した土地を平成27年など以降に売却しつつ生じた譲渡所得から1,000万円が差し引かれる特別控除です。

同特例が適用される主な条件は以下のとおりであり、同特例の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」にてご確認いただけます。

特別控除の主な適用条件

  • 平成21年に取得した土地は平成27年以降に、平成22年に取得した土地は平成28年以降に売却した
  • 親子や配偶者などの特別な間柄以外の者から取得した土地を売却した
  • 相続や贈与を受けた土地ではなく、購入などをした土地を売却した

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1-3. 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例とは、農業の振興が図られる地域に位置する土地などを売却した場合に、その譲渡所得から800万円が差し引かれる特別控除です。

同特例の主な適用条件は以下のとおりであり、詳細は「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)租税特別措置法」の第三十四条の三にてご確認いただけます。

特別控除の主な適用条件

  • 市町村長から勧告を受けつつ、農業振興が図られる地域に位置する、農業振興の妨げとなる土地を売却した
  • 農業委員会による斡旋を受け、農業振興が図られる地域に位置する土地を売却した

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1-4. 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは、相続税を支払いつつ相続した土地を売却して得た譲渡所得から、支払った土地分の相続税を差し引くことができる特別控除です。

難解な特別控除ですが、譲渡所得(不動産を売却することにより生じた利益)の計算方法と、それに課せられる税金の仕組みを把握すればご理解いただけます。

譲渡所得は以下のように計算し、生じた譲渡所得の30%~15%の所得税と、生じた譲渡所得の9%~5%の住民税が課せられます。

譲渡対価-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得(譲渡所得の30%~15%が所得税と、譲渡所得の9%~5%の住民税が課せられる)

上記の式に含まれる譲渡対価とは、売却額を意味します。

また、式に含まれる取得費とは売却した不動産を取得した際に支払った仲介手数料や不動産取得税などの費用であり、譲渡費用とは不動産を売却する際に支払った仲介手数料などです。

そして、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が適用されれば、その取得費に土地を相続した際に支払った土地の相続税分を含めることが可能になり、その結果、所得税や住民税などの税金が減税されるというわけです。

同特別控除をわかりやすく図解でご説明すると以下のようになります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは?

同特別控除が適用される主な条件は以下のとおりであり、詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」にてご確認いただけます。

特別控除の主な適用条件

  • 土地を相続した本人が土地を売却した
  • 相続税を支払いつつ相続した土地を売却した
  • 相続税の申告期限から3年以内に土地を売却した

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2. 土地が収用された場合の特別控除

収用とは、国や都道府県、市区町村などが公共事業のために、土地などの不動産を強制的に買い取ることを意味します。

一定の条件を満たした収用により土地を売却した場合は、特別控除が適用されつつ税金が安くなります。

ここからは、収用により土地を売却した場合に適用される4つの特別控除をご紹介しましょう。

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2-1. 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例とは、収用により土地を売却しつつ代わりの土地を購入した場合に適用される特別控除です。

収用により土地を売却し、得た売却代金の全てを以て代わりの土地を購入しつつ同特例を適用すれば、収用そのものがなかったものと見なされます。

収用そのものがなかったものと見なされれば、収用により土地を売却した際に譲渡所得が生じていたとしても税金が掛かりません。

また、収用により土地を売却し、得た売却代金の一部で代わりの土地を購入しつつ同特例の適用を受ければ、得た売却代金から代わりの土地の購入代金を差し引いた額から譲渡所得を算出することが可能です。

得た売却代金から代わりの土地の購入代金を差し引いた額から譲渡所得を計算すれば、税金が安くなります。

同特例の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例」の「1 対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例」にてご確認いただけ、同特例が適用される主な条件は以下のとおりです。

特別控除の主な適用条件

  • 収用により土地を売却し、その売却代金を以て代わりとなる土地を購入した
  • 収用により土地を売却した日から2年以内に代わりの土地を購入した

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2-2. 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除

収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除とは、収用による土地の買い取りの申し出を受けた日から6ヵ月以内に、その土地を売却した場合に適用される特別控除です。

同特例が適用されれば、収用により土地を売却しつつ生じた譲渡所得から5,000万円が控除されます。

同特例が適用される主な条件は以下のとおりであり、同特例の詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例」の「2 譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例」にて確認することが可能です。

特別控除の主な適用条件

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2-3. 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除とは、国や地方自治体などが実施する土地の整備事業による収用により土地を売却した場合に適用される特例です。

同特例が適用されれば、収用により土地を売却しつつ生じた譲渡所得から2,000万円が控除されます。

同特例が適用される条件は以下のとおりであり、詳細は「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)租税特別措置法」の第三十四条にてご確認いただけます。

特別控除の主な適用条件

  • 国や都道府県、市区町村、独立行政法人都市再生機構などが都市計画事業として行う土地区画整理事業による収用により土地を売却した
  • 都市計画法に基づき計画された土地区画整理事業などに基づき、その計画が成立する前から存在する市街地再開発組合により土地が収用された
  • 古都保存法により古都に指定された京都市、奈良市、鎌倉市などに位置する土地が、その古都の歴史的風土を保護するために収用された

全ての条件を満たす必要はなく、いずれかの条件を満たせば特別控除が適用される

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2-4. 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除とは、都道府県や市区町村などが実施する住宅建設事業や、大規模な住宅地の造成事業により土地が収用された場合に適用される特例です。

同特例が適用されれば、土地を売却しつつ生じた譲渡所得から1,500万円が控除されます。

同特例が適用される主な条件は、以下のとおりです。

特別控除の主な適用条件

  • 都道府県や市区町村などの地方公共団体、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人都市再生機構などが行う住宅の建設事業、または住宅地の造成事業により土地が収用された
  • 租税特別措置法の第三十六条の二に該当する「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」など、他の特別控除の適用を受けていない

同特例が適用される主な条件の詳細は、国税庁が公開する以下の資料の25ページにてご確認いただけます。

国税庁が公開する資料「収用等の場合の課税の特例のあらまし」

収用等の場合の課税の特例のあらまし

出展:国税庁「収用等の場合の課税の特例のあらまし

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まとめ - マイホームを解体した土地を売却する際も特別控除の適用が期待できる

土地を売却しつつ適用される8つの特別控除をご紹介しました。

ご紹介した8つの特別控除をまとめると以下のとおりです。

土地の売却に関する8つの特別控除

控除名 控除額
低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例 1,000万円
平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例 1,000万円
農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例 800万円
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 支払った土地分の相続税額
収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例 譲渡所得全額、または譲渡所得の一部など
収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除 5,000万円
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 2,000万円
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除 1,500万円

以上がご紹介した特別控除であり、適用されれば、土地を売却することにより生じた譲渡所得から一定額が控除され、それに伴い税金が安くなります。

また、収用により土地を売却した場合は、ご紹介した特例以外にもいくつかの特別控除が適用される可能性があります。

ご紹介した以外の適用される可能性がある特別控除は、「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)租税特別措置法」の「第五款 特定事業の用地買収等の場合の譲渡所得の特別控除」以降にてご確認いただけます。

なお、マイホームを解体しつつ更地にした土地を売却した場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用が期待できます。

同特例が適用されれば、土地を売却しつつ生じた譲渡所得から3,000万円が控除され、その結果、所得税や住民税などの税金が安くなります。

土地を売却しつつ同特例が適用される主な条件は以下のとおりであり、詳細は「国税庁タックスアンサーNo.3302 マイホームを売ったときの特例」にて確認することが可能です。

土地のみを売却しつつ「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用される主な条件

  • マイホームを解体しつつ更地にした日から1年以内に、その土地を売却することの契約を締結した
  • その土地に住まなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに土地を売却した
  • マイホームを解体しつつ更地にした日以降に、その土地を貸駐車場などとして利用していない

ご紹介した内容が、土地の売却に関する特別控除をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年1月

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